私は刑務所に入っている受刑者たちはもちろん、悩みのある青少年たちの心に向き合ってきました。そこでわかったことは、【してはいけない】という言葉では問題は解決しないということです。また人を暗闇から解放させる力について自分なりに研究を重ねていくうちに、聖書には人を変える力があることを知りました。
聖書を軽く読むだけでは、イエスが病人を治癒したとが、御言葉を伝えたとが、ただの逸話の記録のように見えました。ところがそれらの逸話をより深く読んでみると、その中に隠されている価値が見えてきます。
例えばヨハネによる福音書には姦淫の罪で捕らわれた女に関する話が出てます。しかしその話は単に姦淫してはならないという教訓を伝える話ではありません。じっくり読んでみると、これは心の世界で起こる出来事を描いているものであることが分かりました。その物語は一見単純なものです。最近では姦淫をしても刑務所までは入れられませんが、この聖書が書かれた当時は姦淫の罪で捕えられたら石打の形で殺されました。しかしこの話の主人公の女は殺されることを知りながらも、姦淫をしました。なぜでしょうか?それは女の心の中にある淫乱な
欲望が女を引きずっていったからです。普通に考えたなら殺されるかもしれないのです、自分を抑えられないはずはありません。