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史上初めて天皇を撮影した写真 -【その2】 「日本初期写真史 関東編」展(東京都写真美術館)

2020年12月23日 | 展覧会(その他)
日本初期写真史   関東編
幕末明治を撮る
当初:2020年3月3日〜5月24日
新会期:2020年12月1日〜21年1月24日
東京都写真美術館
 
 
   当初は2020年春に開催を予定し、会場準備も完了していながら、1日も公開されることなく中止となった展覧会。
   新会期が設定され、一度撤去したものを再度設営し、今回無事開催されたのはありがたいこと。
 
   写真・写真史には疎いが、初期の人物写真や風景写真を見るのは楽しい。
 
   3章構成で、約190点の出品(一部前後期入替)。
 
 
   印象に残る作品その2。
 
 
ライムント・フォン・シュティルフリート
《天皇陛下と御一行》
1872年、明治大学図書館
 
   史上初めて天皇の姿を撮影した写真。
 
   1872年1月、明治天皇が横須賀造船所の開所式に行幸した際の一枚。
   中央に宮廷装束姿の明治天皇。
 
   ただし、これは盗撮である。
 
   当時、横浜で写真館を経営していたオーストリア人シュティルフリートが無許可で隠れて撮影したもの。
 
   当時の写真技術の限界があるだろうし、盗撮であるが故の限界もある。撮影時間は数秒だったとされる。しかし、撮影位置や光の具合など、盗撮とは思えない出来上がりに見える。といっても背景に映る木は合成らしいし、それ以外にも盛ったところがあるのかもしれない。
 
   シュティルフリートは、広く販売するつもりで英字新聞に広告を掲載する。日本政府は治外法権のため直接手が出せない。結局、オーストリア政府が没収し、一般には流通することはなかった。
 
   その写真は、長らく幻の写真であったが、2000年に英国オークションに登場する。フランス出身で日本で活動する歴史学者・実業家であるポラック氏が購入する。その後、氏は本写真を含む日仏関係資料コレクションを明治大学に寄贈している。
 
   シュティルフリート(1839〜1911)について。
   1869〜84年に日本に滞在。フェリーチェ・ベアトに写真術を学んだ後、横浜で写真館を経営。その間、日本における写真技術の普及に寄与したほか、万博への出展やダルマチア・ボスニア・ギリシャへの撮影旅行など、写真家として国際的にも名が知られるようになる。1884年に日本を離れ、アジアを回ってオーストリアに帰国。その後、皇帝付きの宮廷画家になったという。ネットを見る限りでは、ウィーンの街並みや建築物を描いていたようだが、うーん、微妙。
 
参照:
 
 
 
   最後にもう1点、印象に残る写真を。
   明治時代の二重まぶたの若い女性。
 
日下部金兵衛
《(法被を着た女性)》
明治中期頃
東京都写真美術館


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