*『リンゴが腐るまで』著者 笹子美奈子 を複数回に分け紹介します。50回目の紹介
『リンゴが腐るまで』原発30km圏からの報告-記者ノートから-
著者 笹子美奈子
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**『リンゴが腐るまで』著書の紹介
第3章 復興が進まないワケ
リンゴが腐るまで
(前回からの続き)
自宅への帰還を待ちわびながら、仮設住宅の畳の上で息を引き取る人。中間貯蔵施設の建設をめぐる一連の動き。原発事故後の福島県での取材で私の目に映った復興の過程は、リンゴが腐るまで待っている政治・行政の姿だった。
災害対応は時間がたつと、連立方程式になる。
たとえば、コーヒーカップがテーブルから落ちて割れたとする。発見者がすぐにガラスの破片を拾って床を拭けば、大した問題は起こらない。だが、放置すればどうなるか。ガラスの破片を踏んでけがをする人が出てくる。床にコーヒーが染み付いてとれなくなる。二次被害が起こり、修復費用が余計にかかることになる。
これを災害対応にたとえれば、国はまず、誰がガラスの破片のそりをするべきか検討する。そこでは、省庁間の押し付け合いが発生する。ようやく所管省庁が決まったら、処理の方法を検討する。検討はまず前例がないか探し、似たような事例があれば、その事例の対処法に則る。
※「第3章 復興が進まないワケ「リンゴが腐るまで」」は次回に続く
2016/9/14(水)22:00に投稿予定です。
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