東京でカラヴァッジョ 日記

美術館訪問や書籍など

「伊藤若冲 アナザーワールド」展 (千葉市美術館)

2010年05月23日 | 展覧会(日本美術)
若冲ブームといいます。若冲の熱烈なファンも多いようです。
そんなに人気があるのなら、私もハマるかもしれない、江戸絵画の世界への突破口となるかもしれない、と2006年以降近場の主な展覧会には足を運んでいます。

「花鳥-愛でる心、彩る技<若冲を中心に>展」(宮内庁三の丸尚蔵館)2006年3~9月(5期)
「プライスコレクション 若冲と江戸絵画」展(東京国立博物館)2006年7月4日~8月27日
「若冲展」(相国寺承天閣美術館)2007年5月13日~6月3日
「皇室の名宝―日本美の華(第1期)」(東京国立博物館)2009年10月6日~11月3日

特に印象的なのが、京都に遠征した「若冲展」。
「動植綵絵」と「釈迦三尊像」全33幅がおよそ120年の時を超えて再会した展示室に限定しての鑑賞としたのですが、何が印象的だったかというと、その大混雑ぶり。
展示室入場後、長時間おとなしく並んでなんとか最前列のガラスに張り付き、その後三方から押されに押され、前にほとんど進めず、逆に進めないことをいいことに絵をじっくり眺めて、と自分も渋滞の要因となりつつ。
展示室内では「前に進め」「見たい人がたくさんいるんだ」と大声でどなるおじさん・おばさんが何人も出るし、控え目な紳士は女性係員に混雑の対処方法を懇切丁寧に指導しているし。極めて異様な雰囲気。
しかし、全部揃うと見え方が違う。これは間違いなく見る価値のある作品。
2009年の再会時、広い展示室ではさすがにその異様な雰囲気はありません。そうなると作品もおとなしく見えてくるのは不思議です。

さて、千葉市美術館です。土曜日は20時までの開館。切符は、会期が始まってからも前売価格で売っている千葉都市モノレール「千葉駅」の定期券売場で購入。バスで移動、中央三丁目までなら100円。17時30分過ぎの到着。人も少なめで、じっくり鑑賞できました。

メインは水墨画。だから「アナザーワールド」なのか、と普通の来場者ならとっくの昔に知っていただろうことを改めて感心する。「着色画」と同じ題材でたくさん描いていたのですね。ワンパターンとまでは言わないけれど。

特に印象に残ったのがこの3点。
1 「果蔬涅槃図」(京都国立博物館)
 単なる野菜を並べた絵か、それにしては大きいな、と思うと、キャプション見出しに「・・・(忘れました)」、題名に「涅槃図」とある。それで初めて、大根がお釈迦様かと気付かされ、改めて眺めると実に面白い。青物問屋の若冲らしいといえばらしい。ただ、この発想は若冲独自のものなのか、他にも似た発想の作品が周りにあったのかは私にはわかりません。
2 「墨竹図」(京都国立博物館)
 家に飾るなら(床の間はないけど)大きさ的にもこれ。
 リズミカルさに惹かれた、って、キャプション見出しそのまま。
3 「花鳥蔬菜図押絵貼屏風」(個人蔵)
 キャプション見出しに「若冲初期水墨画の基準作」。得意の題材がひとつずつ6曲に描かれていてお得感あり。

その他、「樹下雄鶏図」(イセ文化基金)や他の展覧会でも見た「石灯籠図屏風」や「石峰寺図」(ともに京都国立博物館)も印象的。重要文化財の「蓮池図」(大阪・西福寺)は余白の多い作品だがその皺が目立って見づらい感。「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館)は、ごてごてしている作品なのに狭めの部屋で鑑賞スペースが十分確保できないのが難点。

キャプション詳細説明の冒頭の10文字前後の見出しがうるさい。単純な私はその方向でしか絵が見れなくなってしまう。思いが強いのは想像しますが、見出しをつけるならもう少し落ち着いた内容にしてほしい。

後期も6月14日以降に行こうと思います。リピーターは半額になるらしいので、今回の半券を忘れずに。自宅からは片道2時間強はかかるし、他にもいろんな展覧会が始まるので、確実ではないですが。

(図録を買わず、メモも取っていないので、記載内容が不確かな部分もあります。もし後期に行けば改めます。)


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