歌舞伎学会事務局

歌舞伎学会の活動を広報します.

歌舞伎学会秋季大会のご報告

2015-02-15 15:23:17 | 企画報告
歌舞伎学会では、昨年12月13日(土)・14(日)の両日にわたり、東京女子大学に於きまして、2014年度秋季大会を開催いたしました。
当日は寒いながらも天気に恵まれ、第一日目は56名、二日目には91名と、会員のみならず非会員の方にも多数ご参加をいただき、盛会のうちに幕を閉じることができました。

研究発表は、江戸時代から近現代まで、様々なテーマでの発表が並び、それぞれのコメンテーターの解説に加え、来場者からも活発な質疑応答が行われました。

開催地にほど近い吉祥寺所縁の「前進座」をテーマとした二日目の大会企画では、まずは前進座の立役・嵐圭史氏にご登壇いただき、「前進座歌舞伎と歴史劇」と題したトークと、木下順二作「平家物語による群読『知盛』より」と題した朗読を行っていただきました。

圭史氏の『平家物語』の朗読は新潮CDにもなっていますが、ライブで聞く朗読は、それはそれは迫力満点で、知盛入水の場面が鮮やかに目に見えるようでした。休憩時間には、御自身の書籍に、その場でサインをして下さるサービスもあり、講演に魅了された来場者の長蛇の列ができていました。

休憩後には、シンポジウム「戦後歌舞伎と前進座」が行われました。
吉祥寺に幼少の頃からお住まいの原道生氏のお話では、吉祥寺の地図をもとに、通われていた小学校の校舎などの写真を見つつ、近くにあった前進座住宅のことや前進座学校巡演の「アリババ物語」の思い出、さらに研究者になられてからの稽古場見学のことなども語って下さいました。

昭和29年から昭和63年までの三十四年間、前進座の制作に関わられてきた小池章太郎氏は、昭和三十年代の前進座名コンビ、四代目河原崎長十郎と三代目中村翫右衛門の、個性的な芸の表裏を語って下さいました。幕内にいた方にしか分からないエピソードの数々は、舞台姿を直接知っている方はもちろん、知らない者にとっても大変興味深いものでした。

次にお話し下さった渡辺保氏は、まずは企画タイトルである「戦後歌舞伎」をどう定義するかという点を論じられた上で、御自身が観劇された前進座の歌舞伎演目を、所謂大歌舞伎と見比べ、相撲の星取表よろしく白黒つけた結果を発表され、『五大力恋緎』や『心謎解色糸』など、江戸後期の生世話物に圧倒的な存在感を持つ前進座歌舞伎の特徴を明らかにされました。

司会の犬丸治氏は、これまでの前進座の歩みを、「創成期」「全国巡演期」「翫右衛門・長十郎期」「国太郎・梅之助期」など、現在までを七期に分けて整理した資料を用意してくださり、パネリストの話を理解する手助けをして下さいました。


フリートークでは、やはり昭和三十年代の翫右衛門・長十郎のことが話題の中心となり、中国での公演の際の二人の激突や、芸質の違いからくる必然的な確執から長十郎の脱退に至るまでが詳細に理解できる有意義なシンポジウムとなりました。

ご来場下さった皆様をはじめ、発表者や講演者の方々、会場をお貸し下さった東京女子大学の皆様、企画調整段階からご尽力いただきました運営委員の方々にこの場を借りましてお礼申し上げます。
本年も、夏の企画、年末の秋季大会に向けて準備を進めておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

(事務局N)



事務局インタビュー「この人、どんな人?(2)今岡謙太郎」

2014-12-03 21:17:31 | 人物紹介
前回に引き続き、歌舞伎学会の運営に携わられている方々への突撃インタビュー企画をお送りします。
第2回のゲストは、前期(2012-2013)まで学会誌の編集委員長を担当されていた今岡謙太郎先生。
余談ですが先生は噺家の声色がとってもお上手で、事務局Sが大好きな彦六師匠のモノマネは絶品です
(笑)。それでは本題へ…。


今岡謙太郎(いまおかけんたろう)
昭和39(1964)年、神奈川県生まれ。早稲田大学第二文学部卒業、同大学院修士課程修了、博士課程満期退学。主な研究テーマは江戸時代末期から明治にかけての歌舞伎、舌耕芸など。歌舞伎学会には平成元(1988)年入会。著書に『天衣紛上野初花』(古井戸秀夫氏と共編著。白水社『歌舞伎オン・ステージ』11)、『日本古典芸能史』(武蔵野美術大学出版局)がある。

―まずは現職とご専門を教えてください。
武蔵野美術大学 造形学部教授です。専門は、近世から近代にかけての諸芸能…と、歌舞伎。かな?(笑)

―「諸芸能」というところが先生のご研究の特徴ですよね。
僕は「落語の研究をしよう」という気持ちから始まったので、そこから入って、落語、講談というように…寄席芸ですよね。それからその周辺の、諸芸能(笑)。

―歌舞伎を観ていくなかで関連のある落語…たとえば『真景累ヶ淵』のようなものを寄席に聴きに行くというパターンもあると思いますが、ご研究が話芸から入って舞台芸術に及ぶようになったのは?
えーとねえ、一つは、どう考えても歌舞伎っていうのが当時一番メジャーな芸能なわけなので、落語を中心とした寄席の研究をしようとすると、それとの影響関係も考えなければいけないというのがあります。
もちろん落語でも芝居噺はありますし、演目ということで言えば講談と歌舞伎はかなりかぶるものがあります。
ですから、落語のことをわかるためには歌舞伎のことをわからなきゃいけないだろうし、義太夫節だってそうだろうし…というような感じから入りました。もちろん、お芝居を観に行くこと自体は好きでしたけどね。


―最初に観た歌舞伎のことって、覚えてらっしゃいますか?
それまでも観てたはずなんだけど、印象に残っていたのは、今の仁左衛門さんがまだ孝夫だった頃の歌舞伎鑑賞教室ですね。(※1)
その頃の鑑賞教室は地方にも回ってくれたんですよ。僕、横浜市の出身なんですけども…。

―横浜は地方じゃないですよ!(笑) (事務局Sは東北出身です)
それで、「出開帳」じゃないけども(笑)、横浜の青少年ホールみたいなところで『女殺油地獄』を観ました。

―相手役はどなただったんですか?
それが覚えてないんだよね~。いま「あ~」と思って…(笑)。
その舞台は印象が強かったですね。


―身近に歌舞伎をご覧になる方はいらっしゃいましたか?
もともと家族が普通に芝居が好きで、たまに観に行ってました。
下の妹と弟がちっちゃかったから、全員で行くというわけにはいかなかったけど。横浜在住だったので、遠いんですよ、東京は。子供にとってみればね(笑)。


―舞台はおいくつぐらいから観られてたんですか?
小学校高学年か、中学校くらいでしょうね。
むしろ僕は高校生ぐらいまでの頃は、新劇系のほうが馴染みがありました。
というのは、地方都市にはよく「演劇鑑賞協会」みたいなのがあって、ふた月か三月に二遍くらいは定期的に公演に来てくれるので、そういう団体に入って観に行くという…。
そこはわりと新劇系の舞台が多かったんです。いまでもそうでしょうけど、新劇系はそうやってずーっと回りますよね。


―文学座や俳優座なんかもわりと地方の劇場を回ってくれますね。ところで、これまでの『歌舞伎 研究と批評』のなかで印象に残っているものは?
ずいぶん僕は書かせていただいているので、いろいろあるんですけど…やっぱり最初に書いたものでしょうね。
黙阿弥の特集(第10号)のとき、『鼠小僧』で論文を書きました。少なくとも、歌舞伎に関する僕の文章で、最初に活字になったものが、歌舞伎学会で書かせていただいたものだったと思います。


―もう研究者にはなられてましたか?
修士課程は出てましたね。
読者としては、むかし「歌舞伎フォーラム」というのがあって、それを特集の一つに組み込んだのが第30号の「歌舞伎と諸芸」なんですけど、これはすごく印象深いですね。
『切られ与三郎』の一部で、芝居では普段出ないところを演ってもらったり、いわば講談の『勧進帳』のような『安宅の関』を演ってもらったりして、その後にシンポジウムというものでしたが、僕自身が前から観てみたかったものを実現してもらえた企画だったので…。


―最後に、会員の方や「歌舞伎学会に入会してみようかな?」と思ってらっしゃる方へひと言お願いします。
歌舞伎はとても広がりのある芸術で、僕の専門の落語や講談などはもちろん、新派や新劇などの近代劇、近代美術など、さまざまなジャンルと密接に関わってきました。なので、名前は「歌舞伎」学会ですが、歌舞伎にとどまらず関連する他のものも扱っています。
そうしたことに少しでもご興味があれば、ぜひご参加いただきたいと思っています。
また運営する側としては、会員の方がとっつきにくくしてはいけないので、間口をちゃんと広げつつ、レベルを落とさないことがやっぱり大事だと思っています。「歌舞伎学会ならでは」というのを考えていかなければならないけど、それと同時に、近接した文学系の研究だとか、同じ舞台芸術でも他のジャンルのものに関しても、ちゃんと高いレベルを保つことが大事なんだろうと。
仮に全部は理解できないとしても、レベルが高いものが出ていれば「わからないけど、すごく面白い」みたいなことってあるんですよ。僕も実際そうでしたからね。たとえば僕が大学院生の頃、指導教授は内山美樹子先生でしたが、非常にレベルの高いことを授業でなさってたと思います、今になってみると。
だから僕は大学院に入ってもサッパリ授業がわからなかった(笑)。「えぇ~大変なところに来ちゃった!」と思って、でも「すごいものなんだな」ということはわかりました。
一生懸命やっている人が、自分の研究に対する思いなり姿勢なりをバンと目の前に出して、ぶつけてきてくれている。それが当時は面白かったですね。内容がわからなくても興味をそそられたし、鼓舞されました。


―たしかに、会員の方でも「自分には難しすぎて…」というご意見は多いです。
もしわからないとしても、わからないなりに、何か「とっかかり」を見つけていただけたらと思いますね。
レベルが高いものを出し続けていれば、興味のない方にもいつか通用するはずだと思いながら、運営していますので…。
歌舞伎の舞台を観たって、僕だってせりふが全部わかるわけじゃない(笑)。でも「面白い!」ってはなるじゃないですか。難しい問題ではありますが、我々も一生懸命考えていかなければいけないし、そういうところを目指していかなければいけないんじゃないかと思います。
一回だめであっても、心の隅にちょっと留めておいてくだされば、ピタッと波長が合う日が来るかもしれないので(笑)、よろしくお願いいたします。


<取材・文=事務局>


【MEMO】
※1 昭和55年7月。『女殺油地獄』与兵衛(片岡孝夫=十五代目片岡仁左衛門)お吉(六代目澤村田之助)徳兵衛(七代目坂東簔助=九代目坂東三津五郎)おさわ(五代目上村吉弥)父太兵衛(初代市川銀之助=九代目市川團蔵)妹おかち(初代中村亀鶴)ほか。


2014年歌舞伎学会秋季大会のお知らせ

2014-11-19 12:38:34 | お知らせ
 本年度秋季大会は、東京女子大学にて、12月13日(土)14日(日)の二日間にわたり開催されます。
 初日は研究発表と第38回総会、二日目は研究発表と大会企画を行います。

 二日目の大会企画では、開催地に近い吉祥寺に因み、吉祥寺を本拠地とする「前進座歌舞伎」をクローズアップします。講演「前進座歌舞伎と歴史劇」では、前進座の立役・嵐圭史丈によるトークと朗読、「戦後歌舞伎と前進座」と題したシンポジウムでは、前進座の制作に関わられた小池章太郎氏、学会から原道生氏、渡辺保氏にご登壇いただき、それぞれの視点から戦後歌舞伎を語っていただく予定です。

 どうぞ、奮ってご参加下さい。

◆プログラム
【第1日目】12月13日(土)東京女子大学 23101教室(23号館1階)
◇開会 会長挨拶(13:00~)
◇研究発表    (13:10~)
「九代目市川団十郎 家康像の変遷―『松栄千代田神徳』を中心に― 」明治大学(兼)村島彩加
「西南戦争と歌舞伎―『西南雲晴朝東風』にみる近代戦争の劇化の手法―」日本学術振興会特別研究員 埋忠美沙
「西尾市岩瀬文庫蔵江戸芝居番付集をめぐって」亜細亜大学 佐藤知乃            
「歌舞伎ファンダム研究の可能性」桜美林大学 岡田万里子           

◇第38回総会(16:20~)
◇懇親会(18:00~19:30)

【第2日目】12月14日(日) 東京女子大学 23101教室(23号館1階)
◇研究発表(10:30~)
「〈新派復興〉を考える―瀬戸英一『二筋道』と新派の昭和初年代」学習院大学(院)赤井紀美
「『石橋物』の変遷」群馬県立女子大学(非)阿部さとみ
「鳥熊芝居以後の春木座について」白百合女子大学 日置貴之

◇大会企画「戦後歌舞伎と前進座」(14:00~)
講演 嵐圭史
〔1〕トーク「前進座歌舞伎と歴史劇」
〔2〕朗読 木下順二作「平家物語による群読『知盛』より」

シンポジウム「戦後歌舞伎と前進座」  
小池章太郎 原道生 渡辺保 〈司会〉犬丸治




参加費 会員1,000円 非会員 1,500円(両日・単日とも)

*会員の方は、会報に同封しました出欠ハガキ、及び大会参加費振込用紙にて事前にお手続き下さい。
*非会員の方は申込み不要で、当日受付までお越し下さいませ。

東京女子大学へのアクセスはこちら↓


キャンパスマップはこちら↓




会員の皆様へ、秋季大会懇親会費訂正のお知らせ

2014-11-19 10:40:03 | お詫び
会員の皆様にお届けしました会報56号において、秋季大会懇親会費の金額に誤りがありました。

【誤】懇親会費6,000円→ 【正】懇親会費6,500円

懇親会に参加される方は、同封しております参加費振込用紙に印字された金額通り〔6,500円〕をお振り込み下さいますよう、お願い申し上げます。

事務局インタビュー「この人、どんな人?(1)神山 彰」

2014-09-16 09:33:45 | 人物紹介
 歌舞伎学会では、さまざまな方が会の運営や学会誌『歌舞伎 研究と批評』の執筆・制作に携わられています。「夏の講演企画や秋季大会で姿は見かけるけど、この人はどういう人なんだろう?」という皆様のかねてからの(と勝手に決めつけておりますが)疑問にお答えすべく! ブログ限定企画【不定期更新】として、そうした方々へ突撃インタビューを掲載することになりました。記念すべき第1回のゲストは、現会長であり学会誌の編集委員長でもある、“兼ネル”会長・神山彰先生です。


神山 彰(かみやま あきら)
昭和25(1950)年、東京生まれ。国立劇場芸能部制作室で歌舞伎・新派の制作を18年間担当したのち、明治大学文学部教授。歌舞伎学会には平成2(1989)年入会。著書に『近代演劇の来歴』『近代演劇の水脈』(森話社)。共編著に『河竹黙阿弥集』(岩波書店)、『映画のなかの古典芸能』『忘れられた演劇』(森話社)など。

―まずは現職とご専門を教えてください。
明治大学教授で、専門は近代日本演劇です。

―そのご専門を選ばれた理由は?
僕はもともと商業演劇が好きだったのですが、新劇中心の演劇じゃなくって、それ以上に多くの人の記憶に残った新派や新国劇、あるいは特に明治期の歌舞伎、新歌舞伎が好きなので、「じゃあそこに絞って探ってみよう」ということですね。

―大学で教鞭をとられる以前はずっと国立劇場でお仕事をされてましたが、入られたのは新卒ですか?
いえ、大学院を出てしばらくしているうちにそういうお話があって、28歳の時かな? それから46歳頃まで在籍していました。

―その間、印象に残っている作品は?
いっぱいありますけれど、一番好きなのは『島鵆(月白浪)』ですね(※1)。制作で実際に担当していますが、担当していなかったとしても好きです。

―なぜ『島鵆』が?
『島鵆』は、小学校6年の時に寿海の島蔵と初代猿翁の松島千太で観てますが、その時の印象がものすごい強くってね(※2)。それと先程のように、明治時代の風俗――精神風俗も含めて非常に関心があるので、散切物が好きだということです。

―歌舞伎を観始めてしばらくすると、だんだん自分の傾向が分かってきますが、「散切物が好き」と思い始めたのはいつ頃ですか?
高校ぐらいじゃないですかねぇ。昭和42年に、十七代目勘三郎と十七代目羽左衛門で『島鵆』を二度目に観たんですが、その頃かなぁ?(※3) 
『お祭佐七』とか『侠客春雨傘』とか、『地震加藤』『酒井の太鼓』なんかもその頃はまだやってましたけれど、そういったものが好きで、考えてみたら、だいたい明治以降にできたものでしたね。
「古典歌舞伎」とは言っても実際には近代に入ってからできた演出をそう呼んでいるんだ、ということを考えたいと思ったのも、研究の一つの動機のような……まぁ、全部あとになって考えたことですけれど(笑)。高校の時はそこまで考えてませんが、「自分の好きなのは明治期のものだ」というのは、確かに意識はしてましたね。


―初めてご覧になった歌舞伎を覚えてらっしゃいますか?
祖母や、両親の仕事の関係で子供の頃から歌舞伎を観てはいましたけれど、意識的に覚えてるのは、昭和38年1月の新橋演舞場で、寿海の『石切梶原』とかをやっていた時です(※4)

―これまで刊行された『歌舞伎 研究と批評』のなかで、印象に残っているものは?
そうですねぇ…これは僕の性格的なものでしょうけど、やっぱり、第28号の「六代目中村歌右衛門追悼」ですね。あれは、他の方のもよく読みました。

―最後に、会員の方や「歌舞伎学会に入会してみようかな?」と思ってらっしゃる方へひと言お願いします。
歌舞伎は、「昔はよかった」と思わなければ観てられないものだと僕は思っておりますから(笑)、自分の観ているものが、過去の思い出と重なる時が、僕は一番幸せですね。そうじゃない舞台というのは、どうしても興味がもてない。
そうすると、若い方はどうすればいいのかっていうことになりますけれど、僕は、小学校や中学校の頃から、舞台そのものじゃなくても、なにか昔の記憶との関わりのなかで歌舞伎を観ていたように思うんです。好きな役者は寿海とか十一代目團十郎とか我童でしたけれど、思えば、最初に歌舞伎を観た時から「懐かしい」って感じだった。
ですから、たとえば若い方には、自分の直接の経験ではないけれど、『歌舞伎 研究と批評』を通じて昔の舞台に触れていただいて、今の観劇に役立てていただけたら。歌舞伎は「どうして懐かしさがくるのか」っていうのが、一つのテーマと言うと大げさですが、僕にとっては考えるモチーフだと思っています。


<取材・文=事務局>

※1 1983(昭和58)年3月。通し狂言。お照(七代目尾上梅幸)島蔵(七代目尾上菊五郎)松島千太(十代目市川海老蔵=十二代目市川團十郎)望月輝(十七代目市村羽左衛門)島蔵父磯右衛門(三代目河原崎権十郎)野州徳(七代目坂東簑助=九代目坂東三津五郎)妹お浜(二代目市村萬次郎)お仲(五代目坂東八十助=十代目坂東三津五郎)ほか

※2 1963(昭和38)年3月 歌舞伎座。三代目實川延若の襲名披露興行。寿海と初代猿翁のほかの配役は、弁天お照(七代目大谷友右衛門=四代目中村雀右衛門)福島屋娘お仲(七代目中村福助=七代目中村芝翫)島蔵の妹お浜(五代目澤村訥升=九代目澤村宗十郎)島蔵の父磯右衛門(八代目市川團蔵)明石屋店の者徳蔵実は野州徳(五代目片岡市蔵)ほか

※3 1967年10月 歌舞伎座。十五代目羽左衛門の二十三回忌追善、家橘の襲名披露興行。島蔵(十七代目羽左衛門)千太(十七代目中村勘三郎)徳蔵(二代目尾上九朗右衛門)お照(七代目梅幸)磯右衛門(四代目尾上菊次郎)お仲(十七代目市村家橘)お浜(五代目中村もしほ)ほか

※4 ちなみに『石切梶原』以外の演目は、同じく寿海の『少将滋幹の母』、二代目尾上松緑の『五斗三番叟』、七代目尾上梅幸の『娘道成寺』、松緑・十七代目市村羽左衛門・梅幸の『勧進帳』、三代目市川左團次・梅幸の『明烏』。

『歌舞伎―研究と批評―』52号が刊行されました

2014-09-08 12:04:19 | 書籍紹介
この度、『歌舞伎―研究と批評―』52号が刊行されました。

特集は「三代目歌右衛門と三代目三津五郎」、ともに、文化文政期の歌舞伎界に大きく貢献した役者です。
中村歌右衛門の名は、現代では東京の女形の名として有名ですが、初代は上方の実悪役者で、その実子の三代目があらゆる役柄を兼ねる役者として大成し、数度の江戸下りでも成功を納めたことで後世に残る大名跡となりました。一方の坂東三津五郎は江戸っ子に絶大な人気を誇った立役で、三代目は特に所作事(舞踊)に優れ、踊りの中で沢山の役を変わって見せる変化舞踊を得意としており、江戸下りの歌右衛門と所作事の腕を競い合い、歌舞伎界を大いに盛り上げました。
この二人の名優がどのように受け入れられ、どのように競いあったか、そしてどのようにして後継者を育てようとしていたのかを、諸氏の研究の成果から詳細に知ることができます。

研究は二点、季評は平成25年上半期です。依然として刊行の遅れが続いておりますが、漸く新開場の歌舞伎座の公演まで辿り着くことができました。


8月の事務局開局日

2014-08-04 10:13:10 | お知らせ
8月は、演劇博物館の休館日に前後しまして、事務局業務に夏休みをいただいております。

電話による問い合わせは、本日8月4日(月)13時~17時と、8月25日(月)13時~17時の二日のみになりますので、ご注意下さい。

メールによる問い合わせは、随時受け付けておりますが、振り込み確認や発送作業などは上記の時間にしか対応することができませんので、ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

メール
kabukiga2014@yahoo.co.jp


早稲田大学演劇博物館浮世絵コレクションNo.101-3893~3894

2014年7月歌舞伎学会夏季企画のお知らせ

2014-06-18 13:41:34 | お知らせ
歌舞伎学会では、7月26日(土)に、「生きた演劇史の証言」と題した企画講演会を開催します。

今回は、創設百周年の話題で注目を集めている宝塚歌劇と、歌舞伎との関わりに着目し、宝塚歌劇団演出家の酒井澄夫(さかい・すみお)氏にお話を伺います。

酒井氏は、早稲田大学文学部演劇科を卒業後、昭和34年(1959)に宝塚歌劇団へ入団。宝塚義太夫歌舞伎研究会の制作に関わり、その後は宝塚歌劇団において数々のショー、芝居、ミュージカル、ディナーショーの作・演出で活躍されています。代表作は歌舞伎を題材とした『花の宝塚風土記』や川上音二郎を主人公とした『夜明けの序曲』(芸術祭大賞受賞)、中国物やレビューなど幅広い分野にわたります。

現在、歌舞伎と宝塚歌劇が創設より交流を持ち、義太夫歌舞伎を連続的に上演していた歴史があったことを御存知の方も数少なくなってきたものと思われます。百周年を記念した「宝塚歌劇の殿堂・百人」に殿堂入りされた酒井氏に、宝塚義太夫歌舞伎研究会の時代やその後の日本物の展開などについてお話を伺おうと思います。どうぞご期待ください。


歌舞伎学会夏季企画
「演劇史の証言 酒井澄夫氏に聞く」
日時: 2014年7月26日(土) 14:00~16:00
講演: 「宝塚義太夫歌舞伎研究会」酒井澄夫(宝塚歌劇団・演出家)
座談: 「酒井澄夫氏に聞く」聞き手・吉田弥生(文京学院大学准教授)
会場: 文京学院大学 本郷キャンパス新S館5階CONSONA(コンソナ)ホール
資料代: 歌舞伎学会員 1,000円 非会員 1,500円 学生 500円

会場(文京学院大学 本郷キャンパス)案内
    東京メトロ南北線「東大前」2番出口が正門と隣接しています。



問い合わせ kabukiga2014@yahoo.co.jp

最新号『歌舞伎―研究と批評―』50号・51号

2014-04-05 11:20:17 | 書籍紹介
このところ、刊行が遅延続きになっておりました学会誌『歌舞伎―研究と批評―』ですが、昨年中に第50号、本年3月に第51号が刊行されました。定期的に会費を収めて下さっている会員の皆様には、大変ご迷惑をおかけしておりますが、第52号も鋭意編集中ですので今しばらくお待ちくださいませ。

さて、最新51号より紹介させていただきますが、刊行の遅れにより、演劇季評の取り上げる期間は平成24年下半期となっております。特集は、平成24年12月に武蔵野美術大学にて開催された秋季大会を反映した「歌舞伎と近代美術」、生誕百年を迎えた武智鉄二氏をめぐる座談会が組まれています。研究では、巷を賑わせた大阪市の文楽補助金問題を、数多くの資料を整理しながら卒業論文としてまとめられた成果が目を引きます。また、平成25年に相次いで亡くなられた歌舞伎研究家、批評家、演劇人の方々の追悼文も貴重な一冊です。



第50号は特集「四世鶴屋南北」、南北の代表作「東海道四谷怪談」に潜む曾我狂言の世界や、歌舞伎の名作「先代萩」に影響を与えていた南北作品、草双紙(合巻)作者としての南北や、『鶴屋南北全集』(三一書房)に採録されていない作品の紹介など多岐にわたった内容です。小特集「歌舞伎学会25年」では、歌舞伎学会の歩みを振り返ります。



演劇季評は平成24年上半期(内山美樹子氏の文楽評も上半期です。目次に誤植があり申し訳ありません)。

なお、歌舞伎学会では問い合わせメールアドレスを変更いたしました。4月からの問い合わせは下記のアドレスにお願いいたします。
〈新アドレス kabukiga2014@yahoo.co.jp〉

12月7日(土)8日(日)秋季大会を開催いたします

2013-11-11 10:23:43 | お知らせ
2013年の秋季大会は12月7日(土)、8日(日)の二日間、東京文化財研究所にて開催されます。



参加費は会員1,000円、非会員1,500円。