大阪講演会 第22回日本ベジタリアン学会大会の報告

2022年11月20日 | 講演会

11月20日に、大阪府社会福祉会館で、日本ベジタリアン学会と協会共催の大阪講演会が行われました。

講演会の前には、第22回日本ベジタリアン学会大会が行われ、以下の7題の研究発表があり、多様な研究テーマで内容も深く、

今回は、オンライン参加の方が多く、会場にも熱心に研究をされている方や研究発表に聴き入る方が来られ、とても有意義な議論や情報交換ができたと思います。

また、全体のプログラム終了後に、優れた研究発表を行われた研究者ならびに、1つのテーマで高度な研究を継続的に発表されている研究者に贈られる「学会プレゼンテーション賞」が、永井恵さんといけやれいこさんに授与されました。おめでとうございます。

 

【第22回日本ベジタリアン学会大会 研究発表】

  1. 各種茶及び洗口剤の口腔細菌に対する殺菌・抗菌効果

高井 明徳(大阪信愛学院短期大学)

 

  1. 遠隔指導が可能なマイクロスケール実験‐色の異なる野菜の廃棄部位からのデンプンの抽出

佐藤 陽子 1, 2、太田 尚孝 2 (1 鎌倉女子大学教育学部、2 東京理科大学大学院理学研究科)

 

  1. 人と動物の福祉の共通点についてーベジタリアン・ヴィーガンを通じてー

橋本 晃一(大阪市立大学大学院 生活科学研究科 博士後期課程)

 

  1. ローヴィーガンの歴史と理念―実践記録を中心として―

いけや れいこ(認定NPO法人日本ベジタリアン協会)

 

  1. ベジタリアンが慢性腎臓病に与える影響

永井 恵(筑波大学附属病院日立社会連携教育研究センター)

 

  1. 植物由来のビタミン B12 供給源 ~のり~ 論争の現状

仲本桂子(東京衛生アドベンチスト病院)

 

  1. 外来患者に認められたビタミン B12 不足について

宮城智央(沖縄第一病院)

 

 

15時30分からは、協会共催の大阪講演会が行われ、講演に先立ち、協会の垣本充代表よりご挨拶があり、福永 健治先生の「ベジタリアンの脂質およびタンパク質栄養」の講演が始まりました。

 

福永先生は、水産学研究科博士で、栄養化学(脂質代謝、タンパク質の生体調節機能)、水産化学(脂質化学)がご専門で、現在は、関西大学 化学生命工学部 生命生物工学科 食品化学研究室の教授でいらっしゃいます。

講演では、ベジタリアンの食事は、タンパク質、鉄、亜鉛、カルシウム、ビタミン B12、ビタミン D、n-3系高度不飽和脂肪酸 など、いくつかの必須栄養素が不足していると指摘されることがあるが、食事を適切に計画すれば、幼児・子供、成人、妊娠・授乳中の女性、高齢者、運動選手など、あらゆる年代や生活スタイルに適応可能であることが解説されました。

また、ベジタリアン食は、飽和脂肪酸やコレステロール含量が少なく、食物繊維、カリウム、マグネシウム、葉酸、カロテノイド、ポリフェノールなどを多く摂取可能で、ベジタリアンは非ベジタリアンに比べ、様々な生活習慣病罹患率が低いことなども解説され、適切なベジタリアン食、ヴィーガン食は、私たちの健康にとって、とても有益であるという、心強いメッセージがありました。

ただし、食品の栄養含有量などの比較などから、ベジタリアン、ヴィーガンに不足しがちな栄養素については、しっかりとした知識を持って、気を付けておくべきであるということも解説されていました。

今回も、会場とオンラインのハイブリッド開催でしたが、普段参加できない方などもご参加頂けて、多様な学術的研究テーマについて、意見や議論を交わすことができました。

これも、常日頃より熱心に研究に励んでおられる、日本ベジタリアン学会、また、熱心に活動をされている日本ベジタリアン協会の方々や、その関係者様のご協力あっての事です。

深く感謝するとともに、今回の進行の反省点等を次回開催時に活かしていきたいと思っております。

 

【報告:橋本晃一】

認定NPO法人日本ベジタリアン協会:https://www.jpvs.org/


11月21日 協会共催 特別講演 第21回日本ベジタリアン学会大会の

2021年11月21日 | 講演会

 

第21回日本ベジタリアン学会大会と、日本ベジタリアン協会共催の土田満先生の特別講演が、11月21日にNLC新大阪ビルで行われ、懇親会が、イマココキッチン メリーモモで行われました。

会場とオンラインのハイブリッド開催という事でしたが、皆様のおかげでスムーズに進めることができ、また、会場やオンライン参加者様からたくさんの質問があり、活発な議論ができたこと、感謝致します。

 

第21回日本ベジタリアン学会大会は、大会長の土田満先生の挨拶にはじまり、一般講演は、5題の研究発表がありました。題目と発表者様は以下の通りです。

 

  1. 不適切なベジタリアン食が原因と考えられる非常にまれながら生じる2016年から2021年に日本にて発表された症例報告に関する検討
    宮城智央 (琉球大学、沖縄第一病院)
  2. 未来食「食といのちのバランスシート」に基づく献立の栄養充足について
    郷田 優気1・服部 尚子1・大谷 ゆみこ2・伊藤信子2・垣本 充3 

1(株)フウ未来生活研究所/つぶつぶ料理教室・2(一社)ジャパンズビーガンつぶつぶ・3三育学院大学)

  1. 遠隔での実施が可能なマイクロスケール実験―指示薬の学習題材としての熱源不要型ブラックゴジベリージュースー作り―
    佐藤 陽子1, 2、太田 尚孝2

1鎌倉女子大学教育学部、2東京理科大学大学院理学研究科)

  1. 信仰と食に関する考察
    松原広幸(認定NPO法人日本ベジタリアン協会)

 

  1. 菜食と幸福の科学的研究ー英国ヴィーガン協会などの研究の見解についてー
    橋本晃一(大阪市立大学大学院生活科学研究科・博士後期課程、認定NPO法人日本ベジタリアン協会)

 

ヴィーガンの栄養学や、ビタミンB12の充足に関する研究、科学学習によるジュースづくり、そして、信仰とベジタリアン、ヴィーガンと幸福についての研究発表があり、内容や分野は多岐にわたりました。

 

 優れた研究発表を行われた研究者ならびに、1つのテーマで高度な研究を継続的に発表されている研究者に贈られる「学会プレゼンテーション賞」は、「信仰と食に関する研究」の松原広幸さん、VB12を充足する未来食「食といのちのバランスシート」の郷田優気さん、服部尚子さんに授与されました。

 一般講演終了後、特別講演では、土田満先生の「ベジタリアンの栄養学-最近の動向について-」の講演がありました。

 土田先生は、愛知みずほ大学大学院教授、研究科長、学部長、医学博士で、東京医科歯科大学大学院医学研究科(博士課程)修了、東京医科歯科大学助手(疫学)、講師(予防医学)を経て現職。この間、米国コーネル大学、米国ロマリンダ大学公衆衛生大学院の客員研究員:日本ベジタリアン学会(副会長)、日本ベジタリアン協会(評議員)。

 著書に、「Vege-dining ベジ・ダイニング」MORRIS COMPANY、「国内産野菜をイタリア式調理法で-みんなの料理-」MORRIS COMPANY、「21世紀のライフスタイルVEGETARIAN-ism(ベジタリアニズム)」フードジャーナル社などがあります。

 土田先生の講演内容は、以下です。

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1.世界のベジタリアン人口

 最近、欧米を中心としてヴィーガンを含むベジタリアンが増加している。世界のベジタリアン人口を推定する報告はいくつかみられるが、いずれも欧米における最近の顕著な増加を認めている。ベジタリアンの年平均増加率について、アメリカ(中南米を含む)では3.9%、ヨーロッパ2.6%、アジアは0.5%で、中南米を含むアメリカやヨーロッパでの増加が顕著であるという報告、また、アメリカでは2014年に1%だったベジタリアンが2017年には6%に増加したという報告もみられる。

2.ベジタリアン人口増加の背景と今後

 世界的なベジタリアン人口の増加は、2000年代初頭に成人になったミレニアル世代が関係していることや、植物性食品が中心の食生活であるが、時には肉や魚も摂取するフレキシタリアンの増加によることが報告されている。フレキシタリアンはアメリカでは4人に1人、イギリスでは3人に1人という数も推定されている。背景には、以前からの①健康志向、②動物愛護、③環境への意識の向上等とともに、最近の食を巡るウエブサイト等の情報の容易な入手等がこれらの動きを加速させる要因になっている。地球温暖化の主要な要因である温室効果ガス排出量については、食料と関わる行程における排出量が全体の3割を占め、動物性の肉摂取量と関係することより、ベジタリアン、特にヴィーガンにおいて小さいことが見積られている。また、コロナ禍により、畜産の衛生面に不安を覚えたことや、環境や健康への急激な関心の高まりが追い風になっていることもいわれている。今後、食のテクノロジーの進歩も加わり、ベジタリアンの広まりは、一時的なものではなく、長期的なトレンドになり得るとの推察もなされている。

3.日本におけるベジタリアンの動向

 一方、日本では欧米の様な顕著な増加はみられないが、少しずつ増加している。微増の原因には、和食が長寿の源であるという高い認識や食育思想、ヴィーガンに対する理解不足、菜食を取り巻く社会環境の整備が十分に進んでいない等、日本特有の状況が考えられる。しかしながら、3人に1人が植物性食中心のライフスタイルの興味を持ち、半数以上がベジファーストや野菜中心の食事を実践しているという報告もみられる様になってきている。この様な関心の広がりから、ベジタリアン、ヴィーガンに対応したレストラン数は現在2330店以上あり、2009年の17倍に増えているが、ベジタリアン専門レストラン数やスーパーでもベジタリアン専用コーナーを見かける欧米とは異なり、内容や認知度については今後に期待される面も多い。

4.ベジタリアンの健康に関する研究

 ベジタリアンの健康に関する最近の研究は、そのほとんどが、欧米人を対象としたものである。日本人を対象とした最近の研究は極めて少ない。概観すると、虚血性心疾患や2型糖尿病、ガン等の発症リスク等はベジタリアンにおいて、ベジタリアンでない人より低く、その効果はヴィーガンにおいて顕著である。その他、長生きや腸内環境におけるベジタリアンの効果も報告されている。一方、2019年に発表されたイギリスの約6万人の男女を対象として実施された前向きコホート研究(EPIC Oxford)では、脳卒中や大腿骨骨折については、逆の結果を報告する研究もみられる。

 日本人は欧米人とは遺伝や生活環境が異なることを考慮すると、日本におけるベジタリアンの増加や発展には、日本人を対象としたベジタリアン研究によるエビデンスが必要であり、研究を一層進展させる仕組み作りが望まれる。

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 ハイブリッド開催のおかげで、全国各地から参加者がありました。熱心な方々からのご質問もたくさんあり、また、スムーズな進行にご協力頂き、無事プログラムを終えることができたこと、感謝致します。

 

(報告:橋本晃一)

認定NPO法人日本ベジタリアン協会 http://www.jpvs.org/


11月22日 日本ベジタリアン学会共催 大阪講演会の報告

2020年11月22日 | 講演会

 

11月22日に、大阪市西区にあります、カーニープレイスで、日本ベジタリアン学会共催の大阪講演会が行われました。

コロナ禍により、会場からオンライン発信を行い、特別講演の前には、第20回の日本ベジタリアン学会大会の研究発表が行われ、大学教授、医師など学識経験者や、大学院生、環境市民活動家などの研究発表があり、とても充実していました。

第20回日本べジタリアン学会大会は、大会長を務める阿部一博先生のあいさつにはじまり、

特別講演は、中田敦彦氏のYouTube大学で取り上げられ、前後編合わせて視聴数100万回を突破した、『完全菜食があなたと地球を救うヴィーガン』の著者である、大谷ゆみこ先生と、幣協会の垣本充代表にご講演頂きました。

大谷先生は、第2回日本ベジタリアンアワード大賞受賞者で、日本ベジタリアン学会認定マイスターでもあり、1982年から、日本式ヴィーガン食である雑穀菜食料理を創作されました。

全国に100か所料理教室があり、レシピ本など多数執筆されており、講演では、日本人は仏教が伝来し、天皇が殺生を禁じる以前から、魚介類は食べるが肉は食べなかったことや、肉食が増えてくることで、病気も増えてきたことなどが解説されました。そして、そのような問題の改善策として、本来の日本人にあった食生活を取り戻すため、雑穀ヴィーガン食つぶつぶを普及されており、レシピは数千種類にのぼります。

垣本代表は、研究者・学者として、多くの書籍や論文を執筆されており、研究を通じてベジタリアンの医学・栄養学に出会い、環境問題などの改善も含め、ベジタリアニズムの啓発をされています。

講演では、『完全菜食があなたと地球を救うヴィーガン』の執筆に至る裏話や、ご自身が執筆された書籍に関する苦労話などがあり、興味深い内容でした。

中田YouTube大学で『完全菜食があなたと地球を救う ヴィーガン』が取り上げられるに至るまでには、スウェーデンの環境活動家グレタさんや、世界的ベストセラー『サピエンス全史』のユヴァル・ノア・ハラリ教授らを取り上げていたことが関係しているというお話もありました。両名ともにヴィーガンで、ハラリ教授は、工場式畜産と環境負荷や動物倫理の問題を啓発されています。

コロナ禍により、オンラインでも発信されましたが、会場にお越し下さった方々が、講演終了後に質問されるなど、熱心さが伝わってきました。

特別講演の前には、日本ベジタリアン学会大会の研究発表があり、発表内容は以下です。

 

 1.2020 年に発行された書籍『肉食の哲学』についての批評

宮城智央 (琉球大学医学部)

  1. ベジタリアニズムと人と動物の福祉-気候変動やパンデミックの要因-

橋本晃一(認定 NPO 法人日本ベジタリアン協会、大阪市立大学大学院生活科学研究科 博 士後期課程)

 

  1. ベジタリアンとヴィーガンは同じ-オルコットハウスから英国ヴィーガン協会設立まで-

橋本晃一(認定 NPO 法人日本ベジタリアン協会、大阪市立大学大学院生活科学研究科 博 士後期課程)

  1. 学生が実施するリンゴ果実の官能検査のデータ処理の事例

阿部一博 1・3・塩崎修志 2(1 帝塚山学院大学人間科学部・2大阪府立大学大学院生命環境科学、 3 現在:泉佐野泉南医師会看護専門学校)

  1. 菜食による温室効果ガス削減に取り組むプラントベースレストランとそこから考察する「食 とエネルギーの地域内循環」について

佐々木ヤスユキ(認定NPO 法人日本ベジタリアン協会、NPO 法人いけだエコスタッフ)

  1. キッチンサイエンスによる教育実践―炭酸水と水を用いた押麦の浮沈現象の対比が可能な粥 作り―

佐藤 陽子 1・2・3、太田 尚孝 1 (1 東京理科大学大学院理学研究科、2 武蔵野大学附属千 代田高等学院、3武蔵野大学教育学研究所)

  1. 緑茶・紅茶・塩水の含嗽液としての殺菌効果

高井 明徳(大阪信愛学院短期大学)

そして、優秀な若手研究者に贈られる「プレゼンテーション賞」は、菜食による温室効果ガス削減に取り組むプラントベースレストランとそこから考察する「食 とエネルギーの地域内循環」について発表された佐々木ヤスユキさんに贈られました。

今回のプログラムはすべて、オンラインでも発信され、普段参加が難しい方や遠方の方などもご参加頂き、また、会場に来られた方も熱心に発表や講演を聞いておられ、とても充実した1日になったと思います。

はじめてのオンライン発信ということもあり、不十分な部分もあったかと思いますが、今回の経験を活かし、今後につなげて参りたいと思っております。

ご参加くださった皆様をはじめ、学会協会関係者様に深くお礼申し上げます。

 

(報告:橋本晃一)

認定NPO法人日本ベジタリアン協会

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11月24日 日本ベジタリアン学会共催 東京講演会(つぶつぶセミナーホール)の報告

2019年11月24日 | 講演会

11月24日に、東京都新宿区にあります、つぶつぶセミナーホールで、日本ベジタリアン学会共催の東京講演会が行われ、さまざまな分野の大学教授、医師など学識経験者や、企業の方なども含め、東北から沖縄まで多くの方々が参加されました。

「サルナート:世界の仏教の揺り籠と日本との繋がり」と題して、インド大使館ヴィヴェーカナンダ文化センター長で、元バナーラス・ヒンドゥ大学教授のシッダールト・シン博士による講演が行われ、仏陀が法の輪を回すという最も重要な教えを説いた場所であるサルナートについてと、日本に伝わっている仏教との関係についてのお話がありました。

皆様熱心に聞き入っておられ、講演終了後は受講者から、仏教と日本の繋がりや、仏教と菜食・ベジタリアニズムとの繋がりなどについての深い内容の質問があり、講演参加者の学びの意欲の高さを感じました。

講演前には同会場で、第19回日本ベジタリアン学会大会の一般講演が行われ、8題の発表が行われました。

発表内容は以下です。

1.宮城智央 (琉球大学医学部)

2019年8月にオックスフォード大学から発表された論文「前向き研究EPIC-Oxfordの結果による18年間追跡された肉を食べる人、魚を食べる人、ベジタリアンにおける虚血性心疾患と脳卒中の危険性」についての文献とメディア報道への多角的考察

 

2.宮城智央 (琉球大学医学部)

ベジタリアンのためのビタミンB12栄養源についての文献的検討

 

3. 酒巻梨々花1,2・福田ひとみ1・阿部一博1(1帝塚山学院大学人間科学部・2現在:大阪狭山市)

若年層の和食摂食状況と来日中の方々による日本食の嗜好性に関する調査

 

4.中川雅博(総監技術コンサルティング)・垣本充(三育学院大学)

2019年のモンゴル国ウランバートルにおけるベジタリアン文化の定着

 

5. 橋本晃一1,4・高井明徳2・垣本充1,3(1NPO法人日本ベジタリアン協会・2大阪信愛学院短期大学・3三育学院大学・4大阪市立大学大学院)

動物性食品摂取に基づくベジタリアン調査(第2報)

 

6. 橋本晃一(NPO法人日本ベジタリアン協会、大阪市立大学大学院)

ガンジーのベジタリアニズムと英国ヴィーガン協会設立まで

 

7. 松原広幸(NPO法人日本ベジタリアン協会)

信仰的ベジタリアンからみた食のバリアフリーに関する考察

8. 佐藤 陽子1,2,3・太田 尚孝1 (1東京理科大学大学院科学教育研究科・2武蔵野大学附属千代田高等学院・3武蔵野大学教育学研究所)  

キッチンサイエンスによる新しい水の対流学習用教材の開発 ―ビーガン対応型マサラチャイの作成実験―

 

そして、優秀な若手研究者に贈られる「プレゼンテーション賞」は、「若年層の和食摂食状況と来日中の方々による日本食の嗜好性に関する調査」を発表された酒巻梨々花さんに贈られることになりました。

すべての講演終了後には、1階のレストランスペースでブッフェ形式の日本型ヴィーガン食である、雑穀菜食つぶつぶ料理による懇親会が行われ、大盛況でした。

雑穀ご飯はもちろんのこと、雑穀ハンバーグや天ぷら、サラダなど、どれも植物性で出来ているとは思えない美味しさで、「菜食で今まで食べた中で一番美味しい」と言っておられる方もいらっしゃいました。

 

講演の場所や懇親会の料理を提供いただき、講演会にもご参加下さいましたつぶつぶ関係者の皆様方をはじめ、特別講演を行っていただいたシン博士や通訳としてご参加いただいたヘマ様、日本ベジタリアン協会・日本ベジタリアン学会の皆様に厚く御礼申し上げます。

 

(報告:橋本晃一)

NPO法人日本ベジタリアン協会

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東京都主催「外国人旅行者受け入れ事業」(東京ドームホテル)講演報告

2019年03月05日 | 講演会

 3月4~5日、東京都主催「外国人旅行者受け入れ事業」の一環として東京ドームホテルにおいて、垣本代表が「ベジタリアンの基礎知識」と題する研修の講師を務めました。

「ベジタリアンの基礎知識」は、垣本代表がIVU(国際ベジタリアン連合)の学術理事を務めた経験から、ベジタリアンの歴史や理念、そのカテゴリーや、ベジタリアン食やヴィーガン食の国際基準などについて、英国ベジタリアン協会のレストラン・食品認証制度やEUの食品安全政策などを用いて解説を行いました。とくに、外国人ベジタリアン・ヴィーガン対応として、ヴィーガン料理の準備や、特殊なフルータリアンやオリエンタル・ヴィーガンの例も含めて対応策などを解説しました。2日間で約80名の出席者があり、その内訳は、営業やレストラン、宴会関係、各種料理担当のシェフまで多岐に渡りました。 

 本協会は、国土交通省(観光庁)の『外国人客への食対応マニアル』のベジタリアン章担当のほか、国土交通省の『中国地方ベジタリアンガイド(英語版)』監修のほか、農水省や東京都からベジタリアン食・ヴィーガン食のグローバル・スタンダードについてヒアリングを受けています。

 

NPO法人日本ベジタリアン協会

 

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協会共催 2/17健康教室「ガンと菜食―発ガンのメカニズムを学ぶ―」(織戸カイロプラクティック)の報告

2019年02月17日 | 講演会

2月17日に、三重県伊勢市にあります織戸カイロプラクティックで、本協会垣本代表の講演が行われ、30名募集のところ40名の方が参加されました。

講演は、垣本代表のWHO国際ガン研究機関での研修から得られた知見などに基づいてガンの発症や免疫治療などについて、そのメカニズムの解説が行われ、また、菜食のライフスタイルでも十分栄養が摂れる事を示した、最新の米国・食料科学アカデミーの公式見解が紹介されました。

講演に参加いただいた方々はメモを取られたり、質問されるなど熱心さが伝わってきました。

発ガンのメカニズムには、イニシエーション、プロモーション、プログレッションの3段階があり、プログレッションに入ると、ガンは元の健全な細胞には戻らないとお話しがあり、WHOが発表した、加工肉に発ガン性があるというニュースを交えて、ガン予防に菜食を取り入れる事の有効性についてお話しいただきました。

ガン治療法は、①手術(外科療法)、②化学療法(抗がん剤)、③放射線療法,④免疫療法があり、本庶教授のノーベル賞受賞で免疫療法が注目を浴びていますが、米国立ガン研究所が公表するガン予防食品が紹介され、野菜や果物などの植物性食品に含まれるカロテンやポリフェノールなどのガン予防効果などを説明されました。

年10回に渡り「健康教室」を開かれ地域医療への貢献されている織戸啓院長への敬意と共に、お忙しい中ご参加ただいた方々に感謝申し上げます。

 (報告:橋本晃一)

NPO法人日本ベジタリアン協会

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大阪講演会「仏教と食」および「日本ベジタリアン学会大会」の報告

2018年11月25日 | 講演会

11月25日に、大阪市中央区のカーニープレイスで、日本ベジタリアン学会大会ならびに、日本ベジタリアン協会が共催の大阪講演会「仏教と食」が行われ、東京や名古屋などからもおられ、約30名ほどの方々にご参加いただきました。

特別講演の講師には、佛教大学歴史学部教授で佛教大学宗教文化ミュージアム館長の小野田俊蔵先生をお招きし、仏教における精進食の歴史や位置づけについて詳しくお話しいただきました。講演内容は以下になります。

仏教と食

1.インド仏教での食への態度

釈尊は、一般信者食べ残しの施しを受けることで食の量や種類に対する欲求を制限し、食への欲求を減少させることを目論んで、教団での基本を乞食(こつじき)によって得たものに限定した。肉食に対する特別な拒否は当初には存在しなかった。残食である以上、植物食材をみずから収穫したり動物食材を得るために動物をしたりする行為を避けることが出来る。植物であれ動物であれ、他の命を奪う行為を直接は行なっていないという点が重視されたと考えられる。

仏教が輪廻という考えを取り入れるようになると、輪廻の主体や心があるかどうかという問題が中心的な関心となる。そして心を持つものの特徴のひとつとして苦痛を感知するという点が重要な意味を持って来る。一部の仏教者はこの点を重視し、肉食を菩薩の利他行とは相容れない行為と看做すようになった。肉食は、長い輪廻の連鎖の中では親兄弟を食する行為と大差ないと感じ始めたのである。

 

2.辟穀や木喰

中国の僧院では早い時期から、インドでは意識して避けられていた耕作や、実際の調理行為まで僧院内で行なわれていたようである。これに対して僧院外

で暮らした一部の修行者は穀類を含め調理調製した食を避ける修行をしていたと考えられる。これは、仙道を志向する仏教以外の行者の「辟穀」とか「服餌」の影響を強く受けたのではないかと思える。

「辟穀」とはいわゆる五穀断ちのことで、農耕で収穫された米やら麦やらの穀類を食べずに、山野で野生の物を採って食べながら修行することであった。

日本にもそれらの行法は伝えられた。木喰行あるいは五穀絶ちとよばれる修行で主として山岳修行者がこれを行じた。「松を餌し」ながら修行したことが役小角の事績として記録されている。最近欧米で流行っているローフード・ベジタリアンあるいはフルータリアンのような食生活であったと考えられる。

仏教側の高僧伝類でも蔬食という言葉は出てくるが、仏教側での「蔬食」という言葉は、単に蔬末な食事という意味で使われている。高僧伝類に出て来る食物名を少し書き出すと、胡麻、麦、棗、松の葉、柏葉餅などがある。

 

3.精進食の発展

中国の僧院で確立され継承された食事法、つまり基本的に肉や魚を食べず、午後に食事を摂らないという僧侶の食生活は日本仏教の祖師たちによってもほぼ堅持されていた。大乗仏教の戒律解釈の伝統の中で五辛あるいは五葷という臭いの強い葱などの特定の食材を避ける伝統も僧侶の食生活を規制することになる。このオリエンタルヴィーガンとも呼ばれる食習慣は『梵網経』という経典に起源する。また、曹洞宗や臨済宗そして黄檗宗などのいわゆる禅宗の僧院では食を司る典座たちがいわゆる精進料理という洗練された食の伝統を発展させていった。極度に洗練された精進料理の文化が創造され、その一部は茶席の懐石料理などを経由して世俗の料理文化にも大きな影響を与えることになる。

 

同時開催の日本ベジタリアン学会では5つの発表が行われました。どれも重要なテーマだと思割れますが、今回は講演題目の紹介のみとさせて頂きます。

<一般講演1>

2017年と2018年に日本にて発表された不適切なベジタリアン食が原因と考えられる症例報告に関する検討

○宮城智央 (琉球大学医学部)

 <一般講演2>

植物性食品であるクロレラの可能性

○藤島 雅基11株式会社サン・クロレラ)

<一般講演3>

佐藤流キッチンサイエンス

月の満ち欠けの学習が可能なビーガン対応型チョコレートフォンデュの作成実験―

〇佐藤 陽子、太田 尚孝(1東京理科大学大学院科学教育研究科)

<一般講演4>

ベジタリアニズムの視点から考察する動物倫理学の動向

○橋本晃一(大阪市立大学大学院)

 <一般講演5>

シカの増加と利用上の論点環境とアニマルライツの視点から

〇中川雅博(総監技術コンサルティング)

 

なお、若手研究者の優れた研究発表に授与される「学会プレゼンテーション賞」は、「植物性食品であるクロレラの可能性」を発表された株式会社サン・クロレラの藤島雅基様が受賞されました。

 

プログラム修了後には、協会認定レストランのグリーンアースでの懇親会に20名近くが集い、講師を囲んでベジタリアニズムや菜食に関心のある方がたの交流が深まったと思います。

 

日本ベジタリアン学会大会は今年で18回目になりますが、ご参加下さった方々にお礼を申し上げます。

(報告:橋本晃一)

NPO法人日本ベジタリアン協会

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岐阜県ハラールチャレンジプロジェクト2018の報告

2018年09月07日 | 講演会

岐阜県主催の「岐阜県ハラールチャレンジプロジェクト2018」のハラール対応先進事例紹介セミナーが95日に岐阜市のぎふ清流文化プラザで開催されました。

岐阜県海外戦略推進長の桑田課長、池戸課長補佐、渡邉主事らが出席され、桑田課長より開会のご挨拶があり、第1部は一般社団法人ハラル・ジャパン協会の佐久間代表による「ハラールを学びインバウンド・アウトバウンドに実践」および、本協会の垣本代表の「ベジタリアンの基礎」の講義が行われました。

ハラールの基礎はイスラム教・ムスリムの規律に関する基本の解説および、食事対応・接客を中心とする具体的な対応方法など、状況に応じた様々な対応手法を学びながら各事業者が自社の環境に合った取り組み行うための内容や、ハラール食の国際的な情報や我が国の大学食堂への導入など、我々が取り組むべき具体的な提案を含む講義が行われました。
 ベジタリアンの基礎は紀元前のインドやギリシア、19世紀の英国近代菜食運動など、ベジタリアンの歴史や理念が話され、ビーガンからポーヨー・ベジタリアンまで5つに大別されるベジタリアンの分類と詳細、精進料理や玄米菜食など日本型菜食の解説、ベジタリアンやビーガンの世界的情報、加えてインバウンド対応のレストランメニューやフードピクト表示などの講義が行われました。
 第2部は先進事例紹介として、(株)桜井食品代表取締役の桜井芳明社長ら4名による、ベジタリアン、グルテンフリー、ハラール、コーシャなどの講義が行われ、大変充実した内容でした。

参加者は約60人に上り、ホテル、レストラン関係だけなく、食品製造業や商社など多岐にわたりました。

主に東南アジアからのインバウンド事業として、地域振興を図るべく真摯に対応されている岐阜県の姿勢が反映した、意義あるセミナーでした。

(報告:垣本充)

NPO法人日本ベジタリアン協会

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協会主催 大阪ベジ研究会の報告

2018年07月24日 | 講演会

 

7月22日に大阪ボランティア協会大会議室にて、協会主催の大阪ベジ研究会が行われました。

 「いくつ知ってる?世界の食文化と表示マーク」と題して、NPO法人インターナショクナルの代表理事の、菊池信孝先生にお越しいただき、大人から子供まで楽しめるクイズなどを通じて、世界の食文化や食文化における表示マークなどについて学ぶことが出来ました。

クイズでは、皆様とても考えて答えていましたが、意外な答えに驚かれる方などもおり、知識の共有に繋がったと思います。

 約20名の方々にご参加いただき、セミナー終了後もたくさんの質問が出るなど、とても熱心な方々にご参加いただけたと思います。

 菊池先生は、学生時代にイスラム教徒との食事に苦労した経験から世界品質の食事表示ツール「フードピクト」を開発し、今では全国区1300を超えるホテルや飲食店に提供されています。

アレルギーやベジタリアンや宗教戒律により異なる多様な食文化と食事対応の重要性について、特に日本では、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて対応が迫られているという事も含めてお話しいただきました。

 

 本協会は、市民団体としてベジタリアニズムの普及・啓発を行い、まもなく25周年を迎えますが、日本に在住や海外から来られた外国人ベジタリアンにとってよりよい環境にしていくために、インターナショクナルのような団体との連携も重要になってくると考えております。

 このような企画を通じて、より一層市民団体として、市民の立場に立った活動を行っていければと思っております。

 今回ご講演いただきました菊池先生をはじめ、お熱い中お越し下さった方々に深く感謝いたします。

 (報告:橋本晃一)

NPO法人日本ベジタリアン協会

ホームページ:http://www.jpvs.org/

「東京講演会・日本ベジタリアン学会大会、学会認定アドヴァイザーセミナー」の報告(新宿区・つぶつぶセミナーホール)

2017年11月26日 | 講演会

11月26日、東京都新宿区にあります、未来食カフェレストランTUBUTUBUの2階にあります、つぶつぶセミナーホールにて、日本ベジタリアン学会大会・懇親会が行われ、盛況でした。

午前中から午後にかけて、学会認定アドヴァイザーセミナーが開講され、9名の方に受講頂き、認定資格が授与されました。

 

セミナーは、

 

「ベジタリアンの理念と歴史」

 垣本 充(日本ベジタリアン学会理事長、IVU元学術理事、歯学博士)

     

「菜食と栄養」

仲本桂子(日本ベジタリアン学会理事、東京衛生病院健康教育科長、栄養学博士)

 

「菜食と健康」

垣本 充(日本ベジタリアン学会理事長、IVU元学術理事、歯学博士)

 

「菜食と環境」

中川雅博(日本ベジタリアン学会理事、総監技術コンサルティング、農学博士)

 

以上4つのテーマで開講され、皆様熱心に聞いておられました。

 

15時からは、学会大会一般講演として、今年は6項目の発表があり、30名の方にご参加いただき、質問や議論も飛び交いました。

 

[一般講演1]

松原広幸(日本ベジタリアン学会評議員)

「信仰と食文化・信仰的ベジタリアンリズムに関する考察」

近年、ハラルなど、信仰に基づく食文化についての話題が多くでるようになっているが、信仰と食文化については、深くかかわる部分も多いが、現代日本においてはあまり認識されていないということで、ヒンズーやジャイナ教などの信仰の影響から、ご自身がベジタリアンとなるに至った経過と学びの中から、信仰と食文化の関係とベジタリアンである理由についての考察のお話しがありました。

 

[一般講演2]

宮城智央(琉球大学)

「沖縄戦ハクソーリッジのデズモンド・ドスとセブンスデー・アドベンチスト教会に関するベジタリアニズム」

第二次世界大戦の沖縄における激戦にて、信仰による良心的兵役拒否者として、敵の殺害や銃などの武器の携帯を拒否しながらも75名である大勢の人命を救った英雄的兵士を描いた映画「ハクソーリッジ」が近年公開され世界的に話題となった事に伴い、沖縄でのゆかりのある写真や動画などの資料を通して、博愛とベジタリアニズムについての関連性についての考えや思いを発表が行われました。

 

[一般講演3]

佐藤 陽子1・太田 尚孝11東京理科大学大学院・科学教育研究科)

「理科教育に活用可能な小麦アレルギー対応型変色麺の開発

-マイクロスケール法による酢橘うどん・酢橘ラーメンの作成実験-

紫キャベツを用いたカメレオン焼きそば作りで扱う原理の学習が可能な「新しい小麦アレルギー対応型変色麺」を開発したことにより、その方法の説明と、小麦を用いない麺類の調理に伴うpH変化の幅を可視化する事や、教材を用いた教育実践を行う事が今後の課題であるというお話がありました。

 

[一般講演4]

橋本晃一¹・²高井明徳³、垣本 充¹・⁴(NPO法人日本ベジタリアン協会¹、大阪市立大学大学院²、大阪信愛女学院短期大学³、三育学院大学⁴)

「動物性食品摂取状況に基づくベジタリアン調査

-近畿・関東地区の大学院・大学・短期大学生による調査-」

2017年8月から9月にかけて、京阪神・首都圏の大学院・大学・短期大学生

126名(男子50名、女子76名、19~69歳)を対象に、我が国におけるベジタリアン人口の調査を行った結果、

ビーガンタイプに関しては、

男子4.0%、女子3.9%、男女平均4.0%

広義のベジタリアンと言われるフレキシタリアンは、

男子12.0%、女子27.6%、男女平均21.4.%であった事の報告が行われました。

 

[一般講演5]

尾崎七海、長田百合、後藤花音、望月弘彦、嵐雅子(相模女子大学)

「ベジタリアンダイエットが若年性女性に及ぼす安全性の検証」

近年、我国においてベジタリアンダイエット(VD)は、「痩せる食事」、「貧血傾向が見られる食事」と誤認識されているが、VDは米国栄養士会では慢性疾患に効果的であり、すべてのライフステージにおいて有用であると認識されており、多くの報告がなされているものの本邦では少ないということで、4か月間VD(ラクトオボベジタリアン食)を摂取し、介入前後の比較を行いVDの安全性の検証を明らかにすることを目的とした研究・発表が行われました。

 

[一般講演6]

中西 純(国際武道大学)

「1日2食でラクトベジタリアンの子どもの発育」

発育に食事・栄養がどのように影響するかという問題を「発育期に子ども達が肉類を摂取しなかった場合」に観点を絞って報告されました。

世界には全く菜食をしない人々がいれば、肉を食べない人々もいる一方で、多様な食材を日常的に利用する民族もあり、これらの典型的な食習慣で生育する子ども達の発育状況を調査すれば発育学の外延を飛躍的に拡大させることができるといった視点からお話しされました。

   

16時からは、ロマリンダクリニック院長・医学博士・米国公衆衛生学博士(Dr.P.H.)の 富永國比古先生による「がん栄養療法ロカボダイエット vs.完全菜食主義(Vegan)ダイエット治療としてのベジタリアンダイエット―癌、婦人科疾患を中心に

」の題目で、医学的かつ専門的な、ロカボダイエットや菜食のお話しをお聞きすることができました。

富永先生は、1975年、岩手医科大学医学部卒業され、東京衛生病院産婦人科医長を経て、米国ロマリンダ大学大学院博士課程を修了されました。

現在、婦人科・心療内科 岩手医科大学医学部非常勤講師でもあります。

 

ロカボダイエットとは、極・低炭水化物食で肉食を勧めている食事療法のことを言い、この「ロカボダイエット」が、癌の栄養療法として最も優れている、という説が流布していますが、富永先生は、このロカボダイエットについて警鐘をならしておられます。

そして、デイーン・オールニッシ教授の研究結果などを紹介し、がん予防・治療において、動物タンパク質を排除、低脂肪食とし、野菜、果物、豆、全粒穀物、大豆などの「完全菜食主義」の実践が有益である事などをお話しされました。

 

18時からは、同会場1階にあります、未来食カフェレストランTUBTUBUで、日本式ヴィーガン食と言われる、おいしい雑穀菜食料理をいただきながら、懇親会を行い、皆様おいしいと、笑顔で話しながら交流を楽しんでおられました。

 

年1回の学会大会・講演会ということもあり、1日を通して、ベジタリアニズムへの理解や知識が深まると共に、普段あまり交流することが無い遠方の方や、一般の方、学生の方などとも交流する事ができ、とても楽しく、また有意義でした。

 

このような活動・取り組みによって、日本でも徐々にベジタリアニズムが広がりを見せており、そういった事が、本協会を含め、啓発活動を行っている人たちの励みにもなり、良い循環を生んでいるのではないかと思いました。

 

このような会を主催されている、日本ベジタリアン学会様や、講演・発表を行っていただきました先生方、学生の皆様、ならびにセミナー・講演会・懇親会にご参加いただきました皆様に心より感謝申し上げます。

 

(報告:橋本晃一)

  NPO法人日本ベジタリアン協会

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T・コリン・キャンベル博士講演会レポート 10月22日@コクヨホール

2017年10月22日 | 講演会

ガンと食の関係を長年に渡って研究されてきたキャンベル博士は、

自身の研究で解明された現代の常識とは真逆の「真実」を伝えてくれました。

 講演会の前後には、博士の提唱するプラント(植物)ベースの食事や考え方を普及する協賛企業・個人によるマルシェも行われました。

 400名近くの参加者さまの中には、医療関係者や活動家も多く、

ガンと食の関係について、専門的な質問などもありました。

 キャンベル博士は現在83歳、お子様は5人、お孫さんは11人いて、全員みんな「プラントベース ホール(全粒・未精白)フード」で育っているとのこと。

ご自身の研究の成果はご家族の存在で立証されています。

講義の中で、私が感銘を受けた部分をご紹介します。

*詳細の研究については、著書「チャイナスタディー 葬られた第2のマクガバン報告」上中下巻をお読みください。

 動物性タンパク質で発がん性物質が活性化することが研究でわかった。

 動物性タンパク質が体に入ることによって、腸内でバクテリアが発生、それが悪性に働き細胞変異が見られ、ホルモンバランスが崩れる。複数の動きが組み合わさることによって悪性に働き、ガンが進行するという仕組みがある。

タンパク質について、摂取カロリー全体の9%をタンパク質で摂取することが推奨されているが、博士は「9%」は最大容量と考えている、5%ぐらいで足りるとの見解だそうで、かなり少なくて良いことが研究により解明されているとのこと。

現在の日本人のタンパク質摂取量は総カロリーの15%、アメリカは17%だそうです。

ガンの人口が増えていることは、やはり、動物性タンパク質の摂取が増えたことが原因ということです。

日本は10年ぐらい前から動物性タンパク質の摂取が増加していると言われていました。

 一生をかけての研究によって解明されたことはおるけれど、それでも、まだまだ、わからないことがあるんだ!体っていうのは、本当に素晴らしい機能で生きていて、とても複雑で全てが関わっている。

だから、部分だけ見てもダメで、全体で見る必要がある。

 そういう意味で、サプリメントなどの単一栄養素を取り入れてもあまり効果はなく、副作用があるのでオススメできない。

そして、対処療法ではなく、毎日食べるもので体を整える、

医食同源の考え方に基づいて考えることが大切。

細胞は、小さなユニバース(宇宙)で、そのマイクロ(極小)ユニバース、目に見えないほど小さな細胞たちが何兆個も集まってこの体は構成されている。本当に、素晴らしいのだ!

西洋医学のカリキュラムでは、医者は栄養学を学ばない。

けれど、絶対に必要な要素だ。

とにかく、研究した結果、肉食によって得することはない、ということがわかった。だから、私は一切食べていないよ。

 一部表現は異なるかもしれませんが、私が受け取った解釈での言葉です。ご了承ください。

 研究内容はすべて著書に書かれていますので、こちらには、講演会だからこそ受け取れた部分を書いています。その他、質問への答えも参考になりました。

 1、魚のタンパクと肉のタンパクでは違いがあるのではないか?

>これに関して、研究し尽くしていないから、はっきりとは言えないが、

 少なくとも、植物性タンパクよりは、ガンの病巣は活発化することがわかったので、私は食べていない。

 2、ビタミンB12の不足について、どう考えるか?

>基本的にはサプリメントを推奨していないが、これは他から摂取できない場合はサプリで摂取しても副作用も少ないので問題はないが、摂るか摂らないかは個人の自由である。

 以上、とても充実した講演内容でした。

 多くの人がこの事実に出会い、新しい選択肢を得てもらえたら嬉しいです。

 また、「プラントベース ホールフード」は、

日本では私たちが提唱する「未来食つぶつぶ」の食べ方そのものであり、

「体に良い食事はおいしい!」という未来を創っていきたいと心から思いました。

 世界初、穀物をグルメする、新しいベジタリアン食スタイルが日常食になる日を思い描き、健康が当たり前の世界が実現する日を楽しみにしています。

                                                                                           (報告:郷田優気)

                                                                                 NPO法人日本ベジタリアン協会

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富山県主催「東南アジアと外国人対応飲食店育成事業」

2017年10月12日 | 講演会

富山県主催の「東南アジアと外国人対応飲食店育成事業」として会927日と1012日の両日に渡り、富山市の県民共生センター「サンフォルテ」で「ベジタリアン&ムスリム対応・基礎セミナー&料理教室」が行われました。

富山県観光地域振興局の中谷課長、今井班長、長崎課長補佐ら3名が出席され、開会のご挨拶があり、第1部は一般社団法人ハラル・ジャパン協会の佐久間代表による「ハラルの基礎」および、本協会の垣本代表の「ベジタリアンの基礎」の講義が行われました。

ハラルの基礎はイスラム教・ムスリムの規律に関する基本の解説および、食事対応・接客を中心とする具体的な対応方法など、状況に応じた様々な対応手法を学びながら各事業者が自社の環境に合った取り組み行うための内容や、ハラル食の国際的な情報や我が国の大学食堂への導入など、我々が取り組むべき具体的な提案を含む講義が行われました。
 ベジタリアンの基礎は紀元前のインドやギリシア、19世紀の英国近代菜食運動など、ベジタリアンの歴史や理念が話され、ビーガンからポーヨーベジタリアンまで5つに大別されるベジタリアンの分類と詳細、精進料理や玄米菜食など日本型菜食の解説、ベジタリアンやビーガンの世界的情報などの講義が行われました。
 第2部は京都料理学校の小川副校長による富山の素材を生かす和食の提案と題して、実習が行われました。参加者が実際に調理され、試食できるメニュー開発に参考になる充実した内容でした。

参加者は2日で約60人に上り、ホテル、レストラン関係だけなく、食品製造業や商社などの皆さまが熱心に講義や実習に取り組まれていました。

主に東南アジアからのインバウンド事業として、地域振興を図るべく真摯に対応されている富山県の姿勢が反映した、意義あるセミナーであったと思われます。

 

                             NPO法人日本ベジタリアン協会

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ベジタリアン講座・埼玉ベルエポック調理師専門学校のご報告

2017年09月26日 | 講演会

9月28日 、本協会が埼玉ベルエポック調理師専門学校より依頼を受け、ベジタリアンについての授業を行いました。

 2020年のオリンピックの事もあり、様々な国の方々が日本にやってきて卒業生達が働くレストラン(ホテル)等でどのようなイレギュラーな注文にも対応できるよう、「卒業制作」のメイン料理の1つとして「ラクト・オボ・ベジタリアンの一皿を作ること」という課題が出されました。そのため、学生に向けて、ベジタリアンとは?ラクト・オボ・ベジタリアンとは?どのような国でどのような食材を使った料理なのか、といった講話を依頼されたのでした。

 授業では、ベジタリアンの定義、起源と歴史、ベジタリアンになった理由、ベジタリアンの種類、と基本的な所から菜食の食材やレシピ本などの情報源の紹介、ベジタリアンレストランとそこで出されるとお食事についてご紹介しました。

 基本的な事柄のうち、ベジタリアンの種類はビーガン、ラクト・オボ・ベジタリアンに加え、マクロビオティック、フルータリアン、ローフードについても、またフィッシュベジタリアンやポーヨーベジタリアンと言われるセミベジタリアンについてもお話しました。更に、課題のお料理の参考になるようにと思い、多くのベジタリアンの肉や魚介の代替品、和・洋・中のベジタリアン料理の数々を個人的に撮ったたくさんの写真をもってご紹介しました。

 今後、ベジタリアンのお料理をパパッと用意できるようなレストランやホテルが増えることを期待して学校を後にしました。

                                 (報告:仲本桂子)

                          NPO法人日本ベジタリアン協会

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研究会「菜食と禅」 (大阪市:大阪ボランティア協会) のご報告

2017年07月30日 | 講演会

7月30日(日)に、大阪市内にあります大阪ボランティア協会にて、本協会主催の「菜食と禅」と題した研究会を行いました。講師は、本協会の副代表でもあり、日本ベジタリアン学会の会長の高井明徳先生をお招きして講座を行いました。高井明徳先生は、現在、曹洞宗の禅徳寺の住職を務める傍ら、理学博士の学位を活かし大阪信愛女学院短期大学看護学科の教授として教鞭をとられています。曹洞宗大本山永平寺で修行された経験があり、今回の研究会では、禅宗の歴史や価値観、菜食の食事の詳しいお話などを聞くことができました。

 禅宗に限らず、仏教では、精進に重きを置いていると思いますが、禅宗の精進の考え方なども詳しく聞くことができ、なぜ精進料理が菜食であるのか、といった事を歴史的背景なども含めてお話しいただきました。

 永平寺での修行の際の精進食を、写真と共にご紹介頂きましたが、綺麗な器に盛り受けされており、質素ではありますが、とても上品でおいしそうだと思いました。そして、食をありがたく頂くことや、目の前の食事を提供されるに至るまで、どれだけの人たちの苦労と努力があったのかということを考えながら頂くことの大切さを改めて感じました。

 禅宗の考え方や精進料理の食事のあり方や考え方は、ベジタリアニズムにとても深く関係しており、今回の講座でのお話は、単に精進料理や菜食に関するものだけではなく、禅宗の根本的な価値観や考え方、そして、不殺生戒などから来る菜食の食事の考え方などは、とても深く心に浸み込んできたように思います。

 今後も、ベジタリアン学会の専門家を招いて研究会を東京などでも開催したいと考えています。

 研究会にお越しいただいた方々、そして、講師を務めていただきました高井明徳先生に深く感謝いたします。

 (報告:橋本 晃一)


7月6日 大阪市環境学習講座(福島区コミュニティーセンター)のご報告

2017年07月06日 | 講演会

 

大阪市環境学習講座の一環として、福島区コミュニティーセンターで福島女性会の皆さまに「菜食・健康・環境」のテーマで講演を行いました。
出席者のほとんどは主婦の方達で、総数44名、高齢者の方もたくさんいらっしゃいました。
講義の内容は、ベジタリアンの起源や理念、そして、そのタイプなどについて解説し、菜食による生活習慣病予防効果などを話しました。
環境については、バーチャルウォーターやフードマイレージなどの例を挙げ、日本型菜食が地産地消に役立つライフスタイルで環境への負荷が少なく、地球温暖化や気象変動などに応えるライフスタイルであることを解説しました。
講演を終えて質問コーナーに入りましたが、やはり関心は健康にあるようで、日常の食生活に関する質問、例えば、卵の過食はコレステロール値を上昇させるのかなど、多くの質問がありました。
1時間半の講演でしたが、アカデミックな内容にかかわらず、熱心に聞いていただいた福島女性会の皆さまに感謝いたします。
(
なお、この講座は一般社団法人あだーじょのコーディネートによるものです。)

 

(報告・垣本 充)