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岡上淑子《無情な光景》、【その3】1953-54年の国立近代美術館「抽象と幻想」展 - MOMATコレクション小特集(東京国立近代美術館)

2022年12月22日 | 東京国立近代美術館常設展
 今期のMOMATコレクション展が後期入りし、岡上淑子のフォト・コラージュ作品1点が展示替えされたことから、東京国立近代美術館を訪問する。
 
岡上淑子
《無情な光景》
1951年、29.4×26.2cm
東京国立近代美術館
 
 本作品は2022年1月にもMOMATコレクション展での展示時に観ている。
 東京国立近代美術館は20点の岡上作品を所蔵するが、2点が今期のMOMATコレクション展に展示され、18点が福岡市美術館の「藤野一友と岡上淑子」展に貸し出されている。
 
 
 
 岡上作品が展示されている「MOMATコレクション小特集」、東京国立近代美術館が1953年に開館1周年記念として開催した展覧会「抽象と幻想」展を振り返る企画も、後期入り。
 岡上作品以外も、一部展示替えされている。
 
 
MOMATコレクション小特集
プレイバック 「抽象と幻想」展(1953–1954)
2022年10月12日〜2023年2月5日
東京国立近代美術館2階7室・8室
 
 
7室の再現VR
 
8室の展示風景
 
 
後期からの展示作品4点
 
古沢岩美
《《プルトの娘》のための習作》
1951年、東京国立近代美術館
 この習作自体は「抽象と幻想」展の出品作ではないが、隣りに出品作である完成作(通期展示)が展示されている。
 
古沢岩美
《プルトの娘》
1951年、東京国立近代美術館
 
岡上淑子
《無情な光景》
1951年、東京国立近代美術館
 
駒井哲郎
《思い出》
(「抽象と幻想」展出品時のタイトルは《オホーツク海の思い出》)
1948年、東京国立近代美術館
 
瑛九
《シグナル》
(「抽象と幻想」展出品時のタイトルは《たそがれ》)
1953年、東京国立近代美術館
 
 
 8室で目を引く展示作品。
 
山下菊二
《あけぼの村物語》
1953年、東京国立近代美術館
 本作は「抽象と幻想」展の出品作ではなく、そもそも山下が「抽象と幻想」展の出品作家でもないが、1953年が東京都美術館の「第一回ニッポン展」で山下らによるルポルタージュ絵画が発表され始めた時期とも重なることからの展示であるらしい。
 
 
 
 3階のエレベーターホールでは、この小企画「プレイバック 「抽象と幻想」展(1953–1954)」の解説動画が流されている。
 この動画は、東京国立近代美術館ホームページからも見ることができることを後ほど知る。
 
 解説動画では、岡上に触れること3度。
 
 2階の再現VRには彫刻ゾーンや、岡上淑子さんの作品だけで構成された部屋もあります。
 
 VR内で展示されている作品画像は、ガラス乾板に残されていたイメージを用いています。
 数年前からこうした展覧会関係写真のデジタル化に取り組んでいました。
 再現VR内の画像は非常に高画質なのですがそれは、ガラス乾板に残されていたためで紙焼き写真で残されていたものでは、こうはいきません。
 こうした画像と展覧会調書に残された、会場図面をもとにVR内では、実際に作品が展示されていた位置に配置しています。
 
岡上淑子《夜間訪問》(前期展示)の展示風景
 
 
解説動画より、ガラス乾板。
 
 
 もし、福岡市美術館の回顧展と同時期開催でなければ、東京国立近代美術館は、所蔵作品による岡上ルームの再現をしてくれたのではないだろうか。
 
 
 
【「抽象と幻想」展の概要】
抽象と幻想 非写実絵画をどう理解するか
1953年12月1日〜1954年1月20日(38日間)
入場者数 16,657人(1日平均438人)
協力委員 瀧口修造、植村鷹千代
出品作家 89人
出品点数 100点
概要 歴史的な回顧の性格をもつ展覧会ではなく、同時代の動向に目を向けた最初の企画。当時のにはにおける前衛的な傾向として、二つの主流を形成していたシュルレアリスムとアブストラクトを系統立てて整理し、展覧会の副題が示すように、いわゆる「分かりにくい新しい絵」を理解させるように努めた。観客の理解を深めるため、各作家に自作に関するコメントを寄せてもらい、また写真や図表などのパネルも交えて二つの潮流を解説した。


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