ダミアン・ハースト 桜
2022年3月2日〜5月23日
国立新美術館
週末の午後、花見会場と化す展示室。
皆さん、作品撮影は当然のこと、カップルや若い女性グループを中心に、作品をバックに記念撮影している。
大阪の造幣局の桜の通り抜けの光景のようだ(行ったことはないけど)。
「桜」シリーズを日本に持ち込むとは、挑戦的というか、安直というか、と思いつつの訪問であったが、観覧者の振る舞いを含めてなかなかの日本版インスタレーション。
ブルーシートと飲食物を持ち込んで、床に座って眺めても良い、とすれば、日本版インスタレーション〈完全版〉が完成するだろう。
ダミアン・ハースト。
1965年英国生まれ。
現代美術に関心の薄い私はその名前を覚えていなかったが、「サメや牛など動物のホルマリン漬け」シリーズ(初期作品で代表作)の作家でしたか。
現在は、最も重要視され、最も金を稼いでいる作家の一人とされているらしい。
そんな作家の最新作シリーズが、2018年から3年かけて制作した「桜」全107点。
2021年(コロナ禍により1年遅れた模様)、パリのカルティエ現代美術財団の個展「ダミアン・ハースト 桜」展にて初公開、作家自身が選抜した29点が展示された。
そして、2022年、日本初の大規模個展として東京・国立新美術館に巡回、作家自身が選抜した大型画面の24点が展示されている。
「儚い桜」から始まって、「山桜」「素晴らしい世界の桜」「生命の桜」「神の桜」「母の桜」「幻想的な桜」「夏の桜」「冬の桜」「夜桜」「詩人の桜」「早咲きの桜」「祝祭の桜」「真実の桜」「朝の桜」「愛の桜」「知恵の桜」「叫んでいる新しい桜」「花見桜」「この桜より大きな愛はない」「大切な時間の桜」「漢字桜」「神聖な日の桜」など、それぞれ異なる作品名が付されており、具体的説明っぽい作品名と図像学っぽい作品名が混在するが、作品との連携関係はよく分からない。
作品リストに掲載された作家の言葉「〈桜〉のシリーズは美と生と死についての作品なんだ」。何故その言葉を選んだのか。
日本の「桜」美術に親しんだ目には、欧州の現代作家による「桜」の表現は、物質的かな。
行くつもりがあるならば、本物の桜のシーズンが終わる頃までに見ておきたい。
上画像(左)、下画像(中央)
《帝国の桜》
2018年、274×183cm
Courtesy of PinchukArtCentre
Kyiv, Ukraine
作品リスト置き場。
赤が日本語・英語版で、青が中国語・韓国語版。色によるあからさまな区別には違和感。