タイの親戚撃退法

「撃退」するということは、何らかの迷惑を蒙っているということを意味します。でも、強盗やストーカーを撃退するのとは訳が違いますね。一応親戚ですから。

最近わが家に妻の親戚の一人がよく来るようになりました。妻の母親の兄弟の息子、つまり妻の従兄です。年は４０代後半です。一人で来るのではなく、２つ年上の奥さんと一緒に来ます。９月に一度、夫婦でぶらりとやってきて、晩御飯だけ一緒に食べて帰りました。

住んでいる場所がわが家から車で１０分と近いので、来やすいのかもしれません。１０月に入ってから、今度は勤めている運送会社の社長を連れてきました。社長と言っても、トラックを３台持っているだけの小さな会社です。そのときも奥さんと一緒です。何のために来たのかよく理解できないまま、２時間くらいで帰りました。あとから妻に聞いたら、「私もよく分からないけど、多分、自分の親戚の家を社長に見せたかったんじゃない？」

３回目は妻の母親がカムペンペットから来ている時でした。彼から見れば、妻の母親は「おばさん」ですから、訪問する理由は大いにあります。でも、家が近いにも関わらず、わが家に２泊しました。もちろん奥さんも一緒です。

時間をあけずに３回来ると、ちょっと怪しいなと思う気持ちが芽生えます。なぜなら、彼の奥さんは以前、大学生の娘のために１０００バーツ貸してくれと電話してきた相手だからです。私も女子大生が困っていると聞いて、深く考えずに貸すことに同意してしまいました。

その奥さんを連れて、一昨日また来たのです。一昨日というと、私がタイで初めてゴルフをした日です。ゴルフ場にいる妻に電話がかかってきて、「いつものように家の前に車を停めて待っている。おいしい卵をもってきた」というのです。実際、１時間以上待っていたようです。そして、また泊まりました。１０分走れば家に帰れるのに・・・

親戚なので遊びに来るのはいいですし、近くても、酒でも飲んでいれば泊まってもいいのです。でも酒は２人とも飲まない。奥さんだけさっさと寝て、彼は夜中の２時ごろまで起きていて、妻を話し相手に延々と喋っています。そして、いつも朝は起きてこないで昼過ぎまで寝ています。

私はそれほど忍耐強くはないので、妻に言いました。「今度は何泊するつもりなの？仕事はどうなってるの？なんで昼まで寝てるの？そういうのは嫌いなんだけど。」それに対して妻も、「私にも分からない。仕事のない日はいつも昼まで寝てるみたい。」

奥さんの方は、妻と同じ６時ごろには起きて、家事の手伝いをするのですが、やはり、何故わが家に泊まるのか理解できません。たぶん居心地がいいんでしょうね、きっと。

タイでも日本でも、親戚の人に向かって「もうそろそろ帰ってください」とストレートには言わないのではないかと思います。バンコクに住んでいたとき、同じバンコクに住んでいる親戚が何度も泊りがけで来ましたが、何も言わなくても次の日の昼までに帰りました。

私がかなり嫌がっているのを知った妻は、昨日一計を案じました。

「明日の朝もゴルフに行くので、子どもたちと一緒に７時には家を出ますよ。」

この一言は朝の弱い従兄には効果てきめんでした。

「え～っ、７時に出る？それじゃあ、今日は泊まらずに家に帰ります。」やっぱり連泊するつもりだったのです。

彼がちゃんと仕事してるのかどうか、ちょっとだけ心配になってきます。そして奥さんの方は、「大学生の娘にお金がかかって大変だ」と話していましたから、妻にこっそりお金を貸してくれと言ってるのではないかと心配です。

家計を来月から妻に任せようかと思っていたのですが、暫く見送ることにしました。困っている人を見たら、じっとしていられない妻です。お金が自分の手許にあれば、私に黙って貸す確率が高いのではないかと思うからです。

従兄は、単に人の好い中年おやじに見えるんですが、奥さんの方は、１０００バーツの借金をした「実績」があるので警戒せざるをえません。でも、もし本格的な借金が狙いなら、家にも来ないうちに、挨拶代りの借金をしてしまったのは失敗でしょう。やることの順番を間違えてますね（笑）。

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