会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

持続化給付金関連で政府が「安保発動」か 入札価格が黒塗りの訳(Yahooより)

持続化給付金関連で政府が「安保発動」か 入札価格が黒塗りの訳

持続化給付金の業務委託契約をデロイトトーマツが取れなかったのは、安全保障上のリスクを排除するためだったという記事。荒唐無稽な話のように感じられますが、日産ゴーン事件の本を出している、結構有名な記者が書いているので、それなりの根拠はあるのでしょう。

持続化給付金事業の入札では、会社のランクでも、国の仕事の実績でも、あやしい一般社団法人よりデロイトトーマツの方が上であり、入札価格もデロイトの方が低かったそうです。

「「不透明性」を際立たせているのが、協議会と一緒に応札したコンサルティング会社「デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリー合同会社」の入札価格などの重要情報を黒塗りにして隠している点だ。筆者の取材では、「デロイト側の入札価格の方が協議会よりも安かった」(関係者)という。

しかも、公共事業での入札における会社のランクを示す等級は、デロイトのAランクに対して、協議会はCランク。このランク付けは、入札企業の業績や規模などによって決められ、国がいったん任せた事業の途中に経営危機に陥って投げ出すことなどがないように、信用力を軸に評価して決められているという。

デロイトトーマツファイナンシャルアドバイザリーは、東日本大震災での東京電力・原子力発電所の事故による損害賠償請求に関して、「経済的損失の分析に係るモデル構築に関する基礎調査」や、実際の損害賠償の支払い業務を受託している。協議会に比べて政府関係の仕事では大きな実績を持っている。」

デロイトファイナンシャルサービスアドバイザリーは、デロイトトーマツ合同会社のグループ会社で、デロイトトーマツ合同会社は2018年9月1日付で設立された地域統括会社「デロイトアジアパシフィック(デロイトAP)」の傘下にあるとのことです。

「日本のデロイトトーマツ合同会社は、米国本社にロイヤリティーを支払い、そのブランドを使ってきたが、デロイトAPに支払うことに変更になったという。これに伴い、アジア全体での人事権や戦略決定権はデロイトAPが保有するようになった。実はここに大きな問題が潜んでいた。」

このデロイトAPの幹部である中国人女性が中国共産党との結びつきが強い人物なのだそうです(「彼女自身も中国共産党内でそれなりの地位にある」)。

そのことがメディアで取り上げられ、日本政府内で問題になっていたそうです。

「国内ではデロイトのグループ会社が、東京五輪のサイバーテロ対策を受注していたほか、防衛省の次期主力戦闘機の開発にも関わっていた。自民党の会計監査もグループの監査法人が担当していた。国家の秘密に関する仕事にデロイト側が多く関与していたため、デロイトAP設立に関連しては国会でも質問が取り上げられ、月刊誌やネットメディアも国家機密の守秘に問題はないかと報じ始めた。

デロイトAPに関して調査した日本政府は19年4月頃、全省庁の事務次官を集めた会議で月刊誌の記事のコピーを配布し、政府首脳自らが、注意喚起を促したという。政府はデロイトの動きにナーバスになっていたとみられる。」

「今回の「持続化給付金事業」の受託者には、経営が弱った中小企業の情報が集まる。コロナ危機から早急に回復した中国の企業や投資ファンドが、日本の弱った企業へ買収攻勢をかけてくるのではないかといった見方が産業界にはある。日本政府が弱った企業への資本注入を検討している理由の一つが買収防衛でもある。「中国との関係が取りざたされる企業に、日本の中小企業の情報が筒抜けになるのは避けるべき」と、ある政府関係者は指摘する。

そう考えると、実績やランク付けが高く、入札価格も安かったデロイト側が、安全保障上の理由で入札から排除されたということに一定の説得性はある。しかし、これを表立って説明すれば中国との関係で角が立つため、デロイト側の数字を黒塗りにしたのだろう。」

デロイトが給付金の電子申請を提案しなかったことについては...

「前述したようにデロイトトーマツファイナンシャルサービスは、原発事故の損害賠償金の支払い業務を受託しており、そこでは電子媒体を使ったシステムを導入しているという。賠償金の支払いも同様にスピードが求められるからだろう。「今回の支払い業務は、そのシステムを転用すれば簡単にできた。なぜ、情勢を考慮して電子媒体での提案をデロイト側がしなかったのかが不思議だ」(デロイトグループ関係者)といった指摘もある。」

たしかに、ビッグ4事務所のグローバル組織というのはブラックボックスです。建前としては、各国の事務所は、出資による支配従属関係にはなく、それぞれ平等で独立した存在ということになっていますが、実際は、米国のような有力事務所がリードしているのでしょう。中央青山がPwCに見捨てられ、解散を選ばざるを得なくなったように、日本の監査法人・コンサル会社も、所属しているネットワークの影響を受けています。逆に、日本の監査法人などがグローバルネットワークに影響を与えているという話はあまりありません。

また、各国バラバラでは効率が悪いということで、北米・中南米地域、欧州・アフリカ・中近東地域、アジア・パシフィック地域といった地域分けがなされており、近年は地域ごとの統括機能を強化する方向なのでしょう。アジア・パシフィック地域では、監査やコンサルの市場規模や成長性を考えると、中国が中心にならざるを得ないということになりますが、政治体制がまったく異なる国の事務所の影響下に入るというのは、リスクがありそうです。

(急にこの話が蒸し返されたというのは、デロイトが契約を取れなかったのは当然だ(あやしい一般社団法人が受託しても問題ない)という、経産省や電通側の情報操作でしょうか。)

名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「公認会計士・監査法人」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事