金融審議会 市場制度ワーキング・グループ「顧客本位タスクフォース」中間報告の公表について
金融庁は、「金融審議会 市場制度ワーキング・グループ「顧客本位タスクフォース」中間報告」を、2022年12月9日に公表しました。
「当タスクフォースでは計5回にわたり、経済成長の成果の家計への還元を促進し、安定的な資産形成の実現に向けて、利用者の利便向上とその保護のための、顧客本位の業務運営、金融経済教育等について検討を行った。本報告書は、その検討結果をとりまとめたものである。」(「はじめに」より)
10ページ強の報告書です。
(概要より)
「顧客の最善の利益を図るべきであることを、金融事業者及び企業年金関係者なども含む資産形成を支える幅広い主体一般に共通する義務として定める」とあります。
金融事業者だけでなく「企業年金関係者」にも顧客本位が求められるようです。
本文を見てみると...
「家計から成長資金が企業に提供されることで、中長期的な企業価値の向上、ひいては経済の持続的成長を実現し、家計が経済成長の果実を享受することによって安定的な資産形成を実現することが重要である。そのためには、金融機関や企業年金等のアセットオーナー等、資産形成を支えるインベストメント・チェーン(投資の連鎖)に参加する全ての主体が、顧客・最終受益者の利益を最大化するため、十分に機能を発揮することが重要である。」(1ページ)
「個人の資産管理・運用等に重要な役割を果たしている企業年金についても、運用の専門家の活用不足や運用機関の選定プロセス、加入者への情報提供に課題があるとの指摘もされている。」(2ページ)
「...「原則」に定められている金融事業者は顧客に対して誠実・公正に業務を行い、顧客の最善の利益を図るべきであることを広く金融事業者一般に共通する義務として定めることなどにより、「原則」が対象とする金融事業者全体による、「原則」に沿った顧客・最終受益者の最善の利益を図る取組みを一歩踏み込んだものとすることを促すべきである。また、金融事業者のほか、企業年金制度等の運営に携わる者等もこのような規定の対象に加えることにより、広くインベストメント・チェーンに関わる者を対象として、顧客・最終受益者の最善の利益を考えた業務運営に向けた取組みの一層の横断化を図るべきである。」(2~3ページ)
「 年金加入者の意思決定に資するよう、例えば、確定給付企業年金の予定利率や運用実績、確定拠出年金(DC)の商品ラインアップや手数料、運用実績の開示について、より分かりやすい形での適時の情報提供等が望まれるとの意見があった。」(脚注4)
「企業の多くは、退職金制度の一環として設けている企業年金の運用について、信託銀行など金融機関に委託しています。金融庁が求めている法改正は、こうした企業年金の運用責任を企業が負うことを明確にして資金運用をより良くすることが狙いで、企業には金融の専門家による運用体制の整備などが求めらることになります。」