東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

ナショナル・ギャラリー・ポケット・ガイド「絵画の保存」(ありな書房)

2010年03月28日 | 書籍
ロンドンのナショナル・ギャラリーへ行ってみたい。
ルネッサンスから19世紀末までの西洋美術の歴史をたどりつつ、数々の傑作を堪能したい。

手元にある20年ほど前に発刊された所蔵作品約250点を紹介した本に基づき、これだけはどうしても見てみたいという作品を、絞りに絞って選んでみました。

1 ボッティチェリ「神秘の降誕」
2 ピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの洗礼」
3 ピエロ・デッラ・フランチェスカ「キリストの降誕」
4 クリヴェッリ「受胎告知」
5 ブロンズィーノ「愛の勝利の寓意」
6 カラヴァッジョ「エマオの晩餐」
7 ヤン・ファン・アイク「アルノルフィーニ夫妻の肖像」

本当は、レオナルド、ラファエッロも、レンブラント、フェルメールも、ホルバインもベラスケスも、ウッチェッロやトゥーラも、印象派も。あげればきりがない。行きたい。

という唐突な思いに駆られたのは、ナショナル・ギャラリー・ポケット・ガイド「絵画の保存」を購入したため。
以前、八坂書房から数点同シリーズが出ていて、私も1点持っていますが、普通の単行本スタイル、白黒図版のみのものでした。
今回は、美術鑑賞時の持ち運びも容易な80ページ程度の薄い小冊子スタイル、かつオールカラーで図版がきれい。全10点の刊行予定で第1弾の3点が出ています。

これを読むと、「保存」の視点からの美術鑑賞も楽しそうと思いました。
本書にのっとっていくつかの視点を挙げると。

1 材質の都合でワニスかけが決して目論まれることがなかった作品
  ディーリック・バウツ「キリスト埋葬」

2 18世紀以前の絵画で、例外的にカンヴァス絵画への裏打ちを免れ、絵画の完全性、もとのままの素材感が称賛される作品
  モローニ「ルドヴィーコ・ディ・テルツィ司祭」
  ジャキント「青銅の蛇」
  ベラスケス「茶と銀の装いのスペイン王フェリペ4世」
  
3 現在の外観は19世紀の「修復」によるものであるが、ほとんどオリジナルは残っていないとみられるため、洗浄が試みられることはない作品
  ジェンティーレ・ベッリーニ帰属「スルタン・メフメト2世」
  ピサネッロ「聖母子と聖ゲオルギウス、聖アントニウス」

4 19世紀の「修復」で修復者の趣味にあわせ改変された作品
  ロマニーノ「キリスト降誕」
  ⇒ ロバの頭が幼子イエスに接していることが気に入らず、ロバ自体を消した(布と石に置き換えた)。今はオリジナル復帰済。

5 ワニスがすっかり変色しているにもかかわらず、材質の都合で洗浄不可能な作品
  ドガ「フェルランド座のララ嬢」
  ⇒ワニスがオレンジがかった黄色ですっかり暗転。

6 裏打ちもワニスも施されていない、例外的にほぼ完全な状態が保たれている作品
  ゴッホ「糸杉のある麦畑」
  ⇒ ゴッホの作品は、裏打ちされて、しばしばワックスも用いられ、暗く、とりかえしのつかない状態におちいっている作品が多いとのこと。
    例、同美術館所蔵の「椅子」はカンヴァスの縁の露出部が裏打ちのワックスで暗転。

やはり、ナショナル・ギャラリーに行ってみたい。見たい絵画が増えてしまった。


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