沖縄・台湾友の会

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外交・軍事に疎い政治でいいか   【阿比留瑠比の極言御免】

2022-03-02 22:43:08 | 日記
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外交・軍事に疎い政治でいいか
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    【阿比留瑠比の極言御免】 


 ちょうど1年前のきょうの当欄で、ウクライナを舞台にた映画『赤い闇 スターリンの冷たい大地で』を紹介した。現在のロシアによるウクライナ に対する傍若無人の暴挙を見るにつけ、繰り返される悲劇に胸が痛む。

ウクライナ襲う悲劇

 映画は世界恐慌下の1933年、景気は絶好調とされたソ連(現ロシ ア)に赴き、当局の監視をかいくぐって厳重に隠されていた現実を目撃し た英国人記者、ガレス・ジョーンズの物語である。

 何でも育つ肥沃(ひよく)な大地であるはずのウクライナに潜入した ジョーンズは、ソ連統制下で誰もが飢え、家族の遺骸まで食べる姿を目の 当たりにする。収穫された穀物などはほとんどがモスクワに送られ、ウク ライナ人の口には入らない。

 帰国後、ソ連の恫喝(どうかつ)をはねのけ実情を訴えるが、ソ連に内通 するニューヨーク・タイムズの著名記者にデマだと書き立てられ、相手に されない。自身が外交顧問を務めていたロイド・ジョージ英元首相もソ連 の要請に従い、ジョーンズの話を握りつぶそうとする─。

 このウクライナで起きたスターリンによる人為的大飢饉(ききん)は、 ジェノサイド(民族大虐殺)だともいわれる。そして24日、在日ウクライ ナ大使館はツイッターでこう呼びかけた。

「戦争が始まりました。国際社会にサポートを願います」「止めなければ 世界大戦に」

 にもかかわらず、日本ではいまだに危機感が薄く感じられる。19、20両 日実施の本紙とFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で は、ロシアがウクライナに軍事侵攻した場合の経済封鎖についての質問 で、制裁に踏み切るべきだと「思う」は43・9%で、「思わない」(44・ 1%)を下回った。

 ウクライナを襲う悲劇など対岸の火事どころか、どこかはるか遠くのボ ヤぐらいに感じているのか。それどころか、外務省内からも「ウクライナ なんてこっちに関係ない」(幹部)といった声が漏れる。24日の参院予算 委員会でも、ウクライナ情勢が質疑のメインテーマとはならなかった。

 平和ボケが過ぎるのではないか。

安全への責務

 ソ連への警戒感が薄かった前述のロイド・ジョージの2代後に首相に就 き、ナチス・ドイツの軍事伸長に対抗できなかったのがボールドウィン元 首相である。彼について、危機の宰相と言われたチャーチル元首相は、著 書『第二次世界大戦』でこう書いている。

 「一国の首相たるものが、選挙に敗れるのを恐れるあまり、国家の安全 に関して自分の責務を果たさなかったと公言する・・・」

 また、現在の日本人にとっても身につまされるこんな指摘もしている。

 「彼は外交と軍事には非常に疎かった。(中略)彼はイギリスの政党政 治についての知識は深く、広い意味においてわれわれ島国国民のある種の 力と、数多い弱点を代表していた」

 同様に島国で内向きな日本には、このタイプの政治家や首相が多すぎ る。二言目には自らの派閥について口にしたがる岸田文雄首相にも、考え てもらいたい。

 自民党の高市早苗政調会長は、24日の党政調審議会で次のように戒めた。

 「これ(ウクライナの件)は遠い欧州で起きていることじゃない。ロシ アは日本の隣国で、まさに自分たちの問題として考えることだ。ロシアと 中国も非常に接近している」

 今日のウクライナの危機は、まさしく明日の日本の危機なのである。

(産経新聞論説委員兼政治部編集委員)


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  松本市 久保田 康文 

産経新聞 採録

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