ミケル・バルセロ展
2022年1月13日〜3月25日
東京オペラシティアートギャラリー
本展のメインビジュアル
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《雉のいるテーブル》
1991年、235×205×6.5cm
大阪・国立国際美術館では会期を1ヶ月強残して閉幕する不運、長崎県美術館では完走するも、三重県立美術館では会期途中に1ヶ月強の休館を余儀なくされるなど、コロナ禍に翻弄されてきた本展。
4箇所目で最後の巡回地となる東京では、ここまで予定どおり開催され、会期も残すところあと少し、なんとか完走できそうである。
ミケル・バルセロは、1957年スペイン・マジョルカ島生まれの作家。
生地マジョルカ島のほか、パリやアフリカのマリなど世界各地にアトリエを構え制作活動をしているらしい。
本展では、絵画作品を中心に、ブリーチ・ペインティング、紙作品、スケッチ、陶作品、彫刻作品など、初期から近作まで約90点が展示される。
その展示は1階展示室に収まらず、通常はコレクション展示を行う2階展示室の一部も使用している。
絵画作品は、その多くが2〜3メートル級の大型サイズで、その画面は凹凸うねりが非常に激しい。
(それがウリなのだろう、作品情報として、縦横に加えて、奥行の寸法も記載されている。)
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《小波のうねり》
2002年、235×375×12cm
マジョルカ島生まれだけあって、海に関係する作品が多い。
本作は、上空からの海面を表している。
絵具の激しいうねりにより、見る位置によって見え方が変わってくる。
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角度を変えて撮影するが、この画像では分からないなあ。
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《とどめの一突き》
1990年、200×203×5cm
スペイン人だけあって、闘牛に関係する作品も多い。
本作は、大きな闘牛場に小さく闘牛士と闘牛が描かれているが、火山の噴火口を描いているかのような印象を受ける。
《青い作業着の自画像》
1995年、195×115cm
芸術家だけに自画像も描く。
顔の辺りの凹凸うねりを非常に激しくしていて、見る角度によって老年・壮年・若年の三世代に見えるように仕組んでいるらしい。
本作は撮影不可のため、画像なし。
駆け出し時代の作品を展示する展示室より4点。
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《ファラニチのジョルジョーネ》
1984年、300×200×6cm
「ファラニチ」は、作家の生地の名とのこと。
本作は、自らをヴェネツィア・ルネサンスの巨匠ジョルジョーネに擬した自画像であるようだ。
ギリシャ神話のケンタウロスのような姿とあわせ、駆け出し時代にある作家の強い自負心が表れているのであろう。
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何故か描きこまれるエビとメロンも気になる。
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右より
《海のスープ》1984年、238×320×9cm
《細長い図書室》1984-85年、190×330×6cm
《海のスープ》は、スープの入ったお椀が描かれているが、スプーンの柄を表している木の棒は実際にキャンバスに突き刺さっている。
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《ルーヴル》
1985年、303×210×5.5cm
黒で描かれたルーヴルの展示室。
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展示される絵は、人物が強調されている。
ブリーチ・ペインティングより。
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《母》
2011年、46×33×3.7cm
「ブリーチ・ペインティング」とは、暗色の画布に漂白剤で描く(キャンバスを黒く塗ってから、漂白剤で色を抜く)作家特有技法による親しい人たちの肖像画。
描いてから時を経てはじめてその肖像が浮かび上がるのだという。
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右より
《アニエス・ヴァルダ》2011年
《J.L.ナンシー》2012年
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右より
《さつき》2011年
《ドリー》2013年
《マルセラ》2011年
スケッチブックより1点。
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《COVIDのノート》
2020年、40×27cm
コロナ禍によるロックダウンの状況下の2020年3〜4月にかけての制作。
殉教者聖人聖セバスティアヌスや「死の舞踏」などを思わせるイメージ。
ここから新たな作品が今後生まれてくるのだろうか。