ゴーイングコンサーン規定に関する監査基準の改正を決めた4月9日の企業会計審議会の議事録が、金融庁ホームページに掲載されています。
1時間半の審議時間のうち、前半がゴーイングコンサーンの関係の審議です。改正内容が財規の改正とともに説明されています。また、公開草案からの変更点も説明されています。
質疑応答では、会計士協会の手塚理事から、監査意見不表明になるかどうかの判断に関して質問があり、以下のような回答がなされています。
「○手塚委員
・・・今までは経営計画の合理性が十分に確認できないという事実を踏まえて、監査意見の不表明という結論に至ったというケースが多かったのではないかと思います。今回はその「合理性」というところが「不確実性」と大きく変わりましたが、この「不確実性」というのは非常に幅の広い言葉ではないかと考えております。
・・・実現可能性が極めて高くないといいますか、対応策としては示して頂いたけれども十分であるかどうかについて監査人としてはどうも納得感がもう一つ消え去らないといったときに意見不表明があり得るのかどうか。あるいは今回の監査基準の改訂によりまして、その不確実性の枠の中であっても良いということで、合理性についてまで監査判断をする必要はないということなのかどうか。そこのところを一つご意見頂ければありがたいということでございます。」
「○三井企業開示課長
・・・「material uncertainties」についての判断でございますが、またこの資料の後ろのほうをずっと見てまいりますと、「feasible」であるかどうかと、こういうふうなことを監査人がチェックするというのがISAの記述の中にございます。「feasible」ということの意味合いはむしろこれは国際的な監査実務をやっておられる専門家の方にご解説頂いたほうがよろしいのかもしれませんが、大変僭越ながら私どもなりの理解を申し上げますと、「feasible」ということは「実現可能な」とか、あるいは「ありそうな」という、どちらかというと「probable」に近い意味であると、英和辞典や英英辞典を見ると出てきます。もちろん監査の専門家としての用語はまた別途ご解説頂きたいと思いますが、一般用語としては「50%超」というと少し語弊がありますが、「その程度ありそうな」という趣旨の言葉であります。あと日本語の「合理的な」という言葉について、起草された方々の一部に聞いてみますと、とりあえず「一応の」というような冠詞つきの、どちらかというと「feasible」に近いニュアンスでお書きになっているようでございまして、「実現可能性において納得し切れる内容のものであるかどうか」ということとは、ややニュアンス的に乖離があるのかなと思います。
以上を前提にしますと、この「重要な不確実性」というものは、その不確実性が残ると注記され、その不確実性がかなりの程度払拭されていると注記にならないということでありますが、この不確実性についての判断のための経営者の対応についての判断については、今の実務で言われているように、合理性とは非常に確度の高い形で説得力がある、納得できるものであるということを、このドラフトとしては、意図していないものであります。・・・」
言質を取られまいという微妙な言い回しで何をいっているのかよくわかりませんが、一応もっともらしい対応策さえあれば、継続企業の前提を適用して財務諸表を作っていいし、監査人も適正意見を出せるということのようです。
本来は、会計基準の方で、どういう場合に継続企業の前提を適用できなくなるのかについて、明確にすべきなのでしょう。
4月9日の前に1回だけ監査部会が開催されています。こちらも1時間半ほど(ゴーイングコンサーンについてはそのうち3分の2程度)議論がなされています。4月9日よりは、改正内容が詳しく説明されているようです。
企業会計審議会第19回監査部会議事録
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