芸術新潮2021年11月号の特集「5人の達人たちとゆく メトロポリタン美術館」を眺める。
「The Met キュレーター・インタビュー1」で触れられた画家の1人が17世紀イタリアの女性画家オルソラ・マッダレーナ・カッチャ。初めて聞く名前。
イタリアの画家オルソラ・マッダレーナ・カッチャによる果物と花の絵です。ペーテルス(注:17世紀オランダの女性画家)の精緻な写実に対し、カッチャの場合はモティーフのそれぞれに宗教的な意味合いがある。というのも、彼女は修道院の院長で、尼僧たちと一緒に売りに出していました。こうした17世紀のアート市場も興味深いですが、画家については私たちも最近になって学んだ次第です。昨年(注:2020年)ニューヨークのコレクターによる3点の遺贈があり、メットは一夜にして、アメリカ1のカッチャ・コレクションを得ました。
(芸術新潮より)
以下、METが所蔵する3点のカッチャ作品。
(「メトロポリタン美術館展」の出品作ではありません。)
オルソラ・マッダレーナ・カッチャ
《果物と花》
1630年頃、76.2×99.1cm
メトロポリタン美術館
オルソラ・マッダレーナ・カッチャ
《グロテスクな花瓶の花》
1635年頃、102.5×81cm
メトロポリタン美術館
オルソラ・マッダレーナ・カッチャ
《聖母子と幼児聖ヨハネ》
1625年頃、97.5×96.5cm
メトロポリタン美術館
オルソラ・マッダレーナ・カッチャ(Orsola Maddalena Caccia、1596-1676)。
イタリアの現ピエモンテ州アスティ県に位置するモンカルヴォ(Moncalvo)に生まれる。
画家である父親Guglielmo Caccia(1568–1625)から画家の訓練を受ける。
父親はオルソラを含む6人の娘をビアンゼの聖ウルスラ修道院に入れるが、自身が資金を出してモンカルヴォに聖ウルスラ修道院を設立し、娘たちを移す。
オルソラは、修道院の画家工房を運営し、多くの絵画を制作するとともに、人生の後半には修道院長としても活動したという。
画家オルソラは、宗教画の人物像は父親のスタイルを踏襲しているが、静物、特に花の描写には独自性を発揮したらしい。
花の絵がどのような宗教的な意味合いを持っているかは分からないが、修道女たちが絵を制作し、それを販売して、修道院の運営資金としていた、というのは興味深い。
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