13試合負けなしで5位の横浜F・マリノスとアウェイで対戦したFC東京は、シュート数こそ横浜F・マリノスの9本に対し11本と上回ったものの決定力に欠け、前回ホームで対戦した時と同様、終盤に失点して勝ち点3を献上。これで前節の浦和戦に続いての連敗。24節を終えて9勝6分9敗と、勝ちと負けが同数になってしまった。次節は上位争いを演じているC大阪が相手。仮にC大阪に敗れることになると、勝率5割を切ることになる。
前節浦和戦で負傷した室屋に代わって右サイドを務めたのは、J1リーグデビューとなった柳。左サイドは不調の太田に代わって小川が先発。GKは大久保択生から林へスイッチ。新システムを試行錯誤するなかで連動性を如何に発揮出来るかが堅守の横浜F・マリノス攻略への一つの策だったが、高萩のクロスや大久保嘉人のスルーパス、柳や小川からのサイドからのクロスをもって攻め込むが、橋本のヘッドは枠を捉えることが出来ず、ロングボールを多用する展開に。それでも、前半40分近くに前田のポストプレーから大久保嘉人が抜け出した高萩に絶妙なスルーパスを送ると、高萩と横浜GK・飯倉が1対1となる決定機を迎えたが、これを高萩がループで狙うも枠を外して得点機を逸してしまう。その後の前田のヘディングシュートも枠を外してしまう。
後半になると、横浜が攻勢に出る。齋藤のドリブル突破とストライドの長いマルティノスの攻め上がりに、FC東京もカウンターのケアを強めたのか、なかなか前へ素早く攻め込むことが出来ない。すると、83分に左サイドの齋藤からボールを受けた扇原が徳永の背後を突くと、対応が遅れた徳永を尻目にファーサイドへ緩やかなクロス。これを途中出場のウーゴ・ヴィエイラが頭で叩きつけると、跳ねたボールはポストに当たってインゴール。堅守の横浜相手にまたしても終盤に失点。
FC東京は失点直前にポルトガル移籍が決まり、FC東京でのJ1リーグ最後の試合となる中島、タイムアップ間近にピーター・ウタカを投入するも、交代選手の明確な役割が見えない交代で、効率よく攻撃を繰り出せない。時折パスを繋ぎながらサイドから中央に刻み込もうとするも、シュートはなかなか打たせてもらえず、攻撃が停滞。今回日本代表に選出された高萩もミドルシュートを繰り出したりはしたが、あわよくばゴールを貪欲に狙うという意志は買えるが、GK正面や単発で終わってしまうなど、効果的な攻撃を作り上げられたかというと、首を傾けざるを得ない。永井の速い脚を活かしたロングフィードを軸にした攻めなのか、中島のドリブルで相手のブロックを崩しにいくのか、それともサイドの高い位置にポジションを取っている左は小川、右は柳からのクロスを主軸とするのか、交代カードを切っても、その意図が不明瞭ゆえ、前向きなメッセージを窺い知ることは出来なかった。
チャンスの回数やチャンスを生み出しそうな時間帯はFC東京の方が多く占めていたが、横浜F・マリノスの攻撃の方が怖さがあったのは、チャンスと見るや（仕掛けるや）アグレッシヴに素早くゴール前へ攻めるというスピードがあるから。FC東京も大久保や高萩から時折ダイレクトタッチからのパスや中央からのタメを効かせたパスなどを送るものの、多くの攻撃はスピードがなく、やはり相手の帰陣を許してしまうなかで、結局縦パスが送れずに横や後ろへボールを逃がす状態になってしまっている。守備も人数は揃っているのに、行くべきタイミングでプレッシャーを掛けられない“クセ”から脱しきれず、終盤には徳永が1、2テンポ遅く扇原へのケアに遅れた結果、エリア奥から狙いすましたようなクロスを上げられ、得点を許すことになった。
堅守というか互いに重心を守備的なものにして、いわゆる“塩試合”が多い横浜F・マリノス戦だが、当試合では攻めに行く回数も多かったため、それぞれの攻防が普段以上に見えた試合にはなったかもしれない。だが、いつまで経っても選手間の距離感を掴めず仕舞いで、攻撃の“これぞ”というパターンを構築出来ないゆえ得点力が望めず、24試合中8試合しか無失点がないのであれば、勝ち点3を積み上げていくことはかなり難しい。
残り10節、ACL圏内の柏とは勝ち点差13に広がり、かなりの確率でACL圏内は望めなくなった。リーグの終盤戦に向かい、どのような意志、目標で戦っていくのかを明示しないと、何となしにズルズルと行ってしまう。結果として勝利を収めることもあるだろうが、それでは次年へ向けての基盤やチームスタイルの構築にプラスにならない。どのようなサッカーをしたいのかが見えてこないと、サポーターのストレスも払拭し切れない状況になり得る。
次節のC大阪戦の前には、ルヴァンカップの準々決勝。日本代表に選出された高萩を抜いた形で、次週のウィークデーに川崎との1stレグが控えている。リーグとカップ戦の違いはあるにせよ、FC東京が勝てなかった浦和を、今の川崎はACLの準々決勝で3対1と避けている。ゲームメイカーの高萩不在のなかで、またドリブルで相手陣内へ切り込める中島をポルトガル移籍によって駒が少なくなっている現況も鑑みると、ルヴァンカップの川崎戦も非常に厳しいものになる。
ルヴァンの勝敗の行方はさておき、今季のリーグの目標にほぼ届かなくなり、しかしながら残留ラインとの勝ち点差も残り試合数よりも多い13差あるということで残留もほぼ決定となると、監督交代の“劇薬”を使う意味合いも薄い。タレントは豊富ながらも“宝の持ち腐れ”で勝ち切れない中位クラブの現状を真の意味で変えるための“施術”を、これからは地道に構築していくのが賢明だと思う。下手に結果を追い求めて勝ち続けたとしても、その持続性はなく、今後に繋げるものもないままだ。
この試合で日本を去る中島翔哉。途中出場し、89分にピーター・ウタカからパスを受けた後にループシュートを放つもクロスバーに弾かれてしまった。こういう時に跳ね返りをインさせられるように、ポルトガルでも精進してもらいたい。FC東京としてはゴールをこじ開けられる少ない戦力だっただけに離脱はもちろん痛いが、東京で表現しきれなかったことを表現出来るようになり、代表に選出されるプレイヤーとなることが唯一の恩返しだ。
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【明治安田生命J1リーグ戦 第24節】
2017年08月26日(土)19:03 試合開始 日産スタジアム
入場者数 24,707人
天候 曇 ／ 気温 29.3℃ ／ 湿度 59％
主審 福島孝一郎 ／ 副審 金井清一、清野裕介 ／ ４審 高山啓義
横浜FM 1（0-0 / 1-0）0 FC東京
≪得点≫
（横）： ウーゴ・ヴィエイラ（83分）
（東）：
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【FC東京 メンバー】
≪スターティングメンバー≫
GK 33 林 彰洋
DF 22 徳永悠平
DF 14 チャン・ヒョンス
DF 05 丸山祐市
MF 08 高萩洋次郎
MF 26 柳 貴博
MF 37 橋本拳人 → ピーター・ウタカ（88分）
MF 07 米本拓司 → 中島翔哉（80分）
MF 25 小川諒也
FW 20 前田遼一 → 永井謙佑（71分）
FW 13 大久保嘉人
≪サブスティテューション≫
GK 01 大久保択生
DF 04 吉本一謙
MF 23 中島翔哉
MF 38 東 慶悟
MF 06 太田宏介
FW 15 永井謙佑
FW 09 ピーター・ウタカ
≪監督≫
篠田善之
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【2017明治安田生命J1リーグ FC東京 日程】
第01節 02/25(土)14:00〇FC東京 1-0 鹿 島（A・カシマ）
第02節 03/04(土)15:00〇FC東京 2-0 大 宮（H・味スタ）
第03節 03/11(土)19:00✕FC東京 0-3 Ｇ大阪（A・吹田Ｓ）
第04節 03/18(土)19:00〇FC東京 3-0 川 崎（H・味スタ）
第05節 04/01(土)16:00△FC東京 3-3 鳥 栖（H・味スタ）
第06節 04/08(土)19:00✕FC東京 1-2 札 幌（A・札幌ド）
第07節 04/16(日)14:00✕FC東京 0-1 浦 和（H・味スタ）
第08節 04/22(土)16:00〇FC東京 3-0 新 潟（A・デンカＳ）
第09節 04/30(日)15:00〇FC東京 1-0 広 島（H・味スタ）
第10節 05/07(日)14:00〇FC東京 2-0 仙 台（A・ユアスタ）
第11節 05/14(日)15:00✕FC東京 1-2 柏 （H・味スタ）
第12節 05/20(土)19:00△FC東京 1-1 神 戸（A・ノエスタ）
第13節 05/28(日)16:00△FC東京 1-1 甲 府（H・味スタ）
第14節 06/04(日)13:00〇FC東京 2-0 清 水（A・アイスタ）
第15節 06/18(日)18:00✕FC東京 0-1 横浜FM（H・味スタ）
第16節 06/25(日)18:00✕FC東京 0-2 磐 田（A・ヤマハ）
第17節 07/02(日)19:00✕FC東京 1-3 Ｃ大阪（A・金鳥スタ）
第18節 07/08(土)19:00△FC東京 2-2 鹿 島（H・味スタ）
第19節 07/30(日)19:00△FC東京 1-1 新 潟（H・味スタ）
第20節 08/05(土)19:00△FC東京 1-1 川 崎（A・等々力）
第21節 08/09(水)19:00〇FC東京 2-1 大 宮（A・NACK５）
第22節 08/13(日)19:00〇FC東京 1-0 神 戸（H・味スタ）
第23節 08/19(土)19:00✕FC東京 1-2 浦 和（A・埼 玉）
第24節 08/26(土)19:00✕FC東京 0-1 横浜FM（A・日産ス）
第25節 09/09(土)19:00 FC東京 vs Ｃ大阪（H・味スタ）
第26節 09/16(土)19:00 FC東京 vs 仙 台（H・味スタ）
第27節 09/23(土)16:00 FC東京 vs 柏 （A・ 柏 ）
第28節 09/30(土)16:00 FC東京 vs 磐 田（H・味スタ）
第29節 10/15(日)14:00 FC東京 vs 甲 府（A・中銀スタ）
第30節 10/21(土)16:00 FC東京 vs 札 幌（H・味スタ）
第31節 10/29(日)17:00 FC東京 vs 清 水（H・味スタ）
第32節 11/18(土)14:00 FC東京 vs 鳥 栖（A・ベアスタ）
第33節 11/26(日)13:00 FC東京 vs 広 島（A・Ｅスタ）
第34節 12/02(土)14:00 FC東京 vs Ｇ大阪（H・味スタ）
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