東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

すみだ北斎美術館を訪問する。

2016年11月27日 | 展覧会(日本美術)

開館記念展
北斎の帰還-幻の絵巻と名品コレクション-
2016年11月22日〜 2017年1月15日
すみだ北斎美術館


   葛飾北斎(1760-1849)が生まれ、その生涯の殆どを過ごしたという東京都墨田区に、北斎専門の美術館が11月22日にオープンしたと知り、早速訪問する。


   場所は、JR総武線両国駅東口から徒歩9分(公称)、総武線の北側、駅から東の方向にある。


   私は、駅西口から江戸東京博物館内を通過して向かったので、9分よりはもう少し時間がかかっている。


   ところで、JR両国駅西口では、旧駅舎を利用した新たな飲食施設「-両国-江戸NOREN」が11月25日にオープンしていた。12の飲食店は、ちゃんこ、深川めし、寿司、天ぷら、そば、甘味処など全て和食系と、「江戸」っぽいセレクト。多くの人で賑わっていた。

   両国国技館や江戸東京博物館などの既存の観光施設に加え、今回の新たな観光施設+飲食施設の誕生により、両国界隈のさらなる賑わいが期待される、というところか。

 

   北斎通りを進んでしばらく、小さめの公園(緑町公園)の一角に、すみだ北斎美術館の建物を見つける。


   ちょっと変わった建物である。四方を確認したわけではなく、正面側を見ただけであるが、真四角ではなく、窓がなく、一面銀色(淡い鏡面のアルミパネルを使用とのこと)で、建物にはスリット(切れ込み)が入っている。


   緑町公園には、遊具があって、おそらく美術館と同時オープンだったのだろう、そうでなければこのご時世では信じられないほど多くの子供たちが熱心に遊んでいる。地方の名品物販のテントも幾つか出ている。

 

   建物正面真ん中にあるスリットが、入場口となる。その前に段差があるので、要注意。

 

   1階にチケット売り場とミュージアムショップ。賑わっている。私の訪問が16時近くと遅い時間帯だったためか、チケット購入の待ち行列は短く、すぐに購入できる。

 

   建物は地上4階、地下1階。この季節いつも利用するコインロッカーは地下1階にあるらしい。今回はパスし、2基あるエレベーターの待ち列に並ぶ。見送ることなく乗る。
   4階と3階が展示室スペースで、4階から見ていく形となる。

 

   4階フロアは、半分が常設展示室、もう半分が企画展示室となっている。まずは、企画展示室に入場する。展覧会の第一会場となる。

 

   広くはないスペースに、最前列鑑賞のための列ができている。


序章:北斎のイメージ

   伊藤晴雨《葛飾北斎像》など。


1章:北斎の描いたすみだ

   北斎が墨田を描いた錦絵、版本など。
   特に《絵本隅田川 両岸一覧》。賑わう河岸の風景が描かれていて、色彩豊かで楽しげで、好ましい。美術館としても推しらしく、全体紹介パネルが用意されている。会期中3回の頁替で大半の頁を公開するものと思われる。

 


   企画展示室を出て、3階に移動する。
   3階への移動のための螺旋階段が、幅が狭く、結構な角度がある。すれ違いがちょっと怖い。混雑を想定した作りではない。苦手な向きにはエレベーターを利用いただくこととなる。

 

   3階フロアは、全スペースが企画展示室にあてられている。展覧会の第二会場である。チケット半券を提示して入場する。


2章:幻の絵巻-隅田川両岸景色図巻-

   本展の目玉、北斎の肉筆画絵巻《隅田川両岸景色図巻》が登場。やはり鑑賞列ができている。


   《隅田川両岸景色図巻》は、両国橋から吉原遊郭につながる水路・山谷堀あたりまでの隅田川両岸の景色と、新吉原での遊興の様子が描かれる。長さ約7メートル、北斎最長の絵巻とされる。


   本作品は、なんでも海外に流失してから100年余、まったく行方が知られていなかったらしい。それを2015年に墨田区が約1.5億円で取得したのだという。


   本展には、流失前の資料、1892年11月12/13日に上野三橋松源楼で開催された古代浮世絵展の出品目録(当時は本間耕曹蔵)と、1902年パリでの林忠正コレクションの写真付き売りたて目録も展示されている。この売りたて以降100年余、海外の個人コレクターが秘蔵していたのであろう。


   作品で印象的なのは、隅田川両岸の景色に見られる、洋風の陰影法の表現。
   建物、橋、舟。それらの影が水面に映る。影=洋風である。

   また、本作は、墨田区の視点からいうと、台東区側から墨田区側を描いているのもポイントであるらしい。

   隅田川の描写がずっと続き、最後に1場面、新吉原での遊興場面、人々が大きく描かれる。

   本作品は一見の価値がある。


3章:名品ハイライト

   墨田区が所蔵する、北斎の錦絵、摺物、版本、肉筆画のダイジェスト展示。

   肉筆画《南瓜花群虫図》を興味を持って見る。

 

   会期中約120点展示。前後期で大幅な入れ替えがあるが、《隅田川両岸景色図巻》は通期フル公開される。

 

   企画展示室を出て、すれ違いが怖い螺旋階段を上り、4階の常設展示室に向かう。
   企画展のチケットで常設展入場可。常設展のみのチケットも販売している。
   チケット半券を再び提示し、入場する。
   なお、鑑賞順序は、4階からでも3階からでも、企画展からでも常設展からでも、当日限り有効の半券を提示すれば、自由のようである。


(常設展示室については、別記事で記載。)


   閉館時刻17:30までの約1時間半、4・3階を行ったり来たり、何度も半券を提示しつつ、過ごす。

 

   閉館時刻後に撮影したすみだ北斎美術館の建物。

   この低レベルの写真では、建物のスリットが光っていること以外、何もわからない。暗くなったが、子供たちは元気に遊んでいる。



コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。