会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

オリンパス粉飾、米当局に捜査協力要請 東京地検(朝日より)

オリンパス粉飾、米当局に捜査協力要請 東京地検

オリンパスの粉飾決算事件で、法務・検察当局が、米国や英領・ケイマン諸島の司法当局に捜査への協力を要請したという記事。

「損失隠し工作には、米国の助言会社やケイマン諸島のファンドがかかわっており、東京地検特捜部は外部協力者の聴取や銀行口座の照会などにより、資金の流れの解明を進める。」

オリンパスの損失解消スキームでは1千億円以上がファンドや助言会社に流れたといわれています。そのほとんどは、損失の穴埋めに使われたことになっていますが、それがはっきり確かめられているわけではなさそうです(これから「資金の流れの解明」するということは現時点ではわからないということでしょう)。

こうした未確認の資金の流れが残っているにもかかわらず、オリンパスの監査人は、訂正報告書に無限定の意見を表明しています。

ただし、オリンパスの直近の四半期レビュー報告書では、以下のような強調事項を付してリスクヘッジをしています(過年度の監査報告書等にも同様の文言がある)。

「強調事項

 追加情報に記載されているとおり、平成23年11月8日の会社の有価証券投資等の損失計上の先送りの発表の結果、国内及び海外(英国、米国を含む)の捜査当局、監督機関その他の公的機関の調査が開始されており、これらの調査により四半期報告書提出日の翌日以後新たな事実が判明した場合には、四半期連結財務諸表を訂正する場合がある。更に、会社の不適切な財務報告の結果、会社に対して会社米国預託証券の保有者が訴訟を提起しており、様々な株主及び株主グループが会社への損害賠償を求める、あるいは訴訟を起こすおそれがある。
 当該事項は、当監査法人の結論に影響を及ぼすものではない。」

監査実務的にも特異な事例といえます。訂正するかもしれないということが監査報告書日現在でわかっているのに、無限定の意見を出しているという点が特徴的です。

(強調事項の財務諸表訂正についてふれている部分と、訴訟についてふれている「更に」以下の部分とでは、性格が違うと思われます。訴訟については、将来事象ですから現時点で見積もれないのであれば財務諸表に反映させない場合もありますが、訂正については過去の実績の話ですから、訂正がないという十分な心証が得られなかったとすれば、無限定意見は出せないはずです。)

オリンパス損失隠し 米に捜査共助を要請(産経)

「特捜部などは昨年12月、金融商品取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載)容疑で同社などを家宅捜索し捜査を進めている。だが、米国を拠点とする佐川氏の行方が分からないほか、海外ファンドの出入金の全容は把握できていない。」

特捜部は把握できていなくても、監査人はできているのかもしれませんが・・・。
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