*** june typhoon tokyo ***

大熊でいいのか

■ 東京が昇格するためのデッドライン
 

Fctokyo_dorompa

 一貫性が見えないサッカー、主力選手のリタイア続出……と、チグハグなチーム状況が拭えないFC東京。要因はさまざまあろうが、一つ、現時点では、選手起用法や戦術、掲げるスタイルや着想がなかなか見えてこない印象が強い指揮官、大熊監督でこのまま行くべきなのかを考察してみることにした。本来ならば、詳細なスカウティング・レポートのもとで評価すべきだとは思うが、時間的経済的制限もあって全試合をリアルタイムで観戦することは出来ないため、当然そのようなデータを駆使しての評価は下せない。その意味で、あくまで一つの入り口としての考察とすることをお許し願いたい。原則として、過去の戦績をもとに、“1年でJ1に復帰出来るのか”について推測をしてみたい。
 
 次に列記したのは、2010年の城福監督解任後、大熊監督となってからの公式戦での戦績だ。


◇◇◇


【2010年】

≪J1リーグ≫
09/25(土) FC東京×大宮  ● 0-1(H・味の素スタジアム)
10/03(日) FC東京×湘南  ○ 3-0(H・国立競技場)
10/16(土) FC東京×仙台  ● 2-3(A・ユアテックスタジアム仙台)
10/23(土) FC東京×新潟  △ 1-1(H・味の素スタジアム)
10/30(土) FC東京×清水  ○ 2-1(A・アウトソーシングスタジアム日本平)
11/06(土) FC東京×G大阪 △ 1-1(H・味の素スタジアム)
11/14(日) FC東京×横浜FM ○ 2-1(A・日産スタジアム)  
11/20(土) FC東京×川崎  ● 1-2(H・味の素スタジアム)
11/23(火) FC東京×名古屋 ○ 1-0(A・豊田スタジアム)
11/27(土) FC東京×山形  △ 1-1(H・味の素スタジアム)
12/04(土) FC東京×京都  ● 0-2(A・京都市西京極総合運動公園陸上競技場)  

※11試合4勝4敗3分(勝点15、得点14、失点13、得失点差+1)


≪天皇杯≫
10/11(月) FC東京×北九州 ○ 2-0(3回戦・正田醤油スタジアム群馬)
11/17(水) FC東京×千葉  ○ 2-0(4回戦・味の素スタジアム)
12/25(土) FC東京×福岡  ○ 3-2(準々決勝・熊谷スポーツ文化公園陸上競技場)
12/29(水) FC東京×鹿島  ● 1-2(準決勝・国立競技場)

※4試合3勝1敗(得点8、失点4、得失点差+4)


【2011年】

≪J2リーグ≫

03/05(土) FC東京×鳥栖  ○ 1-0(H・味の素スタジアム)
04/24(日) FC東京×千葉  ● 0-3(A・フクダ電子アリーナ)
04/30(土) FC東京×札幌  △ 0-0(H・味の素スタジアム)
05/04(水) FC東京×東京V △ 0-0(A・味の素スタジアム)
05/08(日) FC東京×富山  ○ 1-0(H・味の素スタジアム)
05/14(土) FC東京×草津  ● 1-2(A・正田醤油スタジアム群馬)

※6試合2勝2敗2分(勝点8、得点3、失点5、得失点差-2)
※19チーム中11位(2011年5月15日現在)

≪プレシーズンマッチ≫
02/27(日) FC東京×草津  △ 1-1(正田醤油スタジアム群馬)

≪チャリティーマッチ≫
04/03(日) FC東京×松本山雅 ○ 4-0(松本平広域公園総合球技場<アルウィン>)


◇◇◇


 今回は、純粋にJ1に昇格出来るかを考えるため、リーグ戦の戦績のみを対象に考察してみたい。

 2010年は11試合を戦い、4勝4敗3分(勝点15、得点14、失点13、得失点差+1)という戦績。ホームは6試合あったが、1勝2敗3分。1勝したホームも味スタではなく国立でのものだ。2011年は草津戦を終えての5月15日現在での戦績だが、6試合を戦い、2勝2敗2分(勝点8、得点3、失点5、得失点差-2)となっている。ホームは3試合あって2勝1分だが、その2勝ともに1-0という最少得点差による僅差での勝利だった。また、アウェイの1試合は味スタでの東京ダービーということで、サポーターはまだしも、チームにとってはアウェイには当たらないともいえなくはない試合だ。

 2010年、現在までの2011年のリーグ戦績を見るに、結果だけを見れば、ほぼ勝ちと負けが等しい状況にある。得失点差についても、さほど差はなく、プラスマイナス0前後を行き来している感じだ。つまり、これから何が言えるかといえば、年間で5割の勝率、プロ野球風に言うならば、貯金が出来るかどうかの境目にいる中位の順位におさまることが予測される。

 昨年、2010年のJ2のデータを見ると、最終節の第38節において、奇しくもちょうど5割で終えたチームがある。36試合中12勝12敗12分、得点34、失点34、得失点差0の愛媛FCだ。勝点は48で順位は11位。愛媛は第6節を終えた時点では、5試合中2勝2敗1分、得点3、失点3、得失点差0。勝点は7で12位と現在のFC東京の戦績に似ている。
 この時点では、愛媛より下位の13位にJ1へJ2リーグ2位で昇格した甲府がいるから、昇格への可能性は十分に残っているともいえる。だが、甲府の最終戦績は、36試合中19勝4敗13分、得点71、失点40、得失点差+31の勝点が70だった。つまり、第7節以降は2試合しか負けていないのだ。それでも、首位で昇格を決めた柏とは勝点で10の差があった。3位で昇格した福岡は、21勝9敗9分。得点63、失点34、得失点差+29の勝点69だ。惜しくも昇格を逃した千葉は、18勝11敗7分、得点58、失点37、得失点差+21の勝点が61だから、2ケタの数を負けてしまっては、昇格圏には届かないことになる。

1位 柏  (勝点80、23勝2敗11分、得点71、失点24、得失点差+47)
2位 甲府 (勝点70、19勝4敗13分、得点71、失点40、得失点差+31)
3位 福岡 (勝点69、21勝9敗6分、得点63、失点34、得失点差+29)

4位 千葉 (勝点61、18勝11敗7分、得点58、失点37、得失点差+21)
5位 東京V(勝点58、17勝12敗7分、得点47、失点34、得失点差+13)

 昇格した柏、甲府、福岡の3チームは、勝利数と敗戦数の差が10以上あった。柏は23勝2敗で21の勝ち越し、甲府は19勝4敗で15の勝ち越し、福岡は21勝9敗で12の勝ち越し。昇格を逃した千葉は、18勝11敗で勝ち越しが7。つまり、勝点3を獲得する試合が負けた試合よりも10試合以上多くなければ、昇格は難しいということだ。現在のペース、つまり勝ちと負けが同数に近い戦いを続けていたならば、昨年の例を挙げれば、12勝12敗の愛媛が勝点48の11位、14勝14敗の栃木が勝点50の10位、15勝15敗の徳島が勝点51の8位だ。それ以上の順位では、熊本、横浜FC、東京Vはいずれも勝ち越しはしたが、その差は5以内で、結果的にそれぞれ7位(勝点54)、6位(勝点54)、5位(勝点58)に終わっている。

 ちなみに、第6節時点での上記各チームの順位は、

01位 柏  (勝点14、4勝0敗2分、得点7、失点2、得失点差+5)
02位 千葉 (勝点13、4勝1敗1分、得点13、失点5、得失点差+8)
03位 大分 (勝点12、4勝2敗0分、得点12、失点8、得失点差+4)

04位 徳島 (勝点12、4勝1敗0分、得点9、失点6、得失点差+3)※
05位 熊本 (勝点11、3勝1敗2分、得点6、失点4、得失点差+2)
06位 福岡 (勝点10、3勝2敗1分、得点12、失点5、得失点差+7)

09位 横浜F(勝点9、3勝3敗0分、得点8、失点8、得失点差+0)
10位 栃木 (勝点8、2勝2敗2分、得点7、失点5、得失点差+2)

12位 愛媛 (勝点7、2勝2敗1分、得点3、失点3、得失点差+0)※
13位 甲府 (勝点7、2勝2敗1分、得点4、失点6、得失点差-2)※

18位 東京V(勝点1、0勝4敗1分、得点2、失点7、得失点差-5)※

※は5試合、あとは6試合終了時

という結果だった。

 勝点7の12位だった第6節から勝点48の11位で最終節を終えた愛媛、勝点8の10位だった第6節から勝点50の10位で最終節を終えた栃木、勝点12の4位だった第6節から勝点51の8位で最終節を終えた徳島……という結果から考えれば、このままのペースでの昇格は絶望的だ。
 昇格圏に入るためには、当たり前だが、とにかく勝利数を増やすことだ。“負けないサッカー”ではなく“勝つサッカー”をしなければならない。そのためには、得失点差を増やすこと、要するにどれだけ得点力を挙げられるかだ。

 現時点では、FW陣に限ってみても、平山、高松は当面の間は無理。ペドロ・ジュニオールもベンチ入りすら微妙な状況で、残っているのは鈴木達也とロベルト・セザーのみだ。ロベルト・セザーも出場試合を見る限りでは、フィットしているとは思えない。
 FW以外では、米本が長期離脱、ホベルトもいつ来日するのかが解からない状況。石川も当面は様子見で、橋本も戦列を離れた。

 このようなチーム状況を見る限り、平山や高松といった高さのあるプレイヤーをポストにしたサッカーは、到底厳しいものとなる。昨季の最終節の京都戦などでの前へ前へ放り込むといったパワープレー的な作戦は通用しづらい。サイドへ展開して中へ折り返す戦法も、高さが失われた今となってはこれまで以上に効力がないと思われる。
 つまり、考えられるのは、圧倒的な破壊力を持つ点取り屋の補強か、プレイスタイルの再考、あるいは、それを完遂するための劇薬としての監督交代、の3つあたりではないか。その最大のタイムリミットは、9敗目だ。ただし、それ以降は決して負けられない試合の連続となる。

 試合数(51試合)や対戦数こそ違うが、2009年の最終順位は、

1位 仙台 (勝点106、32勝9敗10分、得点87、失点39、得失点差+48)
2位 C大阪(勝点104、31勝9敗11分、得点100、失点53、得失点差+47)
3位 湘南 (勝点98、29勝11敗11分、得点84、失点52、得失点差+32)

4位 甲府 (勝点97、28勝10敗13分、得点76、失点46、得失点差+30)

となった。湘南と甲府で敗数が逆転しているが、やはり10敗してしまうと昇格には赤に近い黄信号が灯るといっていいだろう。そして、2009年、2010年の結果を考えると、得失点差が30を越える決定力がないと、かなり苦しい。余裕を持って昇格をするためには、少なくとも40台後半、出来れば50以上の得失点差が欲しいところだ。

 あらためて、現在の東京は6試合を終え、2勝2敗2分で勝点8の19チーム中11位。得失点差は-2だ。10敗をデッドラインとすると、残り22試合中で最大であと7試合しか負けられない。しかも、今季は震災の影響もあり、かなり過密なスケジュールを強いられる。また、代表戦があれば、今野や権田などが日本代表選出選手がチームから一時離れることも考慮しなければならない。続出する怪我人、まとまりやコンセンサスがままならないチーム状況……などを考えれば、“負けられる”7試合の半分、あと3試合負けた時が、“昇格をするため”のチームとしての期限だ。

 それまでにチームが覚醒し、上昇気流へと勢いを持つことを願ってはいるが、J1へ昇格へのリミットはすぐに近づいているということを、しっかりと意識した戦いをしなくてはならないのではないか。
 個々の力はJ1でも屈指だと思うが、どんなに実力のある演奏者が集まったからといって、素晴らしいオーケストラとなるとは限らない。そこには、それらをまとめるコンダクター(指揮者)がいるからこそ、個の能力を引き出しつつ、素晴らしい演奏が生まれるのだ。サッカーでいえば、そのコンダクターに当たるのが監督ではないか。指揮ぶりが迷走していては、質の高いハーモニーは決して生まれない。ヴィジョンを持って、どうしたらこの個の能力を引き出して、融合させられるのか……。そこ一点に集中して、戦術を思案し、采配をしてもらいたいと切に願うばかりだ。




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