奇跡のクラーク・コレクション -ルノワールとフランス絵画の傑作-
2013年2月9日~5月26日
三菱一号館美術館
クラーク美術館といえば、何といってもピエロ・デッラ・フランチェスカの晩年の作「ウイリアムズタウンの聖母」を所蔵する美術館。
そして、2010年に六本木と大阪で開催されたルノワール展、クラーク美術館からの出品作3点が異彩を放っていたことが強く印象に残っている。
ただし、これらが同じ美術館を指すと認識したのは、本展覧会が開催されることを知り確認してからのことである。
展覧会を構成する作品の質が高いこと、コレクションに触れる機会が少ないこと、コレクションに強い個性を感じ、コレクターの個性が浮き上がってくること。
本展の出品数は73点。うちルノワールが圧巻の22点。
3Fの一番広い展示室に、ずらっと並べられたルノワール。
3年ぶりの再会となる「うちわを持つ少女」や「テレーズ・ベラール」。
特に「テレーズ・ベラール」には今回も見入ってしまう。
展覧会ポスターに取り上げられている「劇場の桟敷席(音楽会にて)」。
キャプションによると、当初はもう一人男性が描かれていたが、カーテンで塗りつぶされたとのこと。しかし、うっすらと男の頭と肩が見えるという。どう睨んでも分からない。と困っていると、近くのカップルの女性が男性に対し説明していたのを聞き、やっとわかった。
個人的には「日没」。一見ルノワールには結びつかない。
「ナポリの入江、夕刻」も旅情を誘われる。
この部屋でルノワールは終わりかと思えば、2Fの一番最後の展示室にずらっと登場。
猫を膝に置く「眠る少女」。
習作とはいえレベルの高い「頭部の習作(べラール家の子どもたち)」。
ナポリで描いた?将来の妻がモデルの「金髪の浴女」。
1点を除き、1874-1883年の10年間に描かれたもの。これは本コレクションの特徴なのか、必ずしもそうではなく今回の出品作として選ばれたのがこの年代だったのか。
「うちわを持つ少女」や「テレーズ・ベラール」のような雰囲気の作品が多かった気がする。
ルノワール以外は、コロー5点、ミレー2点、モネ6点、シスレー4点、ピサロ7点、ドガ4点、マネ1点、カイユボット1点、カサット1点、ロートレック2点辺りが主なところ。(ゴッホ、セザンヌ、ゴーギャン、スーラなどはない。)
モネも見応え大だが、個人的にはジェローム3点、ブグロー1点のアカデミズムの章やご縁の少ないジョヴァンニ・ボルディーニ2点を興味深く見た。
久しびりに印象派を満喫した展覧会であった。