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ロシアによるウクライナ侵攻で、「BRICS銀行」はいまや「ゾンビ銀行」に 中国が粗製濫造のAIIB(アジアインフラ投資銀行)よりも知名度は低い

2023-08-26 06:30:13 | 日記
「宮崎正弘の国際情勢解題」 
    令和五年(2023)8月26日(土曜日)弐
        通巻第7882号
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ロシアによるウクライナ侵攻で、「BRICS銀行」はいまや「ゾンビ銀行」に
中国が粗製濫造のAIIB(アジアインフラ投資銀行)よりも知名度は低い
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グローバルサウスなどと騒いで、BRICS首脳会議の報道は過剰気味だった。
通称「BRICS銀行」とは、ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの五ケ国で、2015年に設立された。正式名称は「国際開発銀行」もしくは「新開発銀行」(NDB)と呼ばれ、上海市に本部がある。総裁は各国の輪番制で初代はインドのカマトだった。

しかしウォールストリート・ジャーナルがこの銀行を酷評した(23年6月10日)。
「ロシアによるウクライナ侵攻で、「BRICS銀行」はいまや「ゾンビ銀行」に変容する危機に直面した。設立から8年が経過した。財務分析や銀行関係者を取材したが、新規融資はほぼ停止している。債務返済のためのドル資金の調達も困難になっている。中国に本部を置く多国間の金融機関として「NDB」は「AIIB」(アジアインフラ投資銀行)よりも知名度は低い」。

とはいうものの当事者たちは強気である。新開発銀行は「現在、約15カ国からの加盟申請を検討している」とジルマ・ルセフ総裁は英紙「フィナンシャル・タイムズ」(8月22日)のインタビューに答えた。
 「今年は80億ドルから100億ドルの融資を見込んでいる。目標は、融資額の約 30% を現地通貨で達成することだ」

 この意味は米ドルへの依存を減らし、たとえば南アフリカとブラジルの通貨での融資を行う。原資には南アフリカランド建ての債券を発行し、「ブラジルでもレアルを使って同じことをする」構想だという。
 BRICS五カ国に、バングラデシュ、アラブ首長国連邦、エジプト、ウルグアイも加わっており、南アのマシャティル副大統領は「世界がこのブロックに注目しているのは、ドルへの依存を抑制する議論の最前線にあるからだ。我々は西側諸国と競争するためではなく、グローバルビジネスに自分たちの空間を確保したいのである」としている。

或るIMF元幹部は「米ドルはもはや信頼できない。BRICSが拡大し、2040年までに世界の生産高の約半分に相当し、世界の先進7カ国(G7)のシェアの2倍となる」
もし、そうなればどっと新興国は雪崩れ込むことになりそうだが、現時点でいえば、そうした展望は望み薄だろう。

ヨハネスブルグのBRICS首脳会議には50ヶ国から首脳陣が集まったが、20カ国以上が加盟を正式に申請していた。イラン、サウジなど六カ国が24年中に正式メンバーとなる。


▼加盟国はどこまで本気なのか?

BRICSの共通通貨の確立は長期にわたって議論されてきたが、ブラジルやアルゼンチンが共通のブロック通貨を打ち上げたように構想をかたるだけのジェスチャーが多い。IMF世銀体制との兼ね合いを諄々と説いた構想とは認められず、単なる思いつきかと思うほど青写真は杜撰である。

たしかにドル基軸体制に挑戦するというのは野心的な課題だが、加盟国内貿易のための共同決済システムていどは近いうちに簡単に導入できる可能性がある。
中国は人民元スワップを積極的に実践してきた。

なにしろBRICSが直面する根本的な課題は、外貨で行われる国際貿易で、早急にBRICS決済システムを構築する必要があるのだが、ならば最後の決済の裏付けをどうするのか。
一部西側のエコノミストのなかには「BRICS共通通貨は、西側諸国に拠点を置く特定の権力集団から世界の財政を奪う可能性がある」と脅威視するが大げさである。

サウジアラビアのような経済的に成功した国は、BRICS銀行への参加に関心を持っている。もしサウジが加盟し、かつ大口出資となれば、BRICS銀行が世界の金融システムにおいて強力かつ重要になる可能性があるが、その場合はサウジ主導となる。

金(ゴールド)を裏付けとする可能性のある共通通貨のアイデアは「検討中」とだけ言及された。
現時点で冷静な分析をすれば、BRICS銀行は懸念するに及ばない。

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