プラド美術館展
ースペイン宮廷 美への情熱
2015年10月10日~1月31日
三菱一号館美術館
本展の目玉作品の一つ、ムリーリョ《ロザリオの聖母》
本展は、2013年にプラド美術館で開催され、2014年にバルセロナに巡回した、プラド美術館所蔵品による展覧会 La belleza encerrada (Captive Beauty)を再構成したもの。「小さなサイズ」の作品に焦点をあてた展覧会。Captive Beautyは、直訳だと「秘められた美」。
3階の休憩コーナーに置いてあるプラド美術館およびバルセロナの展覧会図録をパラパラめくる。
バルセロナは、彫刻が含まれる点以外は、三菱一号館美術館と概ね同じ出品規模の感。
一方、プラド美術館は、さすが凄い内容。例えば、
これが来日していたら、とんでもない騒ぎになっているだろう
デューラー《自画像》1498年、52 ×41cm
たいして評判にはならないかもしれないが、私の好みで、
パティニール《ステュクス川を渡るカロン》1520-24年、64×103cm
上記以外にも、
フラ・アンジェリコ《受胎告知》194x194cm(←プレデッラに注目という趣旨)
マンテーニャ《聖母の死》54.5 x 42cm
ボスはもう1作品《七つの大罪と四終》120 x 150 cm(←小サイズの11(7+4)図の組合せ)
ラファエロ《聖家族と仔羊》、28 x 21.5 cm(←2013年国立西洋美術館のラファエロ展で来日)
スルバラン《神の仔羊》37.3 x 62 cm
など。
本展において一つ納得できないのは、スペイン5大巨匠の1人であるスルバランの不在。本展ではスペイン静物画・ボデゴンが弱い感があって、その意味でも《神の仔羊》じゃなくてもいいからスルバランのボデゴンが欲しかったなあ。
以上はプラド美術館では出品されたが、三菱一号館美術館では出品されていない作品であるが、逆に、三菱一号館美術館で出品されているが、プラド美術館では出品対象になっていない作品も散見される。
その代表は、ムリーリョ《ロザリオの聖母》。しかも、166×112cmと「小さいサイズ」とは言えない作品。
確かに他にも大画面の作品はある。
それは、別に下絵(ルーベンス作)が出品されていて、その参考出品的な位置付けで大画面の完成作(コリネリス・デ・フォス作)が出品されている。あるいは、別にタペストリー用の原寸大原画のための下絵が出品されていて、その参考出品的な位置付けで大画面の原寸大原画が出品されている(ゴヤ作。完成作であるタペストリーは出品されていない)。
ムリーリョには、そのような関連性が全く見出せない。もちろん出品自体はたいへん嬉しい。けれども、不思議な出品である。