映像 ☆
脚本 ☆☆
役者 ☆☆☆☆
演技 ☆☆☆☆
意外性 ☆☆★★
といった感じ。
面白い部分もあったが、ツッコミながら見る感じになってしまった。
若手俳優7人が、有名劇団の次回作のキャストを決めるオーディションに参加するため、海辺のロッジに集合するところから物語は始まる。
オーディション内容は、「大雪で閉ざされた山荘」という架空のシチュエーションで演技をし、課題の事件に対処しながら謎解きをするというもの。
最初の夜を思い思いに過ごす参加者だったが、朝になると一人が姿を消していた。
シナリオなのか、本当の殺人なのか、参加者達は疑心暗鬼になって・・・
という筋のはずなのだが、いかんせん海辺のロッジなので、まったく緊迫感が無い。ドアも普通に開くのである。携帯電話もある。
途中、帰ろうとするキャラがいるが、何かと理由をつけて結局帰らないので、いや帰れよとイライラしてくる。
しかも帰るのはしぶるくせに、雪の山荘の設定を無視して平気で庭でタバコを吸ったり、話し込んだりしている。
完全に脚本的に失敗しているが、最後の方で一応のまとまりやどんでん返しがあるので星を2コ残した。
映像は地味だった。
ロッジが狭いので場面に変化が無いし、殺害シーンもチープだった。
途中、建物の見取り図の中で登場人物が動き回る演出が、何度も意味ありげに出てくるが、特に意味はなかった。ただ推理小説感を出す効果はあった。
致命的だと思ったのは、犯人の顔バレだ。主人公の久我(重岡大毅)による最初の殺人の考察の際、殺人の様子を脳内で空想しているはずが、犯人の顔が見えてしまっていたのだ。僕は知らない役者の顔があまり区別できないので、犯人は分からなかったが、謎の演出だった。
役者や演技は良いと思った。
ネタバレなので詳細は後述するが、麻倉役の森川葵が最後印象に残った。
その他の役者もそれぞれの役の雰囲気にあっていたと思う。
意外性の星は良い面悪い面どちらもあったので☆★どっちもつけた。
良い面はラストの終わり方。
悪い面は予告編で雪の山荘を期待させておいて、盛大に肩透かしを食らわせたこと。
以下ネタバレを含む感想。
・ラストシーンの変身
舞台で演じる麻倉(森川葵)が急に魅力的になっていてびっくりした。回想シーンのオーディション演技では、演技はクサイし(劇中ではいい演技となっていたが・・・)容姿もあまり良いとは思わなかったが、ラストシーンの舞台メイクをバッチリ決めた姿は別人のようだった。オーディションでもあのヘアメイクでいけば受かっていたのではないだろうか・・・。
・推理がひどい
最終日、久我、田所(岡山天音)、中西(中条あやみ)の三人が一緒に一晩過ごしてアリバイを作り、本多(間宮祥太朗)を犯人と断定するくだりがひどい。
確かに証拠にはなるだろうけど、中西はともかく田所を信用するand田所に信用される過程が描かれていないので唐突過ぎる。
しかも課題が終わった体で帰ろうとする本多を、実際に殺人が起こったものとして引き留め、推理を始めるのも異常。事件が起こる(起こった)と思うなら早く通報しなさいよという話になる。
犯人捜しが許されるのは「雪の山荘」だからであって、道路沿いのロッジでは不自然極まりない。最初の設定に足を引っ張られた感じ。
というか最後の一晩くらい徹夜しろよ。ゆとりか!と言いたい。
・結局は?
映画で語られていた内容全部が、最後の舞台で演じられていた劇だった、と解釈をしたい。
ただ、それを明示してくれないのでモヤモヤして終わってしまった。麻倉が立ち上がってカーテンコールにお辞儀するとかしてくれれば良かったのだが。
もし事件パートが本当に起きてたら、最後に仲良く舞台で演技は気持ち悪すぎない?(そして誰よりも主宰の演出家がクズすぎる)