楽園づくり ~わが家のチェンマイ移住日記~

日本とタイで別々に生活してきた私たち家族は、チェンマイに家を建てて一緒に暮らし始めました。日常の出来事を綴っていきます。

介護ベッドを借りました

2017-05-14 20:11:05 | タイの家族

昨日の午後、地域の世話人のピー・オーイが手配してくれた介護ベッドが届きました。期限なしで無料で貸してくれます。酸素ボンベも無料、無期限です。地域の福祉環境が日本よりも充実しているのではないでしょうか。あるいは、村長さん(プーヤイバーン)をはじめ、私の住んでいる地域の医療福祉行政の意識が高いのかもしれません。


私たち夫婦の部屋は、部屋自体は25平米ほどあるのですが、入り口のドア付近の構造上の問題で、ベッドを分解しなければ入れられないことが分かりました。そこで急遽、一番上の娘の部屋を使うことにしました。20歳になっている娘は、とっくに家を出ているので空き部屋になっています。

今日のお昼前、何が何だか分かりにくい写真ですが、ベッドサイドに座った息子がベッドの上の妻におかゆをあげているところです。妻は10日ほど前から、自分で食べることができなくなりました。

お昼過ぎには、地域の診療所の看護婦さんが、右の腋の下の傷の洗浄に来てくれました。

黒っぽい服を身に着けた人が看護婦のパペットです。1年近く、妻の傷の手当てをやってくれています。もちろん診療所や病院は、看護婦さんを指名することは原則的にはできません。でも妻のケースでは、かなり難しいので、担当するのを嫌がる看護婦もいます。あるいは、ひどい手抜きをする看護婦もいます。ところがパペットは妻のために、癌性の傷の処置を大病院の高度な技術をもったベテラン看護婦から教わりました。

気持ちの良い画像ではないので、あまり拡大して見ないでくださいね。右腕は、あまりにも腫れてしまったので、今は自分で持ち上げることも困難になってきました。転移した癌細胞が腋の中から外に出てきて、正常な皮膚を侵食している状態です。黴菌が繁殖するとやっかいです。それで毎日、洗浄しなければならないのです。

今日は非番なのに、パペットは一人で家まで来てくれました。わざわざ家まで来てくれるのは、これで3回目です。妻の叔母さんや地域の世話人のピーオーイも手伝いました。


13年前、私たちが東京の下町、というか場末で出会ったころ、彼女は3歳になる男の子とふたりで家賃6万円の古いアパートに住んでいました。そのアパートの家賃も払えない状態で、見るに見かねて滞納していた2か月分の家賃を払ってあげました。

これは、当時私が一人で住んでいた賃貸マンションにやってきた3歳の男の子です。あとで私の戸籍に入ることになった息子です。この子には御覧のように斜視がありました。放置しては可愛そうだと思った私は、大学病院の眼科へ連れて行き、手術を受けさせると約束しました。

でも、約束はしたものの、彼女と本気で付き合うかどうか迷っていたので、実行するまでには半年もかかりました。約束したおかげで、彼女と別れられなかったという気もします。

無事に手術が終わった男の子です。私は6畳一間に狭い台所しかない彼女のアパートに何度も通いました。でも、いっそのこと一緒に住む方が家賃を節約できます。この頃、仕事の関係で東京から千葉県内のアパートに引っ越していた私は2人を呼び寄せました。

この時この子は4歳になっていたのですが、言葉の発達が十分ではありませんでした。お母さんはタイ語はもちろん、日本に来て10数年が経っていたので日本語も割と上手に喋ります。でも子供の日本語はわけのわからない妙な発音でした。語彙も3~4歳にしては極端に少なかったのです。タイ語はほとんど喋れませんでした。

4歳と言うと、普通は幼稚園に行かせる年齢です。ところがこの子には戸籍上は日本人の父親がいて、住民票もその人のところにありました。他人の私が、しかも住民票とはまったく別の場所に住んでいて幼稚園や学校に行かせることができるのかどうか、当時の私にはよく分かりませんでした。

 

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7 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
辛いです。 (P-tak)
2017-05-15 09:15:44
読者としても辛いです。鼻の奥がツーンとします。
神様、仏様、ご加護をお願いします。
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無題 (いちたい)
2017-05-15 10:07:05
今は、励ましの言葉もありませんが、優しいタイ人に囲まれて良かったですね。
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P-takさんへ (うさぎ)
2017-05-15 11:14:28
コメントありがとうございます。
妻は学歴も職業のキャリアもお金も、何もない女ですが、他人への、とくに困っている人への思いやりは普通の人ではありませんでした。思いやるだけではなく、自分が困っても人を助けることを先にする人です。

神様は、きっとそれを見ていると信じています。今の苦しみから解放してあげたいです。
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いちたいさんへ (うさぎ)
2017-05-15 11:20:09
コメントありがとうございます。
類は友を呼ぶ、というのでしょうか。妻の友達や知り合いは、外見はやんちゃな人もいますが、みんな心のきれいな人ばかりです。そういう人たちと私も接してきたので、タイ人の優しさを肌身に感じることができています。
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奇跡を祈ります (佐々木)
2017-05-15 12:13:57
はじめまして
ずっとうさぎさんのブログのファンで何年も読ませていただいてます。
奥様とうさぎさん、そしてお子様達からたくさんの愛と感動をいただいてきました。
香港からですが、心より奥様の苦痛が取り除かれることをお祈りいたします。
奥様の愛がこんな遠くの私にも届きました。どうかこのコメントの返事はお控えください。
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「楽園づくり」のご意図 (P-tak)
2017-05-15 13:08:28
こうして13年前に遡ってのお話をうかがい、ようやく意図しておられることがわかるような気がして参りました。

ご令室さまはもとより、大兄の温かいお気持ちと実行に移す強さには打ちのめされました。





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P-takさんへ (うさぎ)
2017-05-15 19:33:05
コメントありがとうございます。
お察しの通りかもしれません。
私が意図した「楽園」とは、私が楽な老後を過ごすためではありません。乳がんのために先が長くないかもしれない妻に、幸せだと感じられる時間を少しでもあげたかったのです。

娘には娘の人生があるので、妻の思い通りにはなっていません。でも母としての妻の愛情は、きっと上の娘にもわかるときが来ると信じています。
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