息子が出家してから今日は9日目、ネーン(未成年のお坊さん)になってからは6日目でした。このように書き出すと、ついに途中で挫折してしまったか、と思う人もいるかもしれませんね。でも、そうではなかったのです。
今朝は朝の7時半ごろから、サンサイというところにあるゴルフのショートコースで実戦練習をしていました。4時間くらいかけて、9ホールを1人で3周も回わりました。11時半ごろに終わって、妻の運転する車に乗り込み、私が「さあ、どこでお昼を食べようか?」と言った瞬間に、妻の携帯に着信がありました。
息子は携帯を持っていません。でも息子からの電話でした。ほんの10秒くらいのごく短い通話だったので、「どうしたの?」と聞くと、「良くわからないけど、誰かと喧嘩したのかな?泣いてる。行ってやらなきゃ・・・」と妻が言いました。何があったのか確かめるより先に、「行ってやらなきゃ」と考えて行動するのが妻です。「ご飯食べてからにする?」と妻は一応私に訊ねましたが、もちろん直行するように言いました。
ゴルフ場からお寺までは30分くらいでしょうか、車中、私には息子の状況が絵に描いたように想像できました。たまにですが、不思議に勘が冴える時があるのです。息子が喧嘩するとはとても思えないし、あるとすれば、タンブンのお金がなくなって途方に暮れているのではないかと思いました。そしてお寺に行ってみると、その通りでした。
私たちがお寺に着くと、ちょうど午前中の時間割が終わったばかりだったので、ネーンたちはお昼ご飯が来るまで数人のグループで遊んだり、部屋で休んだりしていました。でも、息子の姿はどこにも見当たりません。息子が電話してきた携帯の番号に妻がかけてみると、それは息子たちの先生をしているお坊さんの携帯でした。
すぐに息子が私たちを迎えに外に出てきました。でも、まったく力のない歩き方で、いかにもガックリきたという感じが体中に現れていました。「お金が全部なくなった。」ポツリと一言だけ言葉を発しました。
先生のお坊さんは、私たち3人を部屋に招じ入れ、一呼吸置いてから、「いくらあったの?」と息子に語りかけました。息子は、また悲しさがこみ上げてきたのか、目に涙を溜めて、「ぴったり1,000バーツです」と答えました。
宿所では、ネーンたちは8人一部屋で生活しています。息子は4階の、入って左側の2番目の部屋です。その部屋の8人のうち7人が、自分の鞄に大切にしまっていたタンブンのお金を盗まれたのです。8人のうち、息子の友達のネーンHの一人だけ、難を免れました。タンブンで受け取ったお金を先生に預けていたからです。
先生によると、被害に遭った他の6人はそれほどガックリきていないようでした。わが息子だけ、「タンブンで受け取ったお金がなくなってしまうなんて、悲しい。」と言うのです。お金がなくなったことが悲しいのか、ほかならぬタンブンのお金だから悲しいのか、その辺は良くわかりません。多分両方ではないでしょうか。
1000バーツというのは、被害額ではどうやら一番多かったようです。お金のタンブンを受ける機会はお坊さんになった5日以来2回あり、受け取った現金は1回目が400バーツ、2回目が600バーツの合計1000バーツだったそうです。息子が今日になってなくなっているのに気付き、同部屋の他のネーンたちも調べてみたら、6人が盗られていたのです。
先生のお坊さんは多くを語らず、肩を落として涙を浮かべている息子にやさしい言葉を時折かけていました。慈愛に満ちた目の表情が印象的なお坊さんでした。妻が「誰が盗ったにしても、泥棒にタンブンしたと思えばいいんだよ」と、息子に元気を出すように励ましました。先生も「そうだよ」と言いました。でも力がすっかり抜けてしまった息子の様子は何も変わりませんでした。御飯も喉を通らないくらい、意気消沈していました。
先生によると、出家してきた53人の子供たちは12歳から18歳だそうです。全員が無事にネーン(未成年のお坊さん)になる儀式を通過しましたが、その後、これまでに4人がやめてしまったそうです。やめたのは18歳の年長2人と12歳の年少2人だそうです。年長者の方は、夜出て行ったまま戻らなかったそうです。12歳の子供はどうやら集団生活に馴染めず数日後に親に迎えに来てもらったようです。
私は息子の顔色がよくないのはタンブンのお金を盗られたためだけではないような気がしました。それで「ちゃんと夜は寝ているか?」と聞きました。息子によると、夜のお経や瞑想の時間が終わり、先生がお寺の中にある自分の住まいに戻ってから、年長者の一部がグループになって騒ぐのだそうです。それだけでなく、各部屋を回って年少者が寝られないようにするのだそうです。そのため、毎晩眠りに就けるのは12時か1時、酷い時は2時を過ぎることもあるそうです。それでも、朝は必ず4時に起きなければならないのです。
たまたま先生の目の前で、息子は一部の年長者の行状の一端を口にすることになりました。私が質問したからです。でも、それまで先生に告げ口したこともなく、ただただ耐えていたようです。妻が「いやになったんだったら、いつでもやめていいんだよ」と日本語で言うと、息子はきっぱりと言いました。「僕は絶対にやめないから。」
先生の部屋を出る時、先生は息子の好きな牛乳とパンを渡そうとしました。でも息子は、「ありがとうございます。でもまだ食べる気になりません。」と丁重に断っていました。
あと9日、ネーンの息子よ、あれもこれも人生の修行だ。頑張れ!
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息子さん 頑張って!!
なんか、でも、体育会系の合宿みたいで、考えてたのと少しギャップが…………まだまだわからない国です。
徴兵は、以前4本に1本で当たりとか聞きましたけど、行けるんなら行ったほうが、いい身体出来そうだけど。男の子も大変ですね、親は。
ご両親もつらいでしょうね。
もちろん息子さんはもっと。
頑張って。強くなれるわ。
あー、涙が出ちゃった。ほんと、せつない。
たくさんの信心深い人たちからの、心のこもったお金でしたから、息子はものすごく悲しかったのでしょうね。
親としては、辛いことを経験することによって、一まわり成長してほしいと思います。
15,6歳くらいを過ぎると、男も女も、急に問題を抱える子供が多くなるようです(タイだけでなく、どこの国も同じでしょうね)。そういう少年は、お寺に入っても、同じなんですね、きっと。
徴兵は確率4分の1ですか。てっきり半分かと思っていました。そういわれれば、重大な戦時でもなければ、兵役に服する若者が多すぎると、お金がかかって国も大変ですね。それに、20歳すぎの男子がみんな一斉に徴兵されれば、例えば大学なんかも成り立たなくなりますね(笑)。
初めて受け取った人様のタンブン(お布施)を盗まれたのですから、きっと悲しかったのでしょう。でもそういう経験は人間を強くしてくれるでしょうね。そう思わないと、親としても辛いものがあります。
まあ 何処の国にも 賽銭泥棒 はいるでしょうね~
徴兵の規定には諸説あるようですね、受け売り
ですから(kaifaameeo)さん気にしないで下さいね~
私がいつもバンコクで 観光利用等でチャーターす
る運転手(ロイエット出身)の話では 男子は18歳
くらいの時に徴兵名簿に記録(登録?)され20歳で
くじ引きがあり 「4つのくじ」 から引いたようです。
4つのくじは 陸軍 海軍 空軍 兵役免除
の4種類らしいです。
徴兵兵役は2年間、但し学校で軍事教練を受けた
り兵役志願をした者は徴兵期間は短いようです。
ドライバー君は熱心な愛国者で国王を尊敬していて
徴兵の後陸軍で6年程いたようで サージャント と
言います(私の耳の聞こえます)から退役時は
下士官だったようです。
長く軍隊にいた理由は 貧しく学校に行けなかった
軍隊生活は嫌いではなかったし給料が出るので
居心地は良かった と言っていました。
しかし彼も40代半ばですので約20年前の昔話に
なりますね~、日本では 想像も考えも 出来ない
ことで彼に話はとても印象に残っています。
息子は食事がのどを通らず、睡眠不足もあって、昨日は少し体調を崩してしまいました。今日は、大丈夫だったようですけど。
徴兵制、現在の制度は、しかるべき人にちゃんと聞かなければわかりませんが、徴兵されるのは10%に過ぎないとか、確かに諸説ありますね。大学生の場合は、卒業してから兵役が課され、それも期間が短縮されるとか、制度としてはいろいろ複雑になっているようですね。くじ引きは、タイ年齢の21歳のとき(日本でいう満20歳ですね)、ちょうど4月の今頃に一斉に行われることは確かなようです。
給料は9000U+E3F位で金曜日が休み、とかいうのは去年赤札引いた男の子に聞きましたけど、4月抽選で入隊は5ヶ月後とかも言ってました。