日タイ修好130周年記念特別展
タイ ~仏の国の輝き~
2017年7月4日~8月27日
東京国立博物館
1 私の誕生日が何曜日なのか初めて認識する。
タイの人々は何曜日に生まれたかが重要であるらしい。
それによりラッキーカラーが異なるし、寺院でお参りする仏(守護仏)も異なるという。
なんでも曜日仏といって、曜日(水曜だけはさらに昼と夜で分かれる)毎にポーズが異なっている仏像、全8体。
自分の誕生日が何曜日かなんて知らない。そんな一般的な日本人のために、会場には誕生日を入力すると誕生曜日が分かる機械が用意されている。
早速私も入力する。ラッキーカラーはピンク、曜日仏は涅槃に入る釈迦である。
これで誕生曜日を忘れることはないだろう。また、色はともかく、今後涅槃像を見る熱心度が変わってくるだろう。
2 印象に残るタイの仏像3選
No.33《ナーガ上の仏陀坐像》
スラートターニー県チャイヤー郡ワット・ウィアン伝来
シュリーヴィジャヤ様式・12世紀末~13世紀
バンコク国立博物館(1089ブログより)
入場して最初に登場するハンサム仏像。本展のメイン・ビジュアル。
龍王ムチリンダが傘となって瞑想する仏陀を風雨から護る。
この仏像は後ろから見ても面白い。台座はヘビ、ヘビの尻尾があって、大きなヘビの頭部。背後全てが一匹のヘビである。
No.39《仏伝図結界石》
カーラシン県ファーデートソンヤーン遺跡出土
ドヴァーラヴァティー時代・9世紀
コーンケン国立博物館
結界石とは、聖域と俗世を隔てる境界に置かれる板碑状のもの。
本作は、石が平らで蓮の花びらの形をしている。この地域の特徴であるという。
表面には、釈迦が禅定する場所を探してボードガヤーの菩提樹に辿り着き、農夫と出会った場面が彫られている。
右に釈迦。左に釈迦と同じ高さの菩提樹と、釈迦の半分の高さの素朴な農夫。農夫が握っているのは、仏の敷物用の草である。
No.56《仏陀遊行像》
スコータイ県シーサッチャナーライ郡ワット・サワンカラーム伝来
スコータイ時代・14~15世紀
サワンウォーラナーヨック国立博物館
(1089ブログより)
足を一歩前に出した、ウォーキング姿の仏像。
後姿も「タイ舞踊にも通じるしなやかな曲線が印象的」(1089ブログより)。
3 日本とタイとの交流
第4章「シャム 日本人の見た南方の夢」は、主に国内所蔵作品により、江戸時代の日本とタイとの交易関係、および、それに遡る100 年前の琉球を介した日本とタイとの交流が紹介される。
航海図、朱印状、山田長政像、シャム船を含む唐船を描いた図巻、シャムへの朱印船が無事帰還したことを祝して大阪・杭全神社に奉納した《末吉船図衝立》、タイ産のチーク材(✳︎)で作られた17世紀京都・萬福寺の仏像などを見る。
✳︎オランダ人が台湾の建築物を修理するため、シャムの木材を取り寄せたが、陸上げできず、日本にもたらされ、萬福寺に寄進される。木材は、造営中の諸堂建築に利用される。
4 日本初の上座仏教の僧侶
釈興然(1849-1924)は、日本初の上座仏教の僧侶。
1886年(明治19年)から4年間スリランカに渡って受戒。
タイとの関係では、1907年にバンコクに1年間行き、50体余の仏像や経典を請来。住職を務めた横浜・三會寺が所蔵する請来仏像2点が展示される。うち1点は涅槃像である。
5 撮影可能エリア
No.126《ラーマ2世王作の大扉》
バンコク都ワット・スタット仏堂伝来
ラタナコーシン時代・19世紀
バンコク国立博物館
高さ5.6メートルと巨大。「この扉は王室のお寺、ワット・スタット(1807年創建)の正面を飾っていたもの。チーク材の扉の表側にはサルやリスなど、天界の雪山に住むとされるさまざまな動物たちが彫られている。この彫刻は国王ラーマ2世(在位1809-24)によるもので、完成したあと、同じものを作らせないために使った道具を川に捨てさせたという」(1089ブログ参照)。
不慣れながらも、タイの仏教美術を楽しむ。個人的には、第1章「タイ前夜 古代の仏教世界」と第2章「スコータイ 幸福の生まれ出づる国」の時代までの仏教美術が好みかなあ。