各国のマネーロンダリング対策状況を審査する金融活動作業部会(FATF)が来日したという記事。
「10月28日、日本の金融業界は自らの沽券に関わる対面審査の場に挑むことになる。
G7(先進7カ国)を含む36以上の国や地域が加盟し、各国のマネーロンダリング(資金洗浄)対策状況を審査する国際組織である金融活動作業部会(FATF)の審査団がついに日本に上陸した。今後、3週間にわたって、厳しい追及が続くことになる。
FATFが調べるのは、マネロンやテロ資金の流入を防ぐための法の整備がどこまで進んでいるか、また各金融機関などが怪しい取引の水際対策をどこまで進めているか――などだ。」
「審査に向けて、例えば銀行業界では口座開設の本人確認を厳しくしたり、口座を持たない一見客の海外送金の受け付けをやめたりなどの対策を打ってきた。業界内で先頭を切ってマネロン対策を進めてきたメガバンクなどが地方銀行向けの勉強会を開催し、知見が不足している中小地銀の底上げを図ってもきた。
他にも「マネロンのリスクの高さからFATFに最も注視されている業態の一つ」(マネロン対策に詳しい渡邉雅之弁護士)が暗号資産の交換業者。銀行送金と違い、送付先の顧客属性が分かりにくいことに加え、暗号資産は種類によってリスクが異なる。」
そのほかにも2つの項目が不安視されているそうです。
「一つ目が、国家元首や政治家などの重要な公的地位を有する要人を指す「PEPs」と呼ばれる人物たちへの対応だ。
FATFの第3次審査を受け、日本では改正犯罪収益移転防止法(犯収法)が施行された。その中で、外国人PEPsの金融取引を厳しく確認するよう求められたが、国内のPEPsに対しての規制は放置されたままだ。
汚職などの政治的腐敗行為を防止するという観点から、FATFは国内外問わずPEPsについての監視強化を求めてきた。いまだ法整備が進んでいない日本国内のPEPsについて、FATFは個々の金融機関に何かしらの手当てをしているかどうかを問う可能性が高い。政府の不手際の責任を民間が負わせられているかたちとなっている。
もう一つの論点は、企業の実質的支配者をどう補捉しているかだ。この実質的支配者とは企業の事業経営を実質的に支配する存在で、株主として全体の25%の議決権を持つ者などが該当する。前述の犯収法の改正に伴い、金融機関は取引先の実質的支配者を確認することが義務付けられた。」
日本への調査とは直接の関係はありませんが...
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ステーブルコイン等におけるマネー・ローンダリングのリスクに関するFATF声明の公表について(金融庁)
Emerging assets such as so-called global “stablecoins”, and their proposed global networks and platforms, could potentially cause a shift in the virtual asset ecosystem and have implications for the money laundering and terrorist financing risks. There are two concerns: mass-market adoption of virtual assets and person-to-person transfers, without the need for a regulated intermediary. Together these changes could have serious consequences for our ability to detect and prevent money laundering and terrorist financing.
デジタル版米ドル?ステーブルコインとは(MUFG)
資金洗浄対策は十分か 国際機関が日本の金融機関を本格調査(NHK)
「調査では金融機関が送金した顧客の本人確認をどのような方法で行っているかや、注意が必要な顧客の情報を組織内で共有しているかを調べます。
また金融庁などに対しては監督方法に問題がないかといった点など、およそ50項目について国際機関の担当者が直接、聞き取りします。
またサイバー犯罪が後を絶たない中、今回からは暗号資産の交換業者も初めて調査し、銀行と同じ水準のマネーロンダリング対策が取られているかどうかチェックする方針です。」
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