*** june typhoon tokyo ***

蔚山現代×FC東京【ACL】

■ グループ2位で決勝トーナメントへ
 
 
 FC東京は引き分け以上でグループ首位が確定した試合だったが、セットプレーから失点し、その後ゴールを奪えずにグループ2位となった。この結果、ノックダウン制、一発勝負のラウンド16は、アウェイ、中国広州での試合となることが決定した。

 シュートはFC東京が11本、蔚山現代が8本。前後半ともにFC東京の方がチャンスを演出する回数は多かった。だが、惜しい場面もありながら単に不運だったと思えないのは何故だろう。

 蔚山は勝たなければグループ1位はない。しかしながら、ゴリゴリと攻めてくることはせず、まずは失点をしないよう守備を固めてきた。前回の対戦からか、互いに攻め合って上下動の激しい展開へと流れることにより、東京へスペースを与えることを避けたかった意図が見えた。サイドはほとんどオーヴァーラップをせず、前線のイ・グノとマラニョンへ渡してからの個人技に頼るところが多かった。そこで奪われてもしっかり守備を保つ。最小限での攻撃を狙ってきた。
 一方、東京は最終ラインでは自由にボールを持つことが出来た。前半の中盤までは河野の積極的なドリブルなどで打開して、攻勢の時間が続いた。その中で、高橋のシュートがポストに弾かれた跳ね返り球を渡邉がシュートするも枠外に、河野や谷澤のミドル、左ショートコーナーからの谷澤のクロスをフリーのチャン・ヒョンスが頭で合わせるもポスト右に外れるなど、ゴールは生まれず。
 このような決定機を逃し続けると、往々にしてチャンスは相手へと移ってしまうのが常。自陣エリア付近でファールを与えてのFK。ゴール左へふわりと浮かしたボールをシュートされ、一度はGKの塩田がはじき、マラニョンのヘディングシュートがバーに弾かれるも、最後には詰められて失点。1プレーを蔚山が確実に決めて前半を終えた。

 このゴールで活力が沸き、動きがよくなった蔚山に対し、後半直後から得点を奪いに行きたい東京だったが、なかなか自分たちのサッカーが出来ないまま時間が過ぎていく。最終ラインから組み立ててはみるものの、しっかりと引かれた相手陣内を切り裂くアイディアも薄く、ボールを持ち上がるも結局は最終ラインに戻されてしまう。その繰り返し。互いにだが、運動量も落ち、選手との距離間も長くなるなかで、やや感覚的な縦パスを狙うもカットされ、チャンスを失う。また、気は焦るが足が動かず足元へのパスばかりとなると、それまでなんとか対応出来ていた連係にもミスが続き、パスカットされてピンチを招く場面も多くなっていった。

 この状態に、東京ベンチは打開策として梶山、続いてルーカスを投入した。ボールを収められる二人が前線で楔の役目となることで、停滞していたパス回しにも、次第に効果が生まれてくる。決定的なスルーパスもあったが、相手GKの好セーヴもあって、ゴールは奪えず。さらに、DFのチャンに代えて今季初出場となるFWの林を投入。攻撃の枚数を増やした。林は右サイドをえぐりファールを受けるなど、チャンスの契機は演出した。だが、ゴールは遠い。ロスタイムに、ようやくゴール前中央での綺麗なダイレクト・パスによる崩しが見られたが、最終的にはルーカスのシュートもGKに阻まれ、試合終了となった。

 この試合を、怪我人や疲労などで戦線離脱する選手が多いなかで、自分たちのサッカーは貫けた。ただ、ゴールを奪う運がなかったというのは容易い。決定力の問題という言い方も当てはまるが最適とは思えない。すでにそういう結論は、言い古されたものだからだ。そこをどのように打開していくかが課題であり、突きつけられたままである一定の効果が感じられないのが現状とはいえないか。

 積極的にミドルを打って攻撃の幅を広げた、ゴールの意識を持てたというのは、評価出来るところだ。だが、リードされ、相手が引いて守っている時にどうこじ開けるのか。また、ゴール前でいい感じでパスが繋がりながらもシュートを打って攻撃を終える回数がどれだけあったかということを考えると、いまだにその答えの一つの道筋をも持てていないような気がする。

 こういう言い方は乱暴なのかもしれないが、原則的に、ゴールはシュートを打たなければ生まれないものだ。パス回しで相手を崩してのシュートも確かに見ていてワクワクするだろうし、何より美しい。その結果奪ったゴールは、格別なものがあるだろう。だが、その一方で、勝利する、ゴールするという目的にも意識を強く傾けなければならない。よく言われる、泥臭くてもゴールを奪う、何でもいいから勝つ、というあれだ。
 後半、1点リードされてタイムアップが近づく。ボールも前線へ持っていけるようになってきた。そこで、何故完璧な崩しからの綺麗なシュートやゴールにこだわりすぎるのか。シュート・チャンスがあれば、打つべきだろう。そして、質も大切だが、そこで現状補えないところは、量で勝負するしかない。ゴールも鮮やかに決まれば素晴らしいだろう。だが、どんな形でもオウンゴールでもゴールはゴールだ。一度ですんなり決める必要など全くない。シュートがGKに弾かれるかもしれない。でも、そこへ詰めて押し込められたら、得点になるのだ。ゴール前でのトリッキーなパス交換は相手を欺き、実に楽しいだろう。とはいえ、それも状況に応じてプレイの選択を首尾よくしなければならない。同点ゴールを生み、グループステージ首位で終えて、次の試合をホームでの開催にこぎつけることが如何に重要かを考えたら、シュートを狙う判断はもっと早くていい。そして、もっと積極的でいいと思うのだが。

 もちろん、スタイルの構築は重要だ。東京はこういった課題にぶち当たりながら、その精度を高めていかなければならないのも解かる。だが、勝ち上がることが第一義となる今後のトーナメント戦では、特に勝利するためのメンタリティが欠かせない。攻撃はシュートで終わる、この意識を強く持って、ラウンド16を勝ち抜いてもらいたい。


◇◇◇

<ACL グループF 第6節>
2012/05/18 蔚山文殊スタジアム

蔚山現代 1(1-0、0-0)0 FC東京

【得点】
(蔚):Kang Min-soo(37分)

観衆:5,748人
天候:晴
気温:18.0度
 

≪MEMBER≫

GK 01 塩田仁史
DF 30 チャン・ヒョンス → FW 23 林容平(84分)
DF 02 徳永悠平
DF 03 森重真人
DF 33 椋原健太
MF 04 高橋秀人
MF 07 米本拓司
MF 08 長谷川アーリアジャスール
MF 17 河野広貴 → MF 10 梶山陽平(49分)
MF 39 谷澤達也 → FW 49 ルーカス(69分)
FW 11 渡邉千真

GK 20 権田修一
DF 14 中村北斗
DF 16 丸山祐市
FW 24 重松健太郎
 

監督 ランコ・ポポヴィッチ


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