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フェルメール全35作品、現所蔵者の取得年の古い順ランキング

2018年11月11日 | フェルメール
   フェルメールの現存作品は、開催中のフェルメール展の見解によれば、35点。
   35点の現所蔵者が取得した年を確認する。
   題して、現所蔵者の取得年の古い順ランキング。
 
 
1位:1714年
《ワイングラスを持つ女》
アントン・ウルリッヒ公美術館、ブラウンシュヴァイク
 
   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   1710年時点で、アントン・ウルリッヒ公が既に所有し、1714年に美術館に移したようだ。
   所有歴304年!!
 
 
2位:1741年
《取り持ち女》
ドレスデン国立美術館
 
   1741年に、ザクセン選帝侯アウグスト3世が、それまでドゥクス(現チェコ)のワレンシュタイン・コレクションにあった作品を購入、のちにドレスデン国立美術館に移される。同美術館はザクセン王国のコレクションが基礎となっている。
   所有歴277年!


3位:1742年
《窓辺で手紙を読む女》
ドレスデン国立美術館
 
  1742年、パリでザクセン選帝侯アウグスト3世の代理人が、レンブラント作品として購入。
   所有歴276年!
 
 
4位:1762年
《音楽の稽古》
バッキンガム宮廷王室コレクション

   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   何度か所有が変わったが、1762年にイギリス国王ジョージ3世が、ヴェネツィア/モリアーノのスミス・コレクションから、フランス・ファン・ミーリス作品として購入。
   所有歴256年。
 
 
5位:1822年
《デルフト眺望》
マウリッツハイス美術館
 
   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   1700年代の所有者は不明だが、1800年に入って何度か所有が変わり、1822年にアムステルダムで競売、その年に館が購入。
   所有歴196年。
 
 
6位:1870年
《レースを編む女》
ルーヴル美術館
 
   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   1778年から何度か所有が変わり、1870年のパリで競売、落札者がルーヴル美術館に転売。
   所有歴148年。
 
 
7位:1874年
《真珠の首飾り》
ベルリン国立美術館
 
   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   1809年以降、何度か所有が変わり、途中でトレ・ビュルガーも所有。1874年、館が購入。
   所有歴144年。
 
 
8位:1876年
《ディアナとニンフたち》
マウリッツハイス美術館
 
   1866年以前の来歴は不明。1876年にパリで競売、オランダ政府の代理人がニコラス・マース作品として購入し、館が収蔵。
   所有歴142年。
 
 
9位:1885年
《手紙を読む青衣の女》
アムステルダム国立美術館
 
   1712年以降、売買記録あり。何度か所有が変わり、1854年からアムステルダム美術学校が寄贈を受けて所有。1885年、アムステルダム市から館に寄託。
   所有(寄託)歴133年。
 
 
10位:1889年
《水差しを持つ女》
メトロポリタン美術館
 
   1887年、ニューヨークのマーカンドがパリの所有者から購入。1888年、館に寄託、翌1889年、寄贈。
   所有歴129年。
 
 
10位:1889年
《ギターを弾く女》
ケンウッドハウス、ロンドン
 
   1696年のアムステルダムでのディシウス・コレクション競売21点のなかの1点。
   1889年、ギネスビールの創立者の曾孫アイヴァー伯爵がロンドンの画商から購入。その後、ケンウッドハウスへ。
   所有歴129年。
 
 
以下、簡記。
 
12位:1892年
《ヴァージナルの前に立つ女》
ロンドン・ナショナルギャラリー
 ✳︎1892年、パリの競売でロンドンの画商が落札、同年、館が購入。
 
12位:1892年
《合奏》
イザベラ・ステュアート・ガードナー美術館
✳︎1892年、パリの競売でガードナー夫人が落札。1990年に盗難、現在も行方不明。
 
14位:1893年
《恋文》
アムステルダム国立美術館
✳︎1892年、アムステルダムの競売でレンブラント協会が落札、翌1893年、館が所蔵。
 
15位:1901年
《ワイングラス》
ベルリン国立美術館
✳︎1774年からホープ家が所有。1898年、ホープ・コレクション売却。1901年、館が購入。
 
16位:1901年
《稽古の中断》
フリック・コレクション
✳︎1810年以前の来歴不明。1901年、実業家フリックが画商ノードラーから購入。
 
17位:1902年
《真珠の耳飾りの少女》
マウリッツハイス美術館
✳︎1881年、ハーグの競売でハーグのトンプが落札。1902年、館に寄贈。
 
18位:1907年
《地理学者》
シュテーデル美術館
✳︎1797年まで《天文学者》とともに所有されていたが、1797年のアムステルダムでの競売以降、別の所有者になる。1907年、ドイツの銀行家シュテーデルが設立した館が取得。
 
19位:1908年
《牛乳を注ぐ女》
アムステルダム国立美術館
✳︎1908年、館がシックス家から本作を含む39点を一括購入。
 
20位:1910年
《ヴァージナルの前に座る女》
ロンドン・ナショナル・ギャラリー
✳︎1898年以前、ロンドンのサルティングが取得、1910年、館に寄贈。
 
21位:1911年
《士官と笑う女》
フリック・コレクション
✳︎1911年、実業家フリックが画商ノードラーから購入。
 
22位:1913年
《眠る女》
メトロポリタン美術館
✳︎1909年、ニューヨークのデパート経営者アルトマンが画商デュヴィーンを通じて購入、1913年、館に寄贈。
 
23位:1919年
《女と召使》
フリック・コレクション
✳︎1919年、実業家フリックが画商デュヴィーンから購入。
 
24位:1921年
《小路》
アムステルダム国立美術館
✳︎1921年、デテルディングがシックス家から購入し、館に寄贈。
 
25位:1925年
リュートを調弦する女》
メトロポリタン美術館
✳︎1897年以前、ハンティントンが英国で購入、1925年、館に寄贈。
 
26位:1927年
《マルタとマリアの家のキリスト》
スコットランド国立美術館
✳︎1901年、スコットランドのコーツ家が購入、1927年、館に寄贈。
 
27位:1931年
《信仰の寓意》
メトロポリタン美術館
✳︎1923年、プレディウスが購入し、ボイマンス美術館に寄託。1928年、売却、ニューヨークのフリードサムが購入、1931年、館に寄贈。
 
28位:1937年
《赤い帽子の女》
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
✳︎1822年、パリで競売。1823年、仏のアタラン男爵家が取得。1925年に米の富豪メロンが購入。1937年、館が入手。
 
29位:1942年
《天秤を持つ女》
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
✳︎1911年、フィラデルフィアのワイドナー家が購入。1942年、館に寄贈。
 
30位:1946年
《絵画芸術》
ウィーン美術史美術館
✳︎1813年、オーストリア貴族ツェルニン家がピーテル・デ・ホーホ作品として購入。第二次大戦中、売買?によりヒトラーが取得。戦後、オーストリア政府の所有に。
 
31位:1962年
《手紙を書く女》
ワシントン・ナショナル・ギャラリー
✳︎1907年に米の富豪モーガンが購入。その後何度か所有が変わり、1946年、ヘイヴェメイヤー家が取得、1962年、館に寄贈。
 
32位:1979年
《少女》
メトロポリタン美術館
✳︎1948年からニューヨークのライフマン夫妻が取得、1979年、館に寄贈。
 
33位:1983年
《天文学者》
ルーヴル美術館
✳︎1881年、パリのロスチャイルド家が取得。第二次大戦中にナチスに接収され、戦後同家に返還。1983年、ルーヴルに。
 
34位:1987年
手紙を書く婦人と召使い》
アイルランド国立美術館
✳︎1895年頃にパリの画商からバイト卿が購入し、バイト家が所有。1974年・1986年と二度の盗難事件にあう。二度目の盗難から戻ってきたのちに、館に寄贈。
 
35位:2004年
《ヴァージナルの前に座る若い女》
個人蔵
✳︎2004年、サザビーズの競売で現所蔵者が約33億円で落札。
 


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