突然ですが、日本の福島原子力発電所事故の収束には、年内に冷温停止にもっていくことが仮にできたとしても、今後30年~50年はかかると言われています。つまり、今の世代でケリをつけることは不可能に近いのです。(理論的には、放射性物質から放射能がほぼ出なくなる24,000年という人もいます。)
それに対して、タイの洪水は、せいぜい1か月か2か月で終わりが見えるかと思ったのですが、いろんな意味で、なかなか終わりが見えませんね。復旧や復興の筋道やお金の問題を含めて。
確かに、きょうのニュースで見ると、アユタヤの遺跡付近はすっかり水が引いていますし、一昨日からは遺跡ツアーも再開されました。でも、その一方で工業団地の浸水は改善しているとはいえ、まだ復旧作業に入れる状況ではないところが殆どだそうです。
バンコクの中心部は、洪水になる恐れはほぼ消滅しましたが、その東西では、新たに避難準備指令が出される地域がいまだに後をたちません。
また今日のバンコクポスト、ネーションともに、住民による堤防の破壊活動を再び報じています。北のラムルッカ地区の、子供を含む300人の住民が「おいら、お腹が空いたよう」「蚊がいっぱいなんだよ」とタイ語で書いたプラカードを掲げて抗議行動を繰り広げました(そりゃタイ語ですよね)。
ここからが私には意味がよく理解できなかったのですが、(示威行動として?)ホックワ運河の堤防を壊した住民は、別のラヤ・スレン運河の水門を1メートル上げることと、補償金を上げることを求めました。当局と警察の責任者が出向いて住民と数時間にわたって交渉した末、何と住民の要求に屈して水門を上げてしまいました。洪水対策本部の専門家によると、これによって住民らの地区の浸水が改善されることは考えられず、南のバンカピやミンブリ地区へ流れる水の量が単に増加するだけだと言います。
ここまでくると、抗議している住民へのシンパシーも消えてしまいそうですね。真相は分かりませんが、なんだ、要するに補償金のつり上げが目的で破壊活動を、しかも子供まで動員してやってるのか、と思ってしまいます。
さて、洪水対策本部は11月10日(木)に「まだ北から流れてくる水と、これまでに海に排出された水の量を計算すると、あと11日で洪水は終わる」と高らかに?宣言しました。専門家の一人はテレビで「そんなことはありえない」と断言していたことは、このブログでも書きました。11月10日から11日後とは、21日、来週の月曜日です。バンコクの洪水が終息するまで、残された時間は、あと3日となりました。
洪水対策で失点を重ね、国内では押されっぱなしだったインラック首相ですが、外交はどうでしょうか?昨日アメリカのクリントン国務長官と国連の藩事務総長が相次いでバンコクを訪れました。インラック首相と会談したクリントンさんは、ドンムアン空港の復旧資金など1000万ドルの援助を固く約束し、インラック首相を励ましました。2人のツーショット写真を見て、40代とはいえ、若いというのは得するんだなと、つくづく思ったのは私だけではないのでは。
そして今日からインドネシアのバリ島でASEAN首脳会議が始まっていますが、日本の野田首相も先ほど羽田を出発しました。タイの首脳との会談も予定されているはずです。そこで日本側は何を言うのでしょうか。日系企業を中心にした被災企業の当面の復旧対策や今後の中期的な展望について、野田首相は何か発言するのでしょうか。また洪水への抜本的な対策について、何らかの協力を約束するのでしょうか?
TPP協議への参加に向けて関係国と協議に入るという、非常に分かりにくい宣言をした日本の首相は、今回のASEANでは、「日中韓の経済連携を今後どのように進めるか」ということばかり考えていると報じられています。さて、もうそろそろ一つくらいは、いいことを言ってくれないと、がっかりですよね。
日本の技術がしっかりとタイに継承されてきた輝かしい歴史を、ここで閉ざすことなく、さらにウインウインの両国関係を強化する意志を鮮明にしてほしいというのが、私の気持ちです。
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