東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

オルセー美術館展2010「ポスト印象派」(国立新美術館)

2010年05月30日 | 展覧会(西洋美術)
会期最初の土曜日、国立新美術館に行きました。16時半近くの遅めの入場。
本展覧会には何度か足を運ぶと決めています。
1回目となる今回の鑑賞方針は、会場を一回りしてどんな作品があるのか把握する、第5章と第9章を重点的に見る、としました。

第1章 1886年-最後の印象派

最初の展示作品が、ドガの「階段を上がる踊り子」。
スナップ写真的効果。思いのほか長い時間見入ってしまいました。ボストン美術館展でもそうでしたが、私の今の気持ちはドガにマッチするようです。横浜美術館でのドガ展がますます楽しみです。

ベナール、ジェルヴェックス、サージェントによる大型肖像画3点。
印象派は好きですが、同時代にその後ろで動いていたアカデミズム・写実主義・自然主義といった絵画にも興味があります。まさしくそれという絵画は今回来ていないですが、そういう意味で、これら作品は興味深かったです。

第2章 スーラと新印象主義

次回以降回しのつもりでしたが、スーラの習作群に見入ってしまいました。
「《アニヨールの水浴》の習作」、「《グランド・ジャット島の日曜日の午後》の習作」2点、「ポーズのする女」の正面・横向き・後ろ向きの3点。家に飾るなら大きさ的にもこれらがいい(「ポーズをする女」は避けますが)。さすがに大作「サーカス」は来ていないですね。

第5章 ゴッホとゴーギャン

ゴッホは7点。宣伝内容から推測はしていましたが、オルセーのクリーンナップクラスはなかったですね。
オルセーのベストゴッホは、1889年の「自画像」と「オーヴェールの教会」、「ポール・ガシェ博士」、次に「アルルの女」やその他オーヴェールでの作品群と思っているのですが、それらはきれいに来ていません。
そういうなかで、今回特に見入ったのが「星降る夜」。1999年国立西洋美術館以来となる2回目の対面。明るい星や街の明かり、恋人たちを配したアルルのローヌ河畔の夜景の描写は、絵具の盛り上がりも含めて、実に素晴らしいものです。

ゴーギャンは、8点(ほか第3章に1点)。
個人的には、ゴーギャンは、長い間、印象派のなかで唯一全く興味のわかない画家でしたが、1996年の「ノートン美術館展」(三鷹市美術ギャラリー)で見た「ゲッセマネの園の苦悩」に魅了され、直後の「フォルクヴァンク美術館展」(東武美術館)での「団扇を持つ少女」、「未開の物語」、「海草を集めるブルターニュの人々」の3点との出会いにより認識が変わりました。
なぜ長い間興味を持てなかったのか。“ゴーギャンの傑作は、(私が昔行ったことがある)ヨーロッパの花形美術館にはない。アメリカの美術館やヨーロッパでも観光都市ではない美術館にある。”その頃、ゴーギャン画集に載っている作品の所蔵者を確認しつつ、そういう仮説を立てました。今思えば、その仮説は全くあたっていないわけでもないが、単に私の見方が足りなかっただけのような気がしています。その後、1998年「オルブライト・ノック美術館展」(伊勢丹美術館)の「黄色いキリスト」、ずいぶん飛びますが昨年の「ゴーギャン展」(東京国立近代美術館)等、今はゴーギャン好きです。

「ポン=タヴェンの洗濯女たち」の風景の中に小さく点在する洗濯女たち。地方に旅してこんな写真がとれればいいな。「レ・ザリスカン」の3人の人物を中心とした構図。「ブルターニュの農婦たち」のやたら大きなスペースを占める地面と背後の緑。「タヒチの女たち」の女性の重量感。ボストン美術館展ではゴーギャンがなかったけど、ここで十分に堪能。

第6章から第8章

ここも基本は次回以降回しですが、特に目についたものを。

ベルナール「愛の森のマドレーヌ」。2007年東京都美術館で見入った作品。今回再会できてうれしい1品。
ポール・セリュジェ「護符」。美術史的なエピソードを持つオルセーでも重要作品らしいですが、何がいいのかわからない。
モロー「オルフェウス」。モローとしては大きい作品。細部の描写を眺めるためか、すごい人だかり。残念ながら次回回し。
シャヴァンヌ「貧しき漁夫」。国立西洋美術館にも似た作品が所蔵されていますが、雰囲気が好きです。“本家”オルセー作品は、子供二人を伴っています。

第9章 アンリ・ルソー

今回の第2のメイン。オルセーの誇るルソー2大作品が揃い踏み。
ルソーは、「戦争」、「蛇使いの女」、「眠るジプシー女」がお気に入り。
「眠るジプシー女」は1993年のMOMA展で、「戦争」は1999年の東京都美術館「オルセー美術館展」で見ましたが、「蛇使いの女」は初来日とのこと。
黒く描かれた女性が真正面にくる位置で鑑賞するのがお勧めです。

モネやセザンヌ、ロートレックや第6~8章は次回以降重点的に鑑賞します。


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