PKSHA Technology(東証スタンダード)が、14億円の特別損失を計上したという記事。信託型ストックオプションの税務処理の関係です。
「パークシャはこれまで信託型ストックオプションの行使で得た株式を従業員らが市場で売却した際に売却益に対して20%の税金がかかると想定していた。国税庁は5月末、従業員らが権利を行使して株式を取得した時点で、会社が実質的に給与を支払ったとみなして課税するとの見解を示した。
給与課税になると地方税を含めて最大55%の税金がかかり、会社に源泉徴収義務が生じるためパークシャは源泉所得税を納付する。所得税は本来、従業員が負担するものだが、増加する税負担の全額を会社が原則負担し、従業員らに追加的な負担が生じないようにする。「これまでの役職員等とのコミュニケーションや信託型の導入経緯を踏まえ、(従業員らへの)求償権の一部を放棄する判断をした」とする。」
特損が響いて、第3四半期(22年10月〜23年6月)は、5億円の赤字とのことです。
会社のプレスリリース。
信託型ストックオプションへの対応と関連損失(特別損失)の計上に関するお知らせ(PDFファイル)
「2023 年 5 月 30 日に、国税庁が公表した「ストックオプションに対する課税(Q&A)」の中で、国税庁は、従業員等が信託型ストックオプション(以下、「信託 SO」)の権利を行使して株式を取得した時点で、会社からの実質的な給与とみなされるとの見解(以下、「国税庁の見解」)を公表し、過去に権利行使済みの信託 SO について、会社側に源泉所得税の支払いを求めました。」
「1.対応内容
今回の国税庁の見解を踏まえ、当社が導入している信託 SO に関して、外部専門家との協議や確認等を行い、権利行使済みの信託 SO に係る源泉所得税について納付することを決定いたしました。また、当初想定していなかった追加的な負担が役職員等に生じることから、これまでの役職員等とのコミュニケーションや信託 SO の導入経緯を踏まえ、当該追加的な負担が生じない範囲で、求償権の一部を放棄するという判断をいたしました。
2.今後の見通し
これら一連の意思決定の結果、当第3四半期において、特別損失に信託型ストックオプション関連損失1,466,544 千円を計上しております。」
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その2(税務処理とは直接の関係はありませんが、税制適格ストック・オプションに係る会計上の取扱いについてのASBJによる解説について)