会田誠展 天才でごめんなさい
2012年11月17日~2013年3月31日
森美術館
会田誠。
現代日本の人気アーティストとして名前は耳にするが、氏の作風はよく認識していなかった。
最初に登場する切腹絵。美少女路線の人だったのだ、と認識。
しばらく、おとなしめの、おかしさも伴う、思いもありそうだが、一発ギャグのような作品が続く。
戦争画リターンズの部屋。
このシリーズは、なんだろう。
個別には、一時期評判になった「紐育空爆之図」や、不気味さを感じさせる「支那料理」など、気をひくものもある。
しかしなぜ、戦争画シリーズなのだろう。
混沌とした作品群が並ぶ部屋がいくつか続く。
2000年以降の大作が並ぶ大部屋。「滝の絵」、「大山椒魚」ほか。
そして、18禁の小部屋。
部屋に入って正面の作品、右側奥の屏風作品。
特に左側のシリーズ作品。制作してしまったことはともかく、なぜ今になっても作者がキャプション解説できるのか。この作品を評価する人がいるのか。嫌悪する。
会田氏の作風は、「美少女、戦争画、サラリーマンなど、社会や歴史、現代と近代以前、西洋と東洋の境界を自由に往来し、奇想天外な対比や痛烈な批評性を提示する作風」だという。
美少女、エログロ、ナンセンスであるとは理解した。
表現メディア、画風やスタイル、作品の主題が、1作・1シリーズごとに変わる、繰り返しがない、いわば「混沌の男」だという。
それはまあ、きっとそのとおりなのだろうけれどもねえ。
日本美術作品などの引用・参照が、すぐにそれとはわからない、高度・複雑、よじれた形でなされているという。
そんなこといわれてもねえ。
「紐育空爆之図」のように、「現実が芸術を模倣する、だから天才だ」という。
そう言うのは勝手だが、「不吉ばかり描いていると、当たることもある」程度にとどめておくのが確かによいだろう。
本展は、会田氏の画業を一望できる稀有な展覧会であることは間違いない。
個人的に一番気に入ったのは、アメリカでのデモ写真。
デモのふりということだが、テーマは「アメリカ人は流ちょうな英語を話すな」。