東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

トスカーナと近代絵画(損保ジャパン東郷青児美術館)

2013年09月08日 | 展覧会(西洋美術)

フィレンツェ ピッティ宮近代美術館コレクション
トスカーナと近代絵画  もうひとつのルネサンス
2013年9月7日~11月10日
損保ジャパン東郷青児美術館


4章構成。各章1作品ずつ触れる。


1章:トスカーナのロマン主義絵画にみる歴史と同時代性

◇No3.ガエターノ・サバテッリ≪チマブーエとジョット≫

 イタリア美術史上、有名な話が描かれている。

 ある日チマブーエは用事があってフィレンツェからヴェスピニャーノへ向かったが、途中羊の番をしながら先のとがった石で平たい滑らかな石の上に実物の羊を写生しているジョットに出会った。ジョットは誰からなにも教わったわけではなく、ただ自然を師として描いていたのである。チマブーエは立ち止まって眼を見はり、「自分と一緒に来ないか」とすすめた。その誘いにたいして少年のジョットは、「父親さえ許してくれるなら喜んでついて行きます」と答えた。『ルネサンス画人伝』(白水社刊)より。

 チマブーエ1240年生、ジョット1267年頃生。

 題名を確認する前に、絵を見て主題を認識できたのは、少しうれしい。


2章:新たなる絵画 マッキアイオーリ

◇No11.ジョヴァンニ・ファットーリ≪従姉妹アルジアの肖像≫

 本展のメインヴジュアルとして利用されている本作。
 実は、縦36cm×横29cmと小型の作品である。

 マッキアイオーリといえば、2010年東京都庭園美で「イタリアの印象派 マッキアイオーリ展」が開催されたことは記憶に新しい。

 1850年代半ば、イタリアのリソルジメント(国家統一運動)を背景にトスカーナ地方で生まれた絵画の流派のこと。フィレンツェのカフェ・ミケランジェロに集った画家たちが時代精神を表わすのにふさわしい新たなリアリズムを愛国主義のもとに標榜。アトリエでの入念な仕上げを説くアカデミズムの教えを放棄し、自然の光を生き生きとした状態で定着させるべく色斑で描写した。『Artscape 現代美術用語辞典ver.2.0』より。

 マッキア(Macchia)とはイタリア語で「しみ」のこと。
 ちなみに、私が好む(といってもめったに飲む機会はない)カフェ・マキアート (caffe macchiato) は、エスプレッソに少量の泡立てたミルクを注いだもの。

 画家たちは「同時代をとりあげた歴史画や風俗画の大作も手がけた」らしいが、本展は「運動の革新性を象徴する実験的な小品群」を集めたとのこと。


3章:トスカーナにおける19世紀と20世紀絵画の諸相

◇No49.アントニオ・チゼーリ≪キリストの埋葬≫

 1870年作。教会の注文により制作とのこと。


4章:20世紀の画家たち:イタリア絵画の立役者たちとその傾向

◇No76.アルベルト・サヴィニオ≪オルフェウスとエウリュディケ≫

 デ・キリコに弟がいて、その弟も画家だったとは知らなかった。


想像どおり、馴染みのない画家がほとんどであった。
イタリア近代絵画は、いろんな展覧会で散発的に見ており、印象に残る作品もないわけではないが、いまだに未開拓地のままである。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。