会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

監査法人ウィングパートナーズに対する検査結果に基づく勧告について

監査法人ウィングパートナーズに対する検査結果に基づく勧告について(PDFファイル)

金融庁の公認会計士・監査審査会は、監査法人ウィングパートナーズを検査した結果、監査法人の運営が著しく不当なものと認められたとして、金融庁長官に対して、当該監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告しました(2月17日付)。

「日本公認会計士協会の品質管理レビューの指摘事項について、法人として組織的に改善を図るという最高責任者等の意識が欠如していること」、「リスク・アプローチに基づいた監査計画を策定せず、売上、会計上の見積り及び継続企業の前提に関する監査などが著しく不十分であり、経営者確認書を入手していないほか、審査も受審せずに監査意見を表明している」ことなどが指摘されています。

(補足)

日本公認会計士協会による「会員に対する懲戒処分について」に関するお知らせ(同監査法人のサイトより)

代表社員2名に対する昨年12月の会計士協会の処分に関するプレスリリースです。

「今回の処分決定は金融庁長官への懲戒処分の請求がなされるものとなっておりますので、両名に対して一定期間の業務停止等の処分が課される可能性がありますが、上記の処分は個人会計士としての両名についてなされるものであり、監査法人としての業務遂行に支障をきたすものではありません」といっていましたが、今回の勧告により、法人についても何らかの処分が行われる可能性が出てきました。

(補足2)

金融庁、公認会計士・監査審査会よりの検査結果通知書の受領について

勧告後のプレスリリースをみると、以下のようなコメントがあり、攻撃的な態度はたいぶ弱まっているようです。

「当法人は当該処分勧告を厳正に受け止め、監査事務所の品質管理体制を抜本的に改善するため以下の施策を実施し監査事務所としての品質管理責任を果たしてまいります。」

週刊ダイヤモンドに掲載された記事について

この監査法人は週刊誌にもかみついていました。ただし、

「監査法人が、市場から退出するべき企業か否かを判断し、引導をわたすべきとの主張は誤りでありダイヤモンドの記者は監査に関する基本的制度を理解していない。市場から退出するべき企業は否かを判断するのは取引所であり、取引所が一定のルールに基づき判断すべきことである。監査法人は決められた会計基準、開示基準の適否を判断するのが仕事である。」

というのは正論だと思います。(細かいことをいうと「会計基準、開示基準の適否」ではなく「会計基準、開示基準に準拠しているかどうか」のはずです。よい会計基準か悪い会計基準かを監査報告書に書くわけではありません。)
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