Nikon F2 Photomic S
以前、F4のジャンク品を見つけた所でNikon F2 フォトミックを発見。
しかもブラック。
何百円なので動作確認もせず、逃げるように持ち帰りました。ダッシュ!≡≡≡ヘ(*--)ノ
「フォトミック。」
Nikon Fの時代から、デザイン的に統一の取れた、エレガントな尖り頭を備えた佇まいのアイレベルと比べられ、
「違法建て増し住宅のようだ」と揶揄された、悲しきフォトミックファインダー。
Fはアイレベルが基本形でしたが、F2はフォトミックが基本形となりました。
Fの時代もそうでしたが当時は「カメラの露出計なぞアテにならん。」「自分の経験と勘で撮る、アイレベルこそが正当。」
と言うのがプロユーザーの言い分だったらしく、フォトミックはあまり歓迎されていなかったようです。
僕自身も、取って付けたような頭でっかちのファインダーを備えたフォトミック系は
デザイン的に好きになれず所有する事は無いと思っていました。
それに、フォトミックって種類が多くてよく分からなかったですし・・・
Fの時代のフォトミックは
・ニコン F フォトミック
・ニコン F フォトミックT
・ニコン F フォトミックTn
・ニコン F フォトミックFTn
とあり、
F2のフォトミックは
・ニコン F2 フォトミック (1971年)
・ニコン F2 フォトミックS (1973年)
・ニコン F2 フォトミックSB (1976年)
・ニコン F2 フォトミックA (1977年)
・ニコン F2 フォトミックAS (1977年)
だそうですが・・・
もう訳が分かりません(汗)
とりあえず、今回のF2はフォトミックSだという事は判りました。
ファインダーを覗くと、赤いLEDが頼り無さげに点灯している。
フォトミックファインダーは露出計が壊れてしまっているのが多いのですが精度はともかく点灯しているので
試しにレンズを付けてみました。
何となく「フォトミック=ガチャガチャ」と言うイメージがあったので、50mm f1.4を取り付けて
絞りリングを最小絞りから開放へと往復させる。
ファインダー内にレンズの絞りが表示され、ファインダー外側の小さな窓にも開放f値を示す「1.4」の文字が現れた。
「これがガチャガチャと言うものか・・」
不思議な事に、ついレンズを何回も付けたり外したりしてガチャガチャをやってしまう・・
これはガチャガチャの魔力なのか・・・
とうとう私もニコンの「ガチャガチャの儀式」の洗礼を受けたのだ(笑) ※対してキヤノンFDレンズには「クルクル」と言う儀式があるらしい(汗)
現在所有しているMFニッコールは全て、いわゆる「カニ爪」が付いているのですが今回のフォトミック入手で
はじめて機能的な意味を成した瞬間でもありました。
すっかり気をよくして、早速自分で出来る範囲の清掃をしました。
こうして上から眺めてみると、黒いボディに、(やや不気味に)赤いLEDが点灯している姿は機械ロボット的で、
ダースベイダーのような雰囲気を感じます(笑)
保管状態は良くなかったようですが、清掃して全体的に見てみると激しくぶつけた痕や大きなキズなども無く
比較的綺麗なものでした。
ファインダーを覗くとモルトの粉みたいなのがあちこちに見えたのでフォーカシングスクリーンを清掃しました。
だいぶ見えは良くなりましたが、ファインダーの中にも混入している模様。
プリズムの端に汚れがあり、ファインダーを覗いた時にシミみたく見えて気になりますが端っこの方なので我慢出来ます。
マットスクリーンだとファインダー関連の汚れは気になって仕方ありませんがスプリットスクリーンが付いていたので
そんなに苦になりません。
モルトがやや痛んでいましたがパサパサでは無いので良しとします。
露出計はおおむね合っているようですが、このフォトミックSのファインダーはF3と同様、+-しか表示されないので適正露出から
何段ズレているのか即座には分かり辛いのですが、F3で慣れているのでどうでもいいです。
フィルムを入れ1本試写してみましたが、露光漏れも無く、シャッタースピードも大体出ていました。
1/4秒以下のスローシャッターはスローガバナーの不調でシャッターが下りた後にもギヤが「シャー」と空回りして
いますが、このカメラでスローシャッターを使う事も無いので良しとします。
それにしても相変わらずF2のシャッター音は「バチン!」と甲高くけたたましい。
人物スナップにも猫撮りにも向いていない(笑)
2013.7.01追記
このフォトミックSのシャッター音をよく聞いてみると「バシン!」とシャッターが切れた後に「キィイ・・ン」
と残響音が残る。
去年、猪苗代カメラ工房さんにオーバーホールして頂いたF2アイレベルブラックには残響音が殆ど無い。
メンテされた個体と何百円のジャンクとを比べるのは酷ですが。。。
何百円で救出して来たこのF2 フォトミックS。
所有しているF2アイレベルの裏蓋交換用に買ったのですがこの不細工な姿もだんだん見慣れてきました。
普段アイレベルばかり使っているので、煙突のように高いシャッターダイヤルが回しづらいのですが
露出計の視認性やISO感度の設定などは、F3の操作性よりは好感が持てます。
フォトミック系は毛嫌いしていたのですが使ってみると案外いい。
「違法建て増し住宅」と揶揄されたフォトミックも、「住めば都。」なのかもしれません。
今回の物件は細かい所が汚く、騒音が漏れるが造りは立派な鉄骨住宅。
何より家賃がタダ同然だったのですから、非常にいい物件でした(笑)