山、花、空・・点在する自然の営みを綴っています。
-Since 2004.08.28-
黎明彩香_Dreams
なぜ避難小屋に引き返さなかったのか?
7月16日、悪天候に見舞われた北海道大雪山系のトムラウシ山(2141メートル)と美瑛岳(2052メートル)で、登山客が相次いで遭難し、旅行会社のツアーに参加していた人やガイドら50~60代の計10人が命を落とした。
遭難計10人死亡 大雪山系トムラウシ山・美瑛岳≪画像あり≫ 【 asahi.com 社説 】
山岳史上に残る大惨事です。
中高年に「百名山」ブームが広がるなか、悲劇から厳しい教訓を得ねばならない。
中高年登山―引き返す勇気を持って 【 asahi.com 】
北海道大雪山系の夏山で、なぜ初心者ではない大勢の中高年が遭難したのか?
この時期の大雪山は、雄大な峰々に一斉に咲く高山植物が人々を引きつける。
一方で夏とはいえ、北海道の2千メートル級の山々の気象条件は、本州の3千メートル級に匹敵するという。
ネットでトムラウシ山を検索してみると、最短ルートの新得町からのルートを用いても山頂まで6~7時間はかかり、小屋などの設備も少ないようです。
山頂付近で悪天候に見舞われ風雨にさらされれば、体感温度は簡単に0度以下になり、体の熱が急速に奪われる低体温症が、多くの犠牲者を出した一因となったようです。
低気圧の通過で山の天気は荒れていた。18人中8人が死亡したトムラウシ山のツアーが、1泊した避難小屋を出た時には強風が吹いていた。
不安に思った人もいたというが、ガイドは出発を強行した。体調を崩して落後する人が続出し、一行はちりぢりになった。
夏山の危険を知っていたならば、小屋で天候回復まで待つべきだった。
なぜ下山を急いだのか。山頂付近で悪天候に見舞われて、なぜ避難小屋に引き返さなかったのか。
一行は旭岳温泉を出発し、3日間で40キロ余りを縦走する予定だった。疲労もたまっていただろう。
悪天候を予想して、もっと手前で引き返すこともできたはずだ。
ガイドの責任は大きいと言わざるをえない。十分な知識や経験を持っていたのか。どこで判断を誤ったのか。
旅行会社の安全確保策はどうだったか。北海道警が捜査を始めたが、二度とこんな遭難が起きないよう、解明を進めてもらいたい。
事故の詳細が少しずつ明らかになってきているようですが、生死を分けたのは「一枚の防寒服(フリース・セーター)」だったのかもしれないと思うようになっています。
旅行会社が募集し、気軽に参加できる「ガイド付きツアー」の落とし穴もありそうだ。募集時にコースの難易度などが示されるが、ガイドは各地からやってくる参加者の技量や体力を把握しきれないだろう。
初対面の参加者同士、仲間の不調を気遣うことが十分できるだろうか。
参加者は「高い料金を払ったのだから無理をしてでも決行を」と言うかもしれない。日程はどうしても制約される。
だが、安全あっての登山だ。旅行業界は自らツアーのあり方を問い直さなければならない。
年々増える遭難者のうち60代以上が半数を占める。「山の高齢化」はこれからも進むだろう。いくら鍛えていても、疲労の回復には年齢の影響もある。
経験への過信もあだになる。山を楽しみ続けるためにも、愛好者はいま一度、自分のレベルや体力を冷静に判定してほしい。
山歩きをされる方は、行程をよく吟味し、体調や装備をしっかり点検する。
防寒服(フリースやセーターなど一枚)と、引き返す勇気も忘れずに山に持って行きたいものです。

遭難計10人死亡 大雪山系トムラウシ山・美瑛岳≪画像あり≫ 【 asahi.com 社説 】
山岳史上に残る大惨事です。
中高年に「百名山」ブームが広がるなか、悲劇から厳しい教訓を得ねばならない。
中高年登山―引き返す勇気を持って 【 asahi.com 】
北海道大雪山系の夏山で、なぜ初心者ではない大勢の中高年が遭難したのか?
この時期の大雪山は、雄大な峰々に一斉に咲く高山植物が人々を引きつける。
一方で夏とはいえ、北海道の2千メートル級の山々の気象条件は、本州の3千メートル級に匹敵するという。
ネットでトムラウシ山を検索してみると、最短ルートの新得町からのルートを用いても山頂まで6~7時間はかかり、小屋などの設備も少ないようです。
山頂付近で悪天候に見舞われ風雨にさらされれば、体感温度は簡単に0度以下になり、体の熱が急速に奪われる低体温症が、多くの犠牲者を出した一因となったようです。
低気圧の通過で山の天気は荒れていた。18人中8人が死亡したトムラウシ山のツアーが、1泊した避難小屋を出た時には強風が吹いていた。
不安に思った人もいたというが、ガイドは出発を強行した。体調を崩して落後する人が続出し、一行はちりぢりになった。
夏山の危険を知っていたならば、小屋で天候回復まで待つべきだった。
なぜ下山を急いだのか。山頂付近で悪天候に見舞われて、なぜ避難小屋に引き返さなかったのか。
一行は旭岳温泉を出発し、3日間で40キロ余りを縦走する予定だった。疲労もたまっていただろう。
悪天候を予想して、もっと手前で引き返すこともできたはずだ。
ガイドの責任は大きいと言わざるをえない。十分な知識や経験を持っていたのか。どこで判断を誤ったのか。
旅行会社の安全確保策はどうだったか。北海道警が捜査を始めたが、二度とこんな遭難が起きないよう、解明を進めてもらいたい。
事故の詳細が少しずつ明らかになってきているようですが、生死を分けたのは「一枚の防寒服(フリース・セーター)」だったのかもしれないと思うようになっています。
旅行会社が募集し、気軽に参加できる「ガイド付きツアー」の落とし穴もありそうだ。募集時にコースの難易度などが示されるが、ガイドは各地からやってくる参加者の技量や体力を把握しきれないだろう。
初対面の参加者同士、仲間の不調を気遣うことが十分できるだろうか。
参加者は「高い料金を払ったのだから無理をしてでも決行を」と言うかもしれない。日程はどうしても制約される。
だが、安全あっての登山だ。旅行業界は自らツアーのあり方を問い直さなければならない。
年々増える遭難者のうち60代以上が半数を占める。「山の高齢化」はこれからも進むだろう。いくら鍛えていても、疲労の回復には年齢の影響もある。
経験への過信もあだになる。山を楽しみ続けるためにも、愛好者はいま一度、自分のレベルや体力を冷静に判定してほしい。
山歩きをされる方は、行程をよく吟味し、体調や装備をしっかり点検する。
防寒服(フリースやセーターなど一枚)と、引き返す勇気も忘れずに山に持って行きたいものです。

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