11月20日に、大阪府社会福祉会館で、日本ベジタリアン学会と協会共催の大阪講演会が行われました。
講演会の前には、第22回日本ベジタリアン学会大会が行われ、以下の7題の研究発表があり、多様な研究テーマで内容も深く、
今回は、オンライン参加の方が多く、会場にも熱心に研究をされている方や研究発表に聴き入る方が来られ、とても有意義な議論や情報交換ができたと思います。
また、全体のプログラム終了後に、優れた研究発表を行われた研究者ならびに、1つのテーマで高度な研究を継続的に発表されている研究者に贈られる「学会プレゼンテーション賞」が、永井恵さんといけやれいこさんに授与されました。おめでとうございます。
【第22回日本ベジタリアン学会大会 研究発表】
- 各種茶及び洗口剤の口腔細菌に対する殺菌・抗菌効果
高井 明徳(大阪信愛学院短期大学)
- 遠隔指導が可能なマイクロスケール実験‐色の異なる野菜の廃棄部位からのデンプンの抽出
佐藤 陽子 1, 2、太田 尚孝 2 (1 鎌倉女子大学教育学部、2 東京理科大学大学院理学研究科)
- 人と動物の福祉の共通点についてーベジタリアン・ヴィーガンを通じてー
橋本 晃一(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 博士後期課程)
- ローヴィーガンの歴史と理念―実践記録を中心として―
いけや れいこ(認定NPO法人日本ベジタリアン協会)
- ベジタリアンが慢性腎臓病に与える影響
永井 恵(筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センター)
- 植物由来のビタミン B12 供給源 ~のり~ 論争の現状
仲本桂子(東京衛生アドベンチスト病院)
- 外来患者に認められたビタミン B12 不足について
宮城智央(沖縄第一病院)
15時30分からは、協会共催の大阪講演会が行われ、講演に先立ち、協会の垣本充代表よりご挨拶があり、福永 健治先生の「ベジタリアンの脂質およびタンパク質栄養」の講演が始まりました。
福永先生は、水産学研究科博士で、栄養化学(脂質代謝、タンパク質の生体調節機能)、水産化学(脂質化学)がご専門で、現在は、関西大学 化学生命工学部 生命生物工学科 食品化学研究室の教授でいらっしゃいます。
講演では、ベジタリアンの食事は、タンパク質、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミン B12、ビタミン D、n-3系高度不飽和脂肪酸 など、いくつかの必須栄養素が不足していると指摘されることがあるが、食事を適切に計画すれば、幼児・子供、成人、妊娠・授乳中の女性、高齢者、運動選手など、あらゆる年代や生活スタイルに適応可能であることが解説されました。
また、ベジタリアン食は、飽和脂肪酸やコレステロール含量が少なく、食物繊維、カリウム、マグネシウム、葉酸、カロテノイド、ポリフェノールなどを多く摂取可能で、ベジタリアンは非ベジタリアンに比べ、様々な生活習慣病罹患率が低いことなども解説され、適切なベジタリアン食、ヴィーガン食は、私たちの健康にとって、とても有益であるという、心強いメッセージがありました。
ただし、食品の栄養含有量などの比較などから、ベジタリアン、ヴィーガンに不足しがちな栄養素については、しっかりとした知識を持って、気を付けておくべきであるということも解説されていました。
今回も、会場とオンラインのハイブリッド開催でしたが、普段参加できない方などもご参加頂けて、多様な学術的研究テーマについて、意見や議論を交わすことができました。
これも、常日頃より熱心に研究に励んでおられる、日本ベジタリアン学会、また、熱心に活動をされている日本ベジタリアン協会の方々や、その関係者様のご協力あっての事です。
深く感謝するとともに、今回の進行の反省点等を次回開催時に活かしていきたいと思っております。
【報告:橋本晃一】
認定NPO法人日本ベジタリアン協会:https://www.jpvs.org/