J1初の“シン・国立”開催はホーム・FC東京が2発快勝。
国立競技場の改装後、J1リーグとしては初の開催となったメモリアルマッチは、ホーム・FC東京がアダイウトン、レアンドロの2発で快勝。4試合連続クリーンシートで4位に浮上した。
FC東京は、腰部の回復が思わしくない森重がベンチから外れ、CBにエンリケ・トレヴィザンが先発した以外は、前節と同様の布陣。ベンチには怪我から復帰したレアンドロ、ルヴァンカップでは出場を果たしたバングーナガンデ佳史扶が名を連ねた。一方、G大阪はレアンドロ・ペレイラをはじめ、今季初先発となる藤春や、柳澤、坂本、齊藤が、クォン・ギョンウォン、黒川、福田、山本、パトリックに代わってスターティングメンバー入り。GK東口の不在もあってか、失点を重ねているなかで、GK一森、 昌子、三浦らを中心としたDFラインがいかにFC東京の攻撃陣を抑えるかがカギとなった。
ライトや420発の花火の演出もあってヴォルテージが上がるなかで、最初にシュートを放ったのはG大阪。FKから直接山見がゴールを狙うが、枠の右へ。だが、それ以降はFC東京がペースを手繰り寄せ、カウンターを仕掛けていく。安部、アダイウトンがシュートを放ち、G大阪陣内へ押し込む時間が続くが、G大阪もレアンドロ・ペレイラや坂本がプレスをかけてボールを奪う場面も作る。ただ、両者ともにゴール前での精度やアイディアを欠き、決定的な場面を作れずにいた。
G大阪は中盤でボールを奪われる回数を重ねるなか、ダワンらの粘り強い守備でFC東京の攻撃の芽を潰していたが、攻撃面ではFC東京の堅い守備網を打破出来ずにいると、38分に得点機が訪れる。小川のCKからのエンリケ・トレヴィザンのヘディングシュートはクロスバーに阻まれるが、そのこぼれ球に反応したアダイウトンの低く抑えた強烈なシュートが、ゴール前で立ちはだかったG大阪DF陣に当たりながらもゴールマウスへ突き刺さり、FC東京が先制。リーグでは3試合連続で得点が奪えていなかっただけに、ようやく得点に漕ぎつけた形だ。
主導権を握られているG大阪だったが、前半終了直前にペナルティエリア左からの藤春の低いクロスにレアンドロ・ペレイラが飛び込む“あわや”のシーンもあったが、全体的には少しずつボールを持てるようになるものの、最終ラインあたりでボールを回す場面からの推進力に欠き、特に中央からの突破が見られずに前半を終えた。
攻撃に重心をかけたいG大阪は、後半開始と同時に坂本を中村仁郎にスイッチ。すると、小野瀬の持ち上がりからダワンのシュートがクロスバーを叩くなど、中村仁郎やダワンらの積極的なプレーもあって、次第にFC東京陣内でチャンスを生み始める。次の点数が試合を左右するという展開に移るなかで、FC東京は“バースデーイヴ”の松木のミドルシュートや、ディエゴ・オリヴェイラを経由してゴール前へ攻め込む時間を重ねていくと、63分にアダイウトンと交代してピッチに入ったレアンドロがその2分後にゴラッソを決める。ハーフウェーラインあたりで齊藤未月に対してディエゴ・オリヴェイラが素早いプレスをかけると、そのこぼれ球を拾ったレアンドロがドリブルを開始。何度もダワンに腕を引っ張られながらもペナルティエリアへドリブルで侵入すると、DF三浦のスライディングも届かず、右脚で振り抜いたシュートがネットに突き刺さり、FC東京が追加点。“シン・国立”のヴォルテージをさらに高めた瞬間となった。
G大阪は、パトリックを投入して前線の圧と高め、レアンドロ・ペレイラがシュートを放つも惜しくも枠外。その後、DF三浦の背後からチャージをかけた永井がボールを奪取して、GK一森と対峙すると、左のレアンドロへラストパス。これを難なくレアンドロが決めるが、これはVARからのオンフィールドレヴューで永井のチャージにファウルがあったとしてノーゴールに。ダメ押しを免れたG大阪は、山見をウェリントン・シウバに、齊藤未月を奥野にスイッチ。1点返して流れを引き寄せたいところで、85分にペナルティエリア右手前の中村仁郎のFKからパトリックが頭で合わせてネットを揺らすが、VARチェックでオフサイドの判定。90分にも中村の右CKからファーサイドのダワンが頭で合わせるが、GKヤクブ・スウォビィクの手に当たって左ポストへ直撃。6分のアディショナルタイムに突入後も、レアンドロ・ペレイラやパトリックがゴールに迫るが、FC東京は押し込まれる時間となるもGKヤクブ・スウォビィクを中心に粘り強く対応。ホームのFC東京が2対0でG大阪を避け、J初のシン・国立のメモリアルマッチを制した。
思ったほど新たな戦力の底上げ見られず、ある程度の選手が固定されていたなかで、怪我から復帰したレアンドロが途中起用直後に一発回答したことは、得点に伸び悩んでいるFC東京にとっては明るい材料に。また、試合終了間際に肩を負傷して退場したのは気がかりだが、エンリケ・トレヴィザンも森重に遜色ない活躍でクリーンシートに貢献。昨季は守備の瓦解から勝機を逃していたが、今季は守備にほつれはなし。リーグ最少の5失点はそれを物語っているといえる。得点力不足もあってスコアレスドローが続いていたが、救世主的にレアンドロが復帰弾を決めたことで、停滞への歯止めとなった形だ。
それでも、ボールを収めてタメを作り多大に貢献しているディエゴ・オリヴェイラや、相手DF陣の脅威となるスピードで襲い掛かる永井、さらには紺野や山下などになかなかゴールが生まれない状況が続いており、このあたりの改善が上位への躍進へ繋がるのは間違いない。
派手な演出とともに連休を勝利で幕開けたFC東京だが、次節にアウェイで福岡、続いてホームで鳥栖との対戦が控えている。近年苦手にしている九州勢、特にこの福岡と鳥栖には鬼門になりかけている相手だ。福岡はJ1での対戦が少ないとはいえ、3勝2分5敗の負け越しで、2006年に勝利してからリーグで4度の対戦で1分3敗、鳥栖に至っては2019年のアウェイから5連敗と分の悪さを露呈している。この2試合をどう乗り切るかが、今後の試金石となりそうだ。
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【明治安田生命J1リーグ 第10節】
2022年4月29日(金)19:03試合開始 国立競技場
入場者数 43,125人
天候 雨 / 気温 14.8℃ / 湿度 68%
主審 西村雄一 / 副審 五十嵐泰之、岩田浩義
第4の審判員 川俣 秀
VAR 松尾 一 / AVAR 大塚晴弘
FC東京 2(1-0 / 1-0)0 G大阪
得点:
(東)アダイウトン(38分)、レアンドロ(65分)
(G)
〈試合経過〉
34分 警告 東京 安部柊斗
38分 得点 東京 アダイウトン
46分 交代 G大 坂本一彩 → 中村仁郎
63分 交代 東京 アダイウトン → レアンドロ
65分 得点 東京 レアンドロ
70分 交代 G大 柳澤 亘 → パトリック
80分 交代 東京 永井謙佑 → 高萩洋次郎 / ディエゴ・オリヴェイラ → 山下敬大
80分 交代 G大 齊藤未月 → 奥野耕平 / 山見大登 → ウェリントン・シウバ
90+5分 警告 東京 ヤクブ・スウォビィク
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【FC東京】
≪スターティングメンバー≫
GK 24 ヤクブ・スウォビィク
DF 05 長友佑都
DF 30 木本恭生
DF 50 エンリケ・トレヴィザン
DF 06 小川諒也
MF 16 青木拓矢
MF 31 安部柊斗
MF 44 松木玖生
FW 15 アダイウトン → レアンドロ(63分)
FW 09 ディエゴ・オリヴェイラ → 山下敬大(80分)
FW 11 永井謙佑 → 高萩洋次郎(80分)
≪サブスティテューション≫
GK 13 波多野豪
DF 37 中村帆高
DF 49 バングーナガンデ佳史扶
MF 17 紺野和也
MF 20 レアンドロ
MF 08 高萩洋次郎
FW 19 山下敬大
≪監督≫
アルベル
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【FC東京 2022シーズンスケジュール・J1リーグ】
第01節 02月18日(金)19:00 ✕FC東京 0-1 川 崎(A・等々力)
第02節 02月26日(土)15:00 FC東京✕名古屋(H・味スタ) ※中止
第03節 03月06日(日)16:00 〇FC東京 1-0 C大阪(A・ヨドコウ)
第04節 03月12日(土)15:00 〇FC東京 2-1 広 島(H・味スタ)
第05節 03月19日(土)14:00 〇FC東京 1-0 京 都(A・サンガS)
第06節 04月02日(土)19:00 ✕FC東京 1-2 横浜FM(A・日産ス)
第07節 04月06日(水)19:00 〇FC東京 3-1 神 戸(H・味スタ)
第08節 04月10日(日)14:00 △FC東京 0-0 浦 和(H・味スタ)
第09節 04月16日(土)13:00 △FC東京 0-0 札 幌(A・札幌ド)
第02節 04月20日(水)19:00 △FC東京 0-0 名古屋(H・味スタ)※代替
第10節 04月29日(金)19:00 〇FC東京 2-0 G大阪(H・国 立)
第11節 05月03日(火)17:00 FC東京✕福 岡(A・ベススタ)
第12節 05月08日(日)15:00 FC東京✕鳥 栖(H・味スタ)
第13節 05月14日(土)14:00 FC東京✕磐 田(A・ヤマハ)
第14節 05月21日(土)15:00 FC東京✕ 柏 (H・味スタ)
第15節 05月25日(水)19:00 FC東京✕清 水(A・アイスタ)
第16節 05月29日(日)15:00 FC東京✕鹿 島(H・味スタ)
第17節 06月18日(土)18:00 FC東京✕湘 南(A・レモンS)
第18節 06月26日(日)19:00 FC東京✕鳥 栖(A・駅スタ)
第19節 07月02日(土)18:00 FC東京✕福 岡(H・味スタ)
第20節 07月06日(水)19:00 FC東京✕札 幌(H・味スタ)
第21節 07月10日(日)19:00 FC東京✕浦 和(A・埼 玉)
第22節 07月17日(日)18:00 FC東京✕磐 田(H・味スタ)
第23節 07月30日(土)19:00 FC東京✕広 島(A・Eスタ)
第24節 08月07日(日)18:00 FC東京✕清 水(H・味スタ)
第25節 08月13日(土)19:00 FC東京✕C大阪(H・味スタ)
第27節 08月27日(土)19:00 FC東京✕ 柏 (A・三協F柏)
第28節 09月03日(土)・04日(日) FC東京✕横浜FM(H・味スタ)
第29節 09月10日(土)・11日(日) FC東京✕G大阪(A・パナスタ)
第26節 09月14日(水) FC東京✕神 戸(A・ノエスタ)※
第30節 09月17日(土)・18日(日) FC東京✕京 都(H・国 立)
第31節 10月01日(土)・02日(日) FC東京✕鹿 島(A・カシマ)
第32節 10月08日(土) FC東京✕湘 南(H・味スタ)
第33節 10月29日(土) FC東京✕名古屋(A・豊田ス)
第34節 11月05日(土) FC東京✕川 崎(H・味スタ)
※神戸がACLにおいてGS敗退の場合、8月20日(土)19:00に変更の可能性あり
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