自分が住む町や都市の中心地がどこなのかを意識することはあまり無い。
「都市の中心地」がどこかは人によって違うし、時と共に変っていくことだが、フィンランドの新聞「ヘルシンギン・サノマット(Helsingin Sanomat) 」は、ヘルシンキ市内で60人の通行人に 「あなたは、どこがヘルシンキの中心地だと思いますか?」の質問をし、その結果を載せている。
新聞記事の内容要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
調査は、街で無作為に60人の通行人を選び、聞き取り調査を行うという形で実行した。調査対象となった人達の約70パーセントがヘルシンキ市民で、その他はヘルシンキ市以外の住民であった。
調査の結果、人々がヘルシンキの中心地と考えるのは「ヘルシンキ中央駅」と「ストックマン・デパート」の辺りであった。
最も票の多かった地点は、次の4地点である。
1、ヘルシンキ中央駅 (Main Railway Station)
2、カイサニエミ (Kaisaniemi)
3、元老院広場 (Sanate Square)
4、アレクサンテリンカツ通り沿い(Aleksanterinkatu)
調査では、18人の回答者が何の躊躇も無く「ヘルシンキ中央駅」を上げている。
6人の人達は、カイヴォカツ通りの真下、中央駅の正面地下にある商店街の床に描かれているタイル画のコンパスを指摘した。
ストックマン・デパートやデパートの入り口上部にある時計を指摘した人達は7人いた。
5人の人達は、マンネルヘイミンティエ通りとシモンカツ通りの角にある「フォーラム・ショッピングモール(Forum Shopping mall) 」にピンを刺した。 そこを指摘したのは皆10代の少女であった。
「キアスマ現代美術館」の辺りは、7票を得た。
いくつかのピンがマンエルヘイミンティエ通り、エスプラナーディ、エロッタヤ沿いの南によった地域を指摘している。 また、1人が夏に観光客で賑あうマーケットスクエア(Kauppatori) が中心地だと指摘している。
ヘルシンギン・サノマット。
人々に「ヘルシンキの中心地」と思う所にピンを刺してもらった結果。
Photo: Quoted from 「Helsingin Sanomat International Edition(April 25 2006)」
以上、新聞記事の要約・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ヘルシンギン・サノマットの他の記事で、建築家、都市計画家のパヌ・レヒトヴオリ(Panu Lehtovuori) が興味深い論文を寄せている。
彼の文によると、ヘルシンキの中心地は常に西の方向へと移動してきたという。
ヘルシンキ市の歴史をたどれば、1550年にスウェーデン王のグスタフ・ヴァーサによって設けられたヘルシンキ市は、今よりもっと北のバンター川の河口に発達したという。
その後、地理学的な要因や経済活動の発達の過程で、ヘルシンキは南西に移動した。
西への移動は、現在でも続いていてヘルシンキの西側、ヒエタラハティ(Hietalahti) 方向へと移動しているという。
ヘルシンキ市民のヘルシンキの中心地はどこかという意識は、少しずつ、又は急激に変ってしまうかもしれないとも述べている。
東京で、大阪、札幌で同じような調査をしたら、どんな結果が出るだろうか?
僕は来日するフィンランド人達に、東京はヘルシンキが5-6個集まったというような都市で(規模的にもエネルギー的にも)、中心地が5-6ヶ所あるんだよと説明している。
しかし、町の中心地というのは、かなり心情的というか個人的、意識的なもので、個人各々の「中心地」は規模の大小に関係なく一つかもしれない・・・。
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