今回のタイの洪水に関して、バンコクポストとネーションの2つの新聞に載っている2つの調査をご紹介しましょう。はじめに、政府機関のNIDA(National Institute of Development Administration)が先週末に行った世論調査です。 タイ全国の1273人から回答を得ています。
●今回の洪水は自然災害だと思うか?・・・・・・52.55%がそう思う。
●政治的な争いが洪水対策に影響を与えたか?・・・・20.5%がそう思う。
(あとの80%近くは、今の政府の責任だと答えているそうです。)
●今の政府は結果的には何とか対処できるか?・・・・・49.02%がそう思う。
●政府の失敗に対して裁判を起こすことは・・・・・69.99%が反対。
●被災者に補償をすべきか?・・・・・ほぼ全員がすべきと思う。
何とも言えないタイ人の心情が出ているような気がします。政府の洪水対策がうまくいかなかったと、多くの人は思っているのですが、だからと言って、強く政府を非難する気にはなれないようです。誰が悪いとか言ってないで、早く補償したり、経済の復興に取り組んでほしいというタイ国民の気持ちが表れていると思います。
もうひとつは、ネーション紙の記事からです。Abac(Assumption University of Thailand)が行った調査によると、タイの国民は今回の洪水で、兵士を救世主と見ており、政治家には失望していることが分かりました。火曜日から木曜にかけて実施された全国の1087人からの回答結果で、兵士は、(今回の活動で)98.3%の国民の支持を得ることが出来ました。またボランティア等も96%以上の高い支持を得ました。
これに対して、印象の少ない(良くない)のは、国会議員と地域の政治家・・・・51.1%、
災害対策本部(FROC)・・・・64.3%、そしてインラック首相は・・・・67.7%でした。
夏の選挙であれだけの支持を得たインラックさんですが、今回の洪水対策の拙さによって、一気に人気を落としたことになりますね。また首都をバンコクから別の場所に移すべきかどうかについては、60.4%がnoでした。yesは27.8%あり、ナコン・ラチャシーマ(コラート)という声もあったそうです。
同じくネーション紙によると、タイでは昨日、「グリーングループ」という活動家が政府の洪水対策の失敗を激しく非難して、インラック首相と災害対策本部の事実上の責任者であるプラチャ法務大臣を、国家反汚職(腐敗)委員会(?)に告発しました。告発によると、インラック首相ら二人は違法行為を行い、果たすべき義務を遂行しなかったというのですが、この動きは、チュラロンコン大学の先生が集団訴訟を起こそうとしていたのとは、まったく別もののようです。
とにかくタイでは、何か事あるたびに、誰かれとなく「何とか委員会」に告発するということが日常的に行われているようです。この告発に対して、バンコク都のスクムバン知事は、「自分やバンコク都庁は、洪水対策において、一切ミスをしていないので、まったく気にしない」と述べているそうです。まったくノーミスというのも随分と強気ですね。その負けん気で巨大バリアーを築いて、南のバンコク都民を守ろうとしたのは結構ですけど、バンコク都の北側の住民の激しい怒りを買っているのは、どういうものでしょうか・・・・・
住民の抗議活動もあいかわらず続いているようですし、何か明るい話はないものかと思ってみていたら、今冠水している地区も、年内には水がなくなるという楽観的な予想も専門家の間で出はじめているようです。争いが収まって、みんなが水の引いた自宅で新しい年を迎えられるようになるといいですね。
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日本企業がタイに集中的に投資してきたことの総括が、この洪水を契機にさまざまなレベルで行われていると思います。何がメリットだったのか、また他の国にはない何があるというのか、本当の意味で、日本とタイの関係の真価が問われることになると思います。何が魅力なのでしょうかね?かかわっている一人一人が、確かな答えを持っていると思います。