今年見た展覧会のお気に入りベスト10(今年で11回目)。
2020年は、展覧会の延期や開催中止が相次いだり、約3ヶ月間の不稼働期間があったり、日時指定入場券の入手ができずに諦めたり、LNG展に嵌ったりして、鑑賞した展覧会数も例年より少なくなったものの、通常年どおりベスト10を挙げることができたのはありがたいことである。
1位:ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
変更前:2020年3月3日〜6月14日
変更後:2020年6月18日〜10月18日
国立西洋美術館
https://twitter.com/hashtag/%E3%83%AD%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%B3%E5%B1%95?src=hash&ref_src=twsrc%5Etfw">#ロンドン展 の東京会場が閉幕しました。たくさんのご来場、ありがとうございました👋
— ロンドン・ナショナル・ギャラリー展 (@london_2020art) https://twitter.com/london_2020art/status/1317754561092726785?ref_src=twsrc%5Etfw">October 18, 2020
開幕延期、日時指定導入と様々なことがありましたが、皆さんにご覧いただく機会ができたのは、本当に奇跡的なことでした。
作品は国立国際美術館へ移り、11/3から大阪会場が開幕します🎵 https://t.co/xxsHxjqDlz">pic.twitter.com/xxsHxjqDlz
2/26に国立博物館が臨時休館を発表して以降、閉幕までの約8ヶ月間、上記ツイートの言葉どおり様々なことがあった。会場準備は完了したのに開幕できず、中止かとやきもきした春の3ヶ月半。無事に6/18に開幕、クリヴェッリ、ゴッホの2大看板を中心に出品作全61点を楽しませてもらった夏・秋の4ヶ月。一つの展覧会でこんなにも長期間にわたり関心の対象であり続けたのは、他には、出品中止が相次いだ2019-20年の札幌・名古屋・大阪巡回の「カラヴァッジョ展」くらい。
日時指定入場制の導入による入場者数制限が、快適な鑑賞環境を作ってくれた。主催者としては痛手だが。
現在、大阪の国立国際美術館で開催中だが、12月においても日時指定券の当日入手が可能な状況が続いているようである。
2位:生誕120年・没後100年 関根正二展
2020年2月1日〜3月22日(3月4日から休館し、そのまま閉幕)
神奈川県立近代美術館・鎌倉別館
運良く、前期・後期とも鑑賞。関根正二の生誕120年かつ没後100年の回顧展。結核にスペイン風邪が重なって、僅か20歳で亡くなった夭折の画家だが、こうして120、100、20と数字を並べられると、その人生の短さを改めて感じさせられる。画業は僅か5年ほどであったらしい。
神奈川県立近代美術館HPの本展ページには、後期の会場写真14枚が追加掲載されている。
3位:ハマスホイとデンマーク絵画
2020年1月21日〜3月26日(2月29日から休館し、そのまま閉幕)
東京都美術館
2008年の国立西洋美術館「ヴィルヘルム・ハンマースホイ 静かなる詩情」展以来、12年ぶりの回顧展。
前回が、全105点中ハンマースホイ86点と、「ハンマースホイ」色一色で覆われた実にディープな構成。
今回は、ハマスホイが37点と前回の半分以下となり、同時代のデンマークの画家がその分加わって全86点と、バラエティに富む構成。
展示室よりむしろ、ミュージアムショップが「ハマスホイ」色濃厚だったのが印象的。
次の巡回先の山口県立美術館。緊急事態宣言解除の直後、動かせない閉幕日と残り日数、情報・資材・ノウハウ不足下の感染防止対策への取組み、そんな状況での13日間の開催。関係者のご努力に敬意を表したい。
4位:性差(ジェンダー)の日本史
2020年10月6日〜12月6日
国立歴史民俗博物館
評判となったらしい展覧会。
私的には第6章「性の売買と社会」。そのなかでも特に、高橋由一の重文《美人(花魁)》が、いつもの日本近代美術史の文脈ではなく、売買春の社会史の文脈で展示されていることがインパクト大であった。
5位:ダ・ヴィンチ没後500年「夢の実現」
2020年1月5日〜1月26日
代官山ヒルサイドフォーラム
2019年はレオナルド没後500年の記念年、だが私には関係のないこと、と思っていたら、ありました、東京造形大学のプロジェクト研究の成果を披露する展覧会。
レオナルドの現存絵画全16点をヴァーチャル復元し、完成状態を再現展示。入場無料、かつ、立派なパンフレット(36頁)も無料。実にありがたく、また、実に興味深い展覧会であった。
6位:神田日勝 大地への筆触
変更前:2020年4月18日〜6月28日
変更後:2020年6月2日〜6月28日
東京ステーションギャラリー 北海道・十勝地方で農業に従事するとともに、画家として活動した神田日勝(1937〜70)。農耕馬、牛、そして《室内風景》。日勝独自の世界を堪能した。
私的には、緊急事態宣言解除後最初に観た展覧会でもある。
7位:ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵「KING & QUEEN展」
2020年10月10日〜21年1月11日
上野の森美術館
北方ルネサンスの香りテューダー朝ポートレート。バロックの香りステュアート朝ポートレート。英国王室の豊かすぎるドラマ。期待せずに行ったが、魅了される。
私的には、ハンス・ホルバイン(子)への愛が芽生える。ただし、本展に展示されているのは、オリジナルではなく、コピー作品である。
8位:日本美術の裏の裏
2020年9月30日〜11月29日
サントリー美術館
《かるかや》二帖の一挙公開に尽きる。過去の鑑賞機会は1回につき2〜3図程度だったのが、一挙に32図!!長年のモヤモヤが解消。素晴らしく魅力的な作品。しかもまさかの撮影可!
9位:もう一つの江戸絵画 大津絵
2020年9月19日~11月8日
東京ステーションギャラリー
これだけまとまった数を一度に観るのは初めて。大津絵の魅力を味わせてもらった。
10位:石橋財団コレクション
アーティゾン美術館
ブリヂストン美術館「ベスト・オブ・ベスト」展に行ったのが2015年5月。
それから4年8ヶ月、2020年1月、新しい23階建て高層ビル「ミュージアムタワー京橋」1〜6階に、アーティゾン美術館として開館した。
開館記念展の「見えてくる光景」展(1〜3月)、特集コーナー展示の「パウル・クレー」「印象派の女性画家たち」(6〜10月)、「久留米をめぐる画家たち」(11月〜1月)など、既収蔵作品との再会、青木繁などの常駐化、長期休館中の新収蔵作品(184点とのこと)の初公開など、石橋財団コレクションの凄さを味わせてもらった。2021年も、新収蔵作品の初公開展示が続くようであり、楽しみ。
2021年は、COVID-19が一日も早く収束し、気軽に展覧会を鑑賞できるような環境になりますように。
【参考】
あけましておめでとうございます。
コメントありがとうございます。
2020年は世界中の人々が思いもしない大変な事態に見舞われた年となりました。2021年も予断を許さない状況が続きますが、気兼ねなく移動できる日が少しでも早く戻ってくることを願うばかりです。