*** june typhoon tokyo ***

清水×FC東京@アイスタ

 優勝戦線圏内にギリギリ残ったドロー。

 森重が出場停止明け、太田が怪我からスタメン復帰したFC東京。そして、昨年8月以来、負傷から平山が復帰してベンチ入りを果たす。代表選出や怪我人とスクランブル状態が続くFC東京が徐々に陣容を整える兆しが見え始めたなかでのアウェイ清水戦。年間優勝のためにはこれ以上上位と離される訳にはいかなかったが、今季の順位が不思議で思えない清水のアグレッシヴな闘争心溢れるプレイにやや押されて苦しい展開に。それでも古巣の清水を相手に太田宏介が値千金のFKを決めて、何とか勝ち点1を積み上げてのドローに持ち込んだ。

 清水はチョン・テセ、ピーター・ウタカの2トップにミッチェル・デューク、白崎が両サイドという攻撃布陣。大前はベンチに控える。前線の連係はイマイチだったように思えたが、それでもチョン・テセ、ウタカの個の力は東京ゴール前に脅威をもたらし、危ない場面を作られる。デュークを含めて、決定力がやや欠けていたことが東京にとっては助けられたが、これが上位チームであれば早々と先制を許していたかもしれない。

 一方、FC東京も次第に攻勢の場面を作り出し、両者激しいプレッシャーとカウンターの応酬など、息詰まる展開で試合は進行。清水がチョン・テセ、ウタカへロングボールを一気に展開するのに対し、東京もネイサン・バーンズや前田がエリア内へ進出、決定的な場面を作り出そうとするも、バーンズは前節の名古屋戦同様に足下でのボールの収めが悪く、ドリブルで相手DFを抜き切れず引っ掛けられたり、抜け出そうとするもドリブルが大きく相手に詰められるなど、精彩を欠いた。チャレンジすること自体は評価出来るが、やや一辺倒となって着想の変化に乏しい印象も。疲労もあるのかもしれないし、前田ほか周囲との連係、視野など、もう一度確認・修正する必要があるだろう。その代わりに他のスタメン選択肢、サンダサや中島などの起用も考えてもいいかもしれない。

 前半は何とか清水の個に持ちこたえていたFC東京DF陣だったが、後半開始5分を過ぎたところでデュークのエリア内進出へのトライに慌てたのか、森重、徳永ら東京DF陣が明確な対応で凌ぎ切れず、中途半端なボールがこぼれたところに素早く反応したウタカが左から強烈なシュートを一閃。GK榎本が弾いた先にいたチョン・テセにあっさりと流し込まれて先制を許した。後半開始の10分間、与えてはいけない時間帯での失点は、今後の大きな反省としなければいけない。

 ただ、考え方を変えれば、早い時間に先制されたことでまだ同点に、逆転に持ち込める時間を多く残しているということ。個人的には、これからチャンスという時にボールを奪われていたバーンズを最初の交代のチョイスにしても良かったと思うが、東京ベンチは57分に河野に代えて中島をピッチへ送る。その後、60分に橋本、67分にようやくバーンズに代えて平山を投入。残り20分以上も時間を有する段階で、マッシモは3枚のカードを切った。この積極的な選手交代がチームへの叱咤となったか、平山がハイボールを落として中島がエリア内へ仕掛けていこうとしたところでファールを受けてFKに。森重がフェイントで跨いで相手の壁のタイミングをずらすと、太田がふわりと放ったシュートはニアサイド右上に吸い込まれて同点に。この日のパフォーマンスは怪我明けでそれほどコンディションが上がってない状態に見えた太田だったが、このセットプレーで実力を見事に発揮し、チームの窮地を救った。

 ただ、同店には追いついたものの、この後は清水の攻勢に合い、押し込まれながらも何とか凌いで時間を費やすという展開に。多少チームバランスを崩してでも同点を狙いに行ったこともあり、後半はチームとして効果的な攻撃はそれほど見られなかった。アディショナルタイムは4分あったが、終盤に見られたカウンターの応酬を続けてパワープレイで押し上げるのではなく、オープンな展開からカウンターで失点するという最悪のシナリオを避けるようにGK榎本がコントロール。是非とも勝ち点3を挙げたかったところだが、激しい仕掛け合いで疲労していたこともあり、2ndステージ残り8試合での敗戦でのショックと比較して、リスクを避けて勝ち点1を積み上げたといったところか。

 決定機に決めていれば、ゲームの展開も異なっていた……というのは勿論のことで、ではそれをどう成し得ていくかということになるが、やはりシュートチャンスがあれば打ち続けていくことだろう。この試合では太田のCKから森重のヘディングシュートがポストに当たるなど惜しい場面もあったが、それよりもシュートを打てる場面に枠内にシュートを積極的に打つことに躊躇しないでもらいたい。米本が中央から進出しバーンズにラストパスを出したものの届かなかった場面や、後半中島が左サイドから切れ込んで相手のマークを外したものの右サイドへ展開した攻撃などは、シュートで終わってもよかったのかもしれない。パスの選択肢が間違っている訳ではないが、打てる瞬間に打つことで、次に同じような展開になった時に相手DFがシュートかパスか判断に迷う場面を作ることが出来、それが相手の対応の遅れを生み出すことにもなる。
 
 東京は得失点差では上位とかなり離されていることもあり、得点力は優勝する上で非常に重要な要素となってくる。そのためには、(シュートが打てるタイミングで)シュートを打つ本数をこれまで以上に増やしていくことが必須だろう。

 今後はナビスコカップも並行しながらの戦いとなるが、残り8試合で上位の広島と浦和との勝ち点差は5となった。得失点差で大きく水をあけられているだけに、優勝するためには同じ勝ち点では順位を上回ることは非常に厳しい。
 となると、残りの試合ではとにかく負けは許されない。広島、浦和との直接対決は残しているため、ここでの勝利は必須。だが、それ以外でも調子を上げてきた神戸、横浜F・マリノスに残留争いの松本と、簡単にはいかない相手が待ち構えている。そのなかでチーム、個人ともにベスト・パフォーマンスをどのように引き出せるかをしっかりと考え、準備をして、一戦一戦悔いのない試合をしてもらいたい。

 日程を見ると、残り8試合中5試合がホームの味スタでの開催となる。また、広島戦以外の横浜F・マリノス戦、柏戦は移動距離もほとんどないゆえ、パフォーマンスが著しく低下することも避けられるはずだ。広島戦は直接対決ゆえアウェイであろうと勝利は必須ということで、かえってシンプルに挑むことが出来るだろう。少なくとも広島戦までの3試合は出来れば3勝、最低でも2勝1分けで9月を乗り切って、10月の天王山となるだろう広島、浦和戦へ向かいたい。

◇◇◇

【J1リーグ 2ndステージ 第9節】
2015年08月29日/IAIスタジアム日本平/18:04キックオフ
観衆:14,954人
天候:曇、弱風
気温:25.3度 湿度:75%
主審:吉田寿光/副審:前之園晴廣、武部陽介

 清水 1(0-0/1-1)1 FC東京

得点:
(清):鄭大世(50分)
(東):太田宏介(70分)

≪スターティングラインアップ≫
13 GK 榎本達也
02 DF 徳永悠平
03 DF 森重真人
05 DF 丸山祐市
06 DF 太田宏介
04 MF 高橋秀人
07 MF 米本拓司
22 MF 羽生直剛 → 橋本拳人(60分)
16 FW ネイサン・バーンズ → 平山相太(67分)
17 FW 河野広貴 → 中島翔哉(57分)
20 FW 前田遼一

≪サブスティテューション≫
41 GK 波多野豪
29 DF 吉本一謙
50 DF 松田陸
08 MF 三田啓貴
37 MF 橋本拳人
09 FW 平山相太
39 FW 中島翔哉

≪マネージャー≫
マッシモ・フィッカデンティ

◇◇◇

【明治安田生命J1リーグ 1stステージ】
第01節 03月07日(土)14:00△ FC東京 2-2 G大阪(A・万 博)
第02節 03月14日(土)14:00△ FC東京 0-0 横浜FM(H・味スタ)
第03節 03月22日(日)17:00〇 FC東京 2-0 神 戸(A・ノエスタ)
第04節 04月04日(土)16:00〇 FC東京 1-0 甲 府(H・味スタ)
第05節 04月12日(日)16:00〇 FC東京 1-0 湘 南(A・BMWス)
第06節 04月18日(土)16:00✕ FC東京 1-2 広 島(H・味スタ)
第07節 04月25日(土)18:30〇 FC東京 1-0 山 形(A・NDスタ)
第08節 04月29日(祝)14:00〇 FC東京 1-0 新 潟(A・デンカS)
第09節 05月02日(土)16:00〇 FC東京 2-1 川 崎(H・味スタ)
第10節 05月06日(休)19:00〇 FC東京 3-2 仙 台(A・ユアスタ)
第11節 05月10日(日)16:00✕ FC東京 0-1 鹿 島(H・味スタ)
第12節 05月16日(土)15:30✕ FC東京 1-4 浦 和(A・埼 玉)
第13節 05月23日(土)19:00✕ FC東京 0-1 名古屋(H・味スタ)
第14節 05月30日(土)19:00〇 FC東京 2-1  柏 (H・味スタ)
第15節 06月07日(日)16:00〇 FC東京 2-1 松 本(A・松本平)
第16節 06月20日(土)16:00〇 FC東京 2-1 鳥 栖(A・ベアスタ)
第17節 06月27日(土)19:00〇 FC東京 3-2 清 水(H・味スタ)

【明治安田生命J1リーグ2ndステージ】
第01節 07月11日(土)18:30✕ FC東京 0-2 川 崎(A・等々力)
第02節 07月15日(水)19:00〇 FC東京 3-1 新 潟(H・味スタ)
第03節 07月19日(日)19:00△ FC東京 0-0 山 形(H・味スタ)
第04節 07月25日(土)18:30✕ FC東京 1-2 鹿 島(A・カシマ)
第05節 07月29日(水)19:00〇 FC東京 3-1 仙 台(H・味スタ)
第06節 08月12日(水)19:00〇 FC東京 1-0 甲 府(A・中銀スタ)
第07節 08月16日(日)18:00〇 FC東京 2-1 G大阪(H・味スタ)
第08節 08月22日(土)19:00△ FC東京 0-0 名古屋(A・豊田ス)
第09節 08月29日(土)18:00△ FC東京 1-1 清 水(A・アイスタ)

第10節 09月12日(土)19:00  FC東京×神 戸(H・味スタ)
第11節 09月19日(土)19:00  FC東京×横浜FM(A・日産ス)
第12節 09月26日(土)18:30  FC東京×松 本(H・味スタ)
第13節 10月03日(土)19:00  FC東京×広 島(A・Eスタ)
第14節 10月17日(土)14:00  FC東京×湘 南(H・味スタ)
第15節 10月24日(土)14:00  FC東京×浦 和(H・味スタ)
第16節 10月28日(水)19:00  FC東京× 柏 (A・日立柏)/11月07日(土)14:00
第17節 11月22日(日)13:30  FC東京×鳥 栖(H・味スタ)

【J1リーグ 順位表 年間】
01 広 島 55/26/17/4/05/54/26/+28
02 浦 和 55/26/16/7/03/50/29/+21
03 FC東京 50/26/15/5/06/35/26/+09
04 G大阪 47/26/13/8/05/38/25/+13
05 鹿 島 44/26/13/5/08/45/33/+12
06 川 崎 41/26/12/5/09/43/38/+05
07 横浜FM 40/26/11/7/08/36/26/+10
08  柏  37/26/10/7/09/36/33/+03
09 名古屋 36/26/10/6/10/32/33/-01
10 湘 南 36/26/10/6/10/31/33/-02
11 神 戸 32/26/08/8/10/35/31/+04
12 甲 府 29/26/08/5/13/19/31/-12
13 鳥 栖 29/26/07/8/11/33/51/-18
14 仙 台 27/26/07/6/13/38/38/+00
15 新 潟 25/26/06/7/13/32/47/-15
16 松 本 21/25/06/3/16/23/43/-20
17 清 水 20/26/04/8/14/31/48/-17
18 山 形 18/25/03/9/13/17/37/-20
※(勝点/試合数/勝/分/負/得点/失点/得失点差)

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