東芝の遅れている2015年3月期決算についての推測記事。
「純損益ベースで、5年ぶりの赤字に転落する可能性も出てきた。」
「15年3月期決算をめぐっては、不正会計の発覚前は営業利益を3300億円、純利益を1200億円と予想していた。だが、不正会計問題で利益をかさ上げして大きくみせる体質を問題視され、事業の資産価値を見直す作業を進めている。
その結果、原発、半導体、白物家電の各事業で、それぞれ300億円超の損失を計上する見通しになった模様だ。原発は、09年度に受注した米テキサス州での工事の遅れが大きい。16年以降の運転開始をめざして数百億円を投じたが、米規制当局の事前審査が長引いている。14年3月期も310億円の損を出したが、今回も損失を追加する。」
記事では、2015年3月期という単年度の数値に着目していますが、不正会計という観点からは、(四半期はとりあえず無視するとして)2014年3月期末での損益への累積影響額(純資産への影響額と基本的に同じ)がどのくらいになるのかが問題です。会社発表では、2014年3月期末の影響額が約1,800億円(うち300億円はその後2015年3月期第3四半期までに解消)ですが、それに対する追加分がどのくらいになるかで、粉飾規模が決まります。さらに、過年度の訂正を実際に行う際には、どの年度の粉飾かということを検討しながら、決算を固めていかなければなりません。第三者委員会の報告書でも、一応やっていますが、第三者委員会の対象外としている項目も含めて、見直す必要があります。
そうやって、過年度の決算を固めた上で、未発表の2015年3月期の決算を見直すという作業となります。
たとえば、記事でふれている原発工事の損失増が、2015年3月期に入ってからの状況変化によるものであれば、2015年3月期の損失でよいのですが、2014年3月までに見積もるべき損失であれば、粉飾金額(過年度の訂正)に含めることになります。
逆に、2015年3月期は第3四半期までに、300億円の粉飾解消による損失を計上していますが、これは訂正により、過年度の利益からマイナスされるので、2015年3月期とては利益増加要因となります。
会社としては、粉飾額をうまく各年度にちらばせて、どの年度も赤字とならないように操作したいところでしょうが、それは許されないことです。
こちらの日経の記事の方が早く出ています。
↓
東芝、減損など1000億円超
前期、家電や米原発 最終損益は大幅下方修正(日経)(記事冒頭のみ)
会社は否定しています。
東芝、業績に関する一部報道「当社発表ではない」とコメント(時事)
「現在、監査を行っている最中」とのことです。
日経の報道を否定するプレスリリース。
当社の業績に係る一部報道について(PDFファイル)
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