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ドガとオペラ座 -【その2】「パリ・オペラ座 響き合う芸術の殿堂」展(アーティゾン美術館)

2022年12月23日 | 展覧会(西洋美術)
パリ・オペラ座 - 響き合う芸術の殿堂
2022年11月5日〜2023年2月5日
アーティゾン美術館
 
 
 5階展示室。
 第3幕「19世紀(2)」の第1場「グランド・オペラの刷新」にてマネの2点の大型肖像画《ハムレット役のフォールの肖像》を楽しんだあと、次の部屋に移る。
 
 次の部屋は、第3幕の第2場「ドガとオペラ座」。
 
 ドガといえば、踊り子。
 
 日本に所蔵される踊り子の作品は多いわけではないが存在するし、展覧会では観る機会は多い。
 
 ドガが手がけた作品のうち、半数近く(40%台後半)がオペラ座にまつわるものであると聞いている。
 
 その踊り子の作品には、しばしば、黒いシルエットの男性が目につきにくいように描きこまれる。その男性の正体や、当時の踊り子を志望する少女たちの社会環境は、中野京子氏の著作『怖い絵』など、ドガに関する話題で取り上げられることが多いようだ。
 
 
【参考画像】
ドガがオペラ座のバレエに取材した最初期の作品3点。
注文を受けての制作から始まった。
上《ウジェニー・フィオクル嬢の肖像、バレエ『泉』について》 
 1867-68年、ブルックリン美術館  
 ドガがオペラ座に取材した最初の作品。
 人気ダンサーの肖像画で舞台稽古の休憩中という設定。
 
中《オペラ座のオーケストラ》
 1870年、オルセー美術館 
 親交のあったオペラ座のファゴット奏者デジレ・ディオの肖像画として着手。
 
下《『悪魔のロベール』のバレエ》 
 1871-72年、メトロポリタン美術館
 舞台の激しい踊りと集中を欠く観客との対比。
 
 
 
 本展では、10点弱のドガの踊り子作品のみが展示された一画が設けられる。
 
 350年のパリ・オペラ座の歴史を紹介する展覧会のなかで、ドガの踊り子作品をまとめて観ていると、上記で記載したことが、今まで以上に重みをもってくる。
 
 
 目玉は、オルセー美術館の作品。
 
ドガ
《バレエの授業》
1873-76年、オルセー美術館
 
 オルセー美術館からは、ブロンズ像《衣装をつけたバレエの踊り子のための裸体習作》(1921-31鋳造)も来ている。
 
 
 アーティゾン美術館は、パステル、スケッチ、ブロンズ像2点を所蔵する。
 
ドガ
《踊り子》
1873年頃、アーティゾン美術館
 
ドガ
《踊りの稽古場にて》
1895-98年、アーティゾン美術館
 
 
 国内美術館からは、吉野石膏コレクション(前期)、大原美術館(後期)、ポーラ美術館、そして、国立西洋美術館も。
 
ドガ
《舞台袖の3人の踊り子》
1880-85年頃、国立西洋美術館
 
 
 舞台裏を描くとなると、黒服の男性に触れないわけにはいかないのだろう。
 
 
 続く第3幕第3場「劇場を描く画家たち」にて展示される、ドガと同時代の他の画家たちが舞台裏を描いた作品は、より直裁的である。


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