乳がんが右の腋の下に転移していることがハッキリしてから2週間余り、そして「ゼローダ」という飲む抗がん剤の服用を始めてから4日が経ちました。妻は今のところ、手の指先に少しだけヒリッとするような違和感が走るだけで、以前タキソテールなどの強力な抗がん剤の点滴を受けたあとのような激しい副作用は現れていません。
↑この写真は今日の夕方撮ったものですが、いつもチビが妻にピタッと寄り添っていて、一時も離れようとしません。チビは家族の中でも断然妻に懐いているのです。ひょっとして、チビも妻の病状を察しているのかもしれません。
心配なのは、時折妻が右の腋の下をさするようにして「痛い!」と口走ることがあることです。最近その頻度が増してきたような気がします。癌が骨に転移したときは相当の痛みがあるらしいのです。妻の場合は骨ではなくて、腋の下の皮下組織にシコリができているようなのですが・・・。(右腕が腫れているのは、これまでに2度受けた放射線治療の副作用によるリンパ浮腫です。)
さて今日は、またまたチェンマイ大学病院へ行って、肝臓の超音波検査を受けてきました。自費負担のない医療保険を使うと検査は来年になるというので、800バーツほど払って今日にしてもらいました。来週月曜には骨に転移がないかどうかを調べるシンチ検査があります。
抗がん剤「ゼローダ」は毎日2回2週間服用して1週休みます。そのサイクルを繰り返すのだそうです。臓器や骨に転移があるかどうか、それが今後の治療方針を左右するのではないかと思います。検査の結果は今月24日の診察日にわかります。今はゼローダが十分に効いて、がん細胞の増殖を抑えてくれることを願っています。
転移がんが見つかったとき、妻は私に「これからどれくらい生きられるの?」と聞きました。私は、「そうだな・・・20年生きるのは難しいかもしれないね。」と答えました。そして妻は、久しぶりに対面したチェンマイ大学病院の担当医に訊ねました。「これから私が20年生きることは可能でしょうか?」
この2年ほど妻を診てきた老医師は、いつもの優しい眼差しでこう答えたのでした。「そうだね、20年生きることは可能ですよ。実際にそういう人がいます。脳にさえ転移しなければ、十分に可能ですよ。」
転移がんというと、余命がどれくらいかということを患者本人はもちろん、周囲の人間も気にします。それに対して医者は、統計的な数字に過ぎない「平均余命」を答えることもできるでしょう。しかし、平均値などと言う数字は、個々の患者にとってどれほどの意味があるのでしょうか。似たような状態でも、余命1年の人もいれば、20年以上の人もいるのですから。妻は平均値にはまったく興味がありません。自分がどれくらい生きられるか、それを知りたいのです。そして妻の担当医は、質問に偽りなく答えてくれました。患者のこころを慮れる素晴らしい医者だと思いました。
ママ、頑張ってね!
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