日本美術の裏の裏
2020年9月30日〜11月29日
サントリー美術館
《かるかや》二帖
室町時代・16世紀
サントリー美術館
室町時代の素朴表現作品の最高峰の一つ、まさかの全帖全図の一挙公開!!!
と思ったら、さすがに全図ではなく、全49図のうち32図の一挙公開!!
それでも凄い。今まで見たのは1回につき2図程度。ようやくモヤモヤが解消する。素晴らしく魅力的な作品と認識する。
まさかの写真撮影可能。
以下、本展公開図を。
【上冊】
筑前国刈萱の領主・加藤重氏の豪邸。
花見の宴で、桜がつぼみのまま盃に落ちるのを見て無常を感じ、出家を決意。
妻は、お腹に子がいることを告げ、出家を引き留める。
重氏は、妻の更なる説得を避けるため、手紙を残して旅立つ。
都にたどりついた重氏は、法然上人のもとを訪ねる。
重氏は、法然上人に剃髪を乞うが、上人は重氏の決意を問う。
決意は固く、寺の前で寝泊まりする重氏。
重氏は剃髪を許され、名前を刈萱道心に。身内が尋ねてきても会わないことを誓う。
妻子が尋ねてくる夢を見た道心は、法然に女人禁制の高野山に入る許しを乞う。
高野山の奥深くへ上っていく道心。
時は戻り、重氏邸。妻は重氏がいないことに気づき、手紙を見つける。
妻は男の子を出産。重氏の手紙に従い、石童丸と名付ける。
13歳の石童丸。庭に飛来した番いの燕を見て、なぜ父がいないのか、母に問う。
母は石童丸と父を尋ねることを決意。姉は自らの衣を2人に託す。
【下冊】
高野山に1人上る石童丸。道心の行方を尋ねると「我らも皆道心だ」と笑われてしまう。
高野山はあまりに広く、石童丸は聖に寺院の数を尋ねる。
すでに入山から6日。石童丸は最後の奥の院へ向かう。
途中、橋の上で父の消息を尋ねる石童丸。しかし、実は道心本人であり、息子と悟って「道心は亡くなった」と言う。
「ここが父の墓だ」と偽る道心。石童丸は姉から預かった衣を墓に着せて泣きつく。
母は息子の帰りを待ちわびながら、高野山の麓で息絶えてしまっていた。
身寄りをなくしてしまった石童丸は、再び道心を尋ねる。
母が亡くなった宿の主人は、道心に埋葬を依頼。
ついに妻と対面する道心。激しく涙する。
遺体を輿にのせて運び、火葬する道心と石童丸。
石童丸は故郷に戻るが、姉がすでに亡くなったことを知る。
再び高野山に上り、道心と出会う石童丸。道心は父と明かそうとするが、法然上人との誓いのため名乗れない。
石童丸は道心のもとで出家。しかし、親子と噂されることを避け、道心は信濃の善光寺に移る。
道心と石童丸は同じ日同じ時刻に往生をとげ、菩薩たちが紫雲に乗って来迎する。
2人は、善光寺に親子地蔵として祀られる。