ACL圏内を競う白熱の攻防は、あと1つを決め切れずにドロー。
26分 アダイウトンのゴールでFC東京が先制
33分 小川諒也が負傷交代
43分 シュヴィルツォクのゴールで名古屋が同点に追いつく
81分 レアンドロがVAR介入によりレッドカードで退場
ACL出場圏内の3位を得るために勝ち点3が欲しい一戦は、FC東京はアダイウトン、名古屋はシュヴィルツォクがゴールを挙げるも、その後は譲らずのドロー。互いに決定機を作りながら、勝ち切るまでには至らなかった。
81分に中谷への悪質なファールによってレアンドロが一発レッドカード退場で水を差す形となり、試合後の感想の多くがその件にフォーカスされてしまうことになった。今季のレアンドロは、昨季のような明白なラフプレーの改善が見られてきたと思われた矢先だっただけに、非常に残念だ。
今回は昨季とは異なり、報復ともとれる肘打ちとまではいかないにせよ、顔面へ腕や肘を突き出してしまうプレーは無用だ。その行為を除けば、中谷へ素早いプレスを掛けてボールを奪おうとした前線としての献身的なプレーだったのだが、非常に後味の悪い結果に。このプレー1点でレアンドロの全てを断罪することは避けなければならないが、今季はラフプレーを極力抑えることに努めていたとはいっても、昨季のこともあり、心証は良くないのは確かだ。
また、レアンドロは脇を開けた腕を高く振る走法ゆえ、安易に腕を相手にあてがい易い“クセ”となっていることも考えられる。猛省はもちろん必要だが、“クセ”になっているのだとすれば、心理的なカウンセリングのほか、その走法を直すため、たとえば陸上競技等走りのプロの指導や監修で走法の改善を図るといったことも検討していいとは思う。
さて、かつてFC東京を指揮していたマッシモ・フィッカデンティ率いる名古屋は、公式戦10試合不敗。ACLもJリーグで唯一8強へ進出。マッシモの勝手知ったる堅守をFC東京がいかに崩すかが注目となったが、全体的にはFC東京が攻勢を続け、ほぼ主導権を握っていた。
キックオフ直後からディエゴ・オリヴェイラがファースト・シュートを放つと、前線からの素早いプレスと細かいパス交換で名古屋陣へ攻め入り、次々とセカンドボールを回収。ただ、立て続けに攻勢をかけるものの、アタッキングサードでのパス交換からなかなかシュート場面には繋げられなかったのも事実。多少強引にシュートを放つという選択を何故しないのか、という想いが頭を過ぎり始めた26分、前線から連動してプレスを掛け、右サイドで青木がボールを回収すると、東、アダイウトン、レアンドロと繋いで、最後はアダイウトンがペナルティアーク付近から左脚でグラウンダーのシュートを放つと、GKランゲラックの左手を弾くも右ポストの内側を叩いてゴールイン。ようやくFC東京が先制点を挙げた。
FC東京は32分に小川が足を痛めて交代を余儀なくされるアクシデントがあったが、その後も名古屋にチャンスらしいチャンスをほぼ与えず。だが、43分、FC東京のコーナーキックの流れから、GKランゲラックが左サイドのマテウスへ素早くパントキックを送ると、青木がマテウスを倒し、名古屋がエリア左からのFKを得る。相馬が短くボールを出した瞬間にシュヴィルツォクが強烈な右脚を繰り出すと、枠には飛ばなかったシュートが壁として立っていたレアンドロの足に当たってシュートコースが変わり、GK波多野は逆を取られて、ゴールマウスに吸い込まれるシュートを見遣ることに。名古屋がワンチャンスを活かして試合を振り出しに戻した。
同点に追いついた名古屋は、後半開始直後から相馬を木本に、米本を長澤にチェンジ。4-1-4-1に変更して攻撃のギアを上げようとするが、それでもFC東京から流れを取り戻せないでいると、55分に前田を柿谷に、シュヴィルツォクを金崎に代えて、チャンスを作り出すも、時間が経つにつれて再びFC東京の流れに。FC東京は永井、三田を投入し、ゴールへ迫る。
だが、あと一押しとなったところで、オンフィールドレヴューを経てレアンドロが一発レッドで退場。それでもFC東京は1人少ないなか、アダイウトンに代わって入った田川が永井と2トップを組み、4-3-2へシステムチェンジ。前線に足の速い2人を置いたことが奏功したか、名古屋のディフェンスの背後のスペースを突き、ゴールチャンスを生み出すも、名古屋もGKランゲラックを中心に牙城を崩さない。
対する名古屋も、数的有利を活かして両サイドを起点に中央へ攻め込み、アディショナルタイムにはマテウス、さらに89分に投入された森下、吉田、木本と波状攻撃でシュートを放つも、GK波多野や身体を投げ出したFC東京のディフェンスを打ち破ることが出来ず。終始白熱した試合を展開したが、互いに勝ち点1を獲得したというより、勝ち点2を落としたという痛み分けか。特にFC東京は前節の4発快勝の勢いを上位進出へ繋げたかったところだ。
長友が入った効果か、距離感や連動も良化、積極的なプレーも随所に出始めてきた。ただ、件のレアンドロのプレーや、致命傷にはならなかったものの、小川に代わって入った中村拓海のプレーにはやや軽さが見られたのは、留意するところだ。特にSBに怪我人が続出しているなかで、大きなチャンスとも言えるが、まだ安易に抜かれたり、パスミスをしてしまうなど、先発に名を連ねるまでには大きな修正を課題消化を重ねる必要がありそうだ。
また、久しぶりにブルーノ・ウヴィニがベンチ入り。現時点のCBは森重とジョアン・オマリがファーストチョイスだろうが、オマリの代表戦や不測の事態に備えて、ギアを上げてもらいたい。
さらに、ブラジリアントリオ以外での得点が少ないことも勝ち切れない要因の一つだ。この試合でも永井、田川、三田とチャンスはあったが決め切れないまま。1つゴールを決めれば、停滞や閉塞感も打ち破れるはずゆえ、先発した際には序盤から、途中交代でも積極的に躊躇わずシュートを打つ続けて欲しい。
これで残り8試合。試合数の差が僅かにあるとはいえ、3位に浮上した名古屋の勝ち点54まで8差の勝ち点46となったFC東京。俗に“勝ち点＞試合数”となると追いつくのは厳しいと言われるが、そうなるとこの名古屋戦のドローで、ACL圏内到達へはかなり危険信号の域に。ただ、運良く捉えれば、まだACL圏内を争う浦和、鹿島との直接対決は残されていて、しかも次節・浦和、次々節・鹿島と連戦という大一番となる。FC東京の攻撃を大いに牽引していたレアンドロの出場停止は痛すぎるが、それでも1人欠けてからの永井、田川の2トップは得点の可能性を大いに感じたパフォーマンスだった。中2日で調子を上げている浦和との対戦は厳しいが、一世一代の大勝負くらいの心意気で浦和を打ち破らなければ、3位へは辿り着けない。
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【明治安田生命J1リーグ 第32節】
2021年9月22日（土）19:03試合開始 味の素スタジアム
入場者数 4,982人
天候 晴 ／ 気温 27.1℃ ／ 湿度 77％
主審 福島孝一郎 ／ 副審 五十嵐泰之、川崎秋仁
第４の審判員 鶴岡将樹
ＶＡＲ 山本雄大 ／ ＡＶＡＲ 佐藤隆治
FC東京 1（1-1 / 0-0）1 名古屋
得点：
（東）アダイウトン（26分）
（名）シュヴィルツォク（43分）
退場：
（東）レアンドロ（81分）
【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
ＧＫ 13 波多野豪
ＤＦ 06 小川諒也 → 中村拓海（33分）
ＤＦ 03 森重真人
ＤＦ 32 ジョアン・オマリ
ＤＦ 50 長友佑都
ＭＦ 10 東 慶悟 → 三田啓貴（67分）
ＭＦ 21 青木拓矢
ＭＦ 31 安部柊斗
ＦＷ 15 アダイウトン → 田川亨介（83分）
ＦＷ 20 レアンドロ
ＦＷ 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 永井謙佑（67分）
≪サブスティテューション≫
ＧＫ 01 児玉 剛
ＤＦ 22 中村拓海
ＤＦ 05 ブルーノ・ウヴィニ
ＭＦ 07 三田啓貴
ＦＷ 11 永井謙佑
ＦＷ 23 渡邊凌磨
ＦＷ 27 田川亨介
≪監督≫
長谷川健太
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【2021 明治安田生命J1リーグ FC東京 試合日程】
第01節 02月27日(土)14:00 △FC東京 1-1 浦 和（Ａ・埼 玉）
第02節 03月06日(土)14:00 〇FC東京 3-2 Ｃ大阪（Ｈ・味スタ）
第03節 03月10日(水)19:00 ✕FC東京 2-3 神 戸（Ｈ・味スタ）
第04節 03月14日(日)15:00 △FC東京 1-1 大 分（Ａ・昭和電ド）
第05節 03月17日(水)19:00 〇FC東京 3-2 湘 南（Ｈ・味スタ）
第06節 03月21日(日)13:00 〇FC東京 2-1 仙 台（Ｈ・味スタ）
第07節 04月03日(土)14:00 △FC東京 0-0 名古屋（Ａ・豊田ス）
第08節 04月07日(水)19:00 〇FC東京 2-1 札 幌（Ｈ・味スタ）
第09節 04月11日(日)14:00 ✕FC東京 2-4 川 崎（Ｈ・味スタ）
第10節 04月17日(土)14:00 ✕FC東京 0-1 福 岡（Ａ・ベススタ）
第11節 04月24日(土)14:00 ✕FC東京 1-2 鳥 栖（Ｈ・味スタ）
第12節 05月01日(土)14:00 ✕FC東京 0-3 横浜FM（Ｈ・味スタ）
第13節 05月09日(日)14:00 ✕FC東京 0-3 鹿 島（Ａ・カシマ）
第14節 05月15日(土)16:00 〇FC東京 4-0 柏 （Ａ・三協Ｆ柏）
第15節 05月22日(土)19:00 〇FC東京 1-0 Ｇ大阪（Ｈ・味スタ）
第16節 05月26日(水)19:00 ✕FC東京 0-3 清 水（Ａ・アイスタ）
第17節 05月30日(日)14:00 △FC東京 0-0 広 島（Ｈ・味スタ）
第18節 06月19日(土)18:00 〇FC東京 1-0 横浜FC（Ａ・ニッパツ）
第19節 06月23日(水)19:00 〇FC東京 1-0 徳 島（Ａ・鳴門大塚）
第20節 06月27日(日)19:00 〇FC東京 3-0 大 分（Ｈ・味スタ）
第22節 07月11日(日)19:00 〇FC東京 1-0 湘 南（Ａ・レモンＳ）
第21節 07月21日(水)19:00 △FC東京 3-3 Ｃ大阪（Ａ・ヨドコウ）
第23節 08月09日(月)19:00 ✕FC東京 0-1 鳥 栖（Ａ・駅スタ）
第24節 08月14日(土)14:00 ✕FC東京 2-3 札 幌（Ａ・札幌ド）
第25節 08月21日(土)19:00 △FC東京 0-0 Ｇ大阪（Ａ・パナスタ）
第26節 08月25日(水)19:00 〇FC東京 2-1 仙 台（Ａ・ユアスタ）
第27節 08月28日(土)19:00 〇FC東京 1-0 神 戸（Ａ・ノエスタ）
第28節 09月12日(日)19:00 ✕FC東京 0-1 柏 （Ｈ・味スタ）
第29節 09月18日(土)19:00 〇FC東京 4-0 横浜FC（Ｈ・味スタ）
第32節 09月22日(水)19:00 △FC東京 1-1 名古屋（Ｈ・味スタ）
第30節 09月25日(土)15:00 FC東京 vs 浦 和（Ｈ・味スタ）
第31節 10月02日(土)17:00 FC東京 vs 川 崎（Ａ・等々力）
第33節 10月23日(土)14:00 FC東京 vs 鹿 島（Ｈ・味スタ）
第34節 11月03日(水)14:00 FC東京 vs 清 水（Ｈ・味スタ）
第35節 11月06日(土)16:00 FC東京 vs 横浜FM（Ａ・日産ス）
第36節 11月20日(土)14:00 FC東京 vs 徳 島（Ｈ・味スタ）
第37節 11月27日(土)14:00 FC東京 vs 広 島（Ａ・Ｅスタ）
第38節 12月04日(土)14:00 FC東京 vs 福 岡（Ｈ・味スタ）
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