日経新聞が、上場会社3300社の有報を調べたところ、「事業等のリスク」の開示が不十分だったという記事。
「日本経済新聞社が上場企業3300社を対象に有価証券報告書で開示が義務付けられている「事業等のリスク」の文字データをテキスト解析したところ、気候変動や高齢化がもたらすリスクの言及は1割にとどまった。」
リスクの種類別に見ると...
「人材確保や税制の変更、減損といったリスクでは米国は9割前後が開示している。東証1部に上場する代表的な225銘柄で構成する日経平均株価の採用企業でも6割程度で、全上場だと3~4割にとどまった。」
「情報漏洩や不正アクセスといったサイバー攻撃関連のリスク開示も近年増えているとはいえ、日経平均採用企業で56%にとどまる。米主要企業は79%が開示する。
気候変動がもたらすリスクは、米企業も44%と過半に満たず、日本の全上場企業は13%にとどまった。また米国では日用品や医薬など65%がブランドイメージ低下のリスクを記載したのに対し、日本は2割と見劣りしている。
日本企業の開示は、自然災害(全上場で72%)など、多くの企業にあてはまる一般的なリスクが中心で、「企業固有のものや業務に関わるリスクへの言及が少ない」(SOMPOリスクマネジメントの松原真佑子・上級コンサルタント)。」
欧米企業は具体的な記載がなされているとして、エクソンモービル、アルファベット、アップルの例を紹介しています。
こういう日本企業の傾向は、同業他社との横並びで開示するためでしょうか。あるいは、虚偽記載罪の対象となるような書類に余計なことは書かないという防衛策でしょうか。リスク情報として書いておきながら、実際のリスク対応がなされていないという事態になった場合には責任も生じるでしょう。
逆に、書いてないと、リスクに鈍感で、リスク対応がなされていないと判断されるかもしれません。
金融庁が考えるよい事例は...
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「事業等のリスク」の開示例(金融庁)(「記述情報の開示の好事例集」より)(PDFファイル)
「事業等のリスク」を捉える(みずほ総合研究所)(PDFファイル)
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