沖縄・台湾友の会

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聞く力よりも「語る力」発揮を   有本香

2022-04-18 22:00:56 | 日記
わたなべ りやうじらう のメイル・マガジン
      頂門の一針 6111号  2022(令和4年)年 4月18日(月)

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聞く力よりも「語る力」発揮を
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       有本香 

【有本香の以読制毒】聞く力よりも「語る力」発揮を岸田首相、さらなる 「自衛隊法」「憲法改正」を急げ日本人が紛争に巻き込まれても不思議で ない情勢 

13日、注目すべき2つのニュースがある。
1つは、外国人のみの救出でも自衛隊機派遣を可能とする改正自衛隊法の 成立。もう1つは、政府がウクライナ支援の一環として、自衛隊の輸送機 をウクライナと周辺国に派遣するという件だ。

ウクライナへの輸送機派遣は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR) の要請を受けて支援物資を輸送するための派遣であり、国際平和協力法 (PKO法)に基づく「人道的な国際救援活動」として実施される。

2003年のイラク支援以来のこの派遣、筆者は賛成だが、不安を覚える国民 も少なくない。自衛隊機が周辺国のみならずウクライナ領内を飛ぶこと で、ロシアからは「ウクライナ側に加担した」とみられ、はっきりと敵視 されるのではという懸念からだ。この懸念は、反戦左派のみならず、保守 系の人からも聞かれる。

こういう決定の際にこそ、トップの言葉が不可欠なのだが岸田文雄首相の 特段の説明がなかったことは残念である

一方、最近の岸田首相の行動で目立つのは、自民党幹部や派閥の領袖 (りょうしゅう)との連日の会食だ。

1日の二階俊博前幹事長を皮切りに、10日は安倍晋三元首相、11日 は麻 生太郎副総裁、12日は高市早苗政調会長といった具合で、参院選に 向 け、内輪の意見を「聞く力」発揮か、と揶揄(やゆ)されている。

筆者はこの行動を批判する気はないが、国民への「語る力」の発揮もお 忘れなく、とは申し上げたい。

もう1つ、改正自衛隊法の成立に際し、岸田首相と自民党幹部に「肝心 なことをお忘れでは」と言いたい件がある

思い出されるのは昨年の夏、アフガニスタンがイスラム原理主義勢力 「タリバン」の手に落ちたときのことだ。海外での自国民救出に関する日 本の大きな障害が露呈された。

アフガン情勢急変を受け、邦人のみならず、日本に協力する外国人の退 避をも目的に自衛隊機派遣を決断したことは画期的だった。最終決断者は 当時の菅義偉首相だが、岸信夫防衛相の力も大きかったと側聞する。

しかし、結局、自衛隊機が救出した邦人、協力者の数はわずかで、その 原因が自衛隊法の限界にあることは明らかだった。

アフガンへの自衛隊派遣の根拠となったのは自衛隊法84条の4「在外 邦 人等の輸送」で、84条の3「在外邦人等の保護措置」ではなかった。

簡単に説明すると、84条の4では輸送の要件が、「安全が確保できるこ と」および、「相手国の了承を得ていること」とされている。ところが、 予想外の速さでタリバンが首都カブールを陥落させたため、自衛隊機派遣 のときにはすでに「相手国」政府はなくなっていた。しかも、この法律で は空港外で武器は使用できず、空港に向かう日本人が襲われても何もでき ないのだった。

安倍晋三政権時に、「安全保障関連法」の一部として追加された84条の 3であれば、武器使用範囲が広がり、任務遂行を妨害する相手にも武器使 用が可能となる。しかし、そのぶん前提条件が4より格段に厳しくなるこ とから適用は見送られた。

この直後の筆者のインタビューで、岸防衛相は経緯を淡々と語りながら も苦悩をにじませていた。

自衛隊法84条の3にかくも厳しい条件がつけられている原因は、日本国憲 法第9条にある。

今回の自衛隊法改正はもちろん有益なものだったが、それよりも前に憲法 を改正し、84条の3を使えるものとすべきであることは明らかだ。今後 は、いつどこで日本人が紛争に巻き込まれても不思議でない情勢が続く。 いざというときに自国の憲法が自衛隊の手足を縛り、国民すら救出できな いという馬鹿げた状況を一刻も早く終わらせねばならない。

岸田首相と自民党幹部におかれては、このことを何よりも優先し、実践し ていただきたい。

■有本香(ありもと・かおり)ジャーナリスト。1962年、奈良市生まれ。 東京外国語大学卒業。旅行雑誌の編集長や企業広報を経て独立。国際関係 や、日本の政治をテーマに取材・執筆活動を行う。著書・共著に 『中国 の「日本買収」計画』(ワック)、『「小池劇場」の真実』(幻冬 舎文 庫)、『「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史』『「日本国 紀」の天皇論』(ともに産経新聞出版)など多数。


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